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初心者でもわかるスタートアップ起業の基本
「スタートアップ」という言葉が日本でも随分と浸透してきた。
スタートアップ企業のテレビCMや起業家のメディア露出も広がったことで、一般的な認知度も高まっているだろう。ただ、そこが問題だ。よくわからないのに知ったかで語る人が増えてるから。
意外と知られていないスタートアップの現状
特に日本では、“ベンチャー企業”と混合されたり、その成長モデルに関しての誤解、投資と融資の違い、起業家に対しての誤ったイメージなど、基本的な内容が理解されていないことも多い。
今回は、スタートアップに関する基本的な内容を一気にまとめてみた。これを読めば今日からスタートアップに関しての話にドヤ顔で参加することができるだろう。
スタートアップとは?
そもそもスタートアップってどんな企業?という基本中の基本のような問いから始めてみよう。何かカッコ良い響きがあって、テクノロジーっぽい雰囲気もあるが、実際の定義は?
スタートアップを一言で表現すると、
新しいビジネスモデルを開発し、ごく短時間のうちに急激な成長とエクジットを狙う事で一獲千金を狙う人々の一時的な集合体
である。
スタートアップとベンチャーは同じ?
そもそも、日本で長らく利用されてきた “ベンチャー企業” の定義と、上記のスタートアップの定義を照らし合わせてみると、スタートアップ型のベンチャー企業もあれば、そうでないタイプのベンチャー企業があることがわかる。
無理に急成長を目指さずに、しっかりと利益を出しながら成長する企業はベンチャー企業の中でもスタートアップの定義には該当しない。
スタートアップ 成功への主なプロセス
スタートアップの定義がはっきりしたところで、どのようにスタートアップが始まり、最終的な成功 = エクジットに辿り着くのかのプロセスをみてみよう。
1. 現在の状況への課題感と未来への構想を立てる
現状の課題を解決し、より良い未来を生み出すサービスを思いつくためには、まずは課題の発見と、未来への構想をすることから始める。
2. 現状と未来へのギャップが何かを明確にする
次にするべきは、構想したより良い未来と現在の状況にどのようなギャップがあるかを明確にすること。言い換えると、未来予想と現状課題の明確化。
3. ギャップを埋める商品・サービスを言語化する
そのギャップを埋めるために必要とされる商品やサービスを構想し始める。大切なのは、その商品やサービスが課題解決と未来実現にしっかりと繋がっていること。
4. プロトタイプを作成する
机上の空論で終わらないように、できるだけ早い段階でプロトタイプを作り始める。ビジネスプランはいらないから、とりあえずユーザー向けに利用感がわかるプロトタイプを作成する。
参考: デザイン思考を学ぶ Part 5 – Prototype 今さら人に聞けないプロトタイプの作り方
5. プロトタイプを合計100人にプレゼンする
どんな商品・サービスかが伝わるプロトタイプができたら、可能な限り多くの人たちに見せ、フィードバックをもらう。具体的な目標値としては100人ぐらいが妥当だろう。
6. フィードバックを元に納得するまで改善する
最も重要なステップの一つがこれ。自分が愛情を込めまくったプロダクトであっても、ユーザーが愛してくれるかどうかは別問題。プレゼンやテストユーザーからのフィードバックを素直に受け止め、改善を繰り返すことでプロダクトの質が上がっていく。
参考: デザイン思考を学ぶ Part 6 – Test 効果的なフィードバックを出す秘訣
7. 共同創業者を探す
ここまで来たらそろそろ一緒に夢を追いかけてくれるパートナーを探し始めよう。その際に大切なのは、同じビジョンを持っていながらも、自分には無い強みを持っているということ。Airbnbの創業者3人も、それぞれ全く異なる性格だったそう。
参考: シリコンバレーのキーパーソン3人が語る、次世代イノベーションとは
8. 法人登記を行う
実はスタートアップのプロセスにおいては、最初から法人登記をする必要はない。まずはプロダクトを作り、ユーザーからの反応を見て、ビジネスになりそうだと実感を得てから初めて行うことが多い。Appleも法人登記を行ったのは最初のプロダクトを作ってから一年以上も先のことである。
参考: Apple, Google, ディズニーも最初はこんな小さなガレージからスタートした
9. エンジェル投資家から資金調達を試みる
法人登録を行う理由の一つが外部からの投資を受けるため。しかし、通常はユーザーや顧客がいない状態では投資・融資を実現するのはかなり難易度が高い。そんな時は、ビジョンとアイディア、情熱に対して個人投資をしてくれるエンジェル投資家を狙うのが良いとされる。
参考: エンジェル投資家の裏側教えます【インタビュー】シリコンバレーのスーパーエンジェル投資家: ロン・コンウェイ
10. サービスを一般公開する
ユーザーフィードバック→改善を繰り返し、プロダクトの品質がある程度高まった時点で世の中へのリリースを行う。その際には、フィードバックをくれたユーザーに対してお礼のメッセージを添えた告知を行う。
11. 初期ユーザーに感想を聞きまくる
リリースしたら、やはりユーザーからの感想を集め、プロダクトの改善につなげる。ただし、その全てを実現するのは不可能なので、自分たちのビジョンにより貢献する内容を精査しながら改善を進める。
<継続して使ってくれない場合>
12a. ユーザーに納得してもらえるまで改善を繰り返す
多くの場合、初期リリース直後は少し注目されたとしても、しばらくするとユーザーの伸びが鈍化する。でも焦ってはいけない。少なくても使ってくれるユーザーに連絡して、どうしたらより良いプロダクトになるかを聞きまくる。
参考: ヒットサービスに重要なのは “革新的アイディア” ではない!?
<継続して使ってくれる場合>
12b. 初期ユーザーを1,000人集める
プロダクトを継続的に使ってくれるユーザーが増えてきたなら、その人数が1,000になるまで頑張って増やす。1,000までユーザーが増えればネットワーク効果やクチコミを通じてよりユーザーが増えるフェーズに入ることができる。
参考: 〜企業の成長を最大化させる〜 最近話題のグロースハッカー(Growth Hacker)とは
13. 毎週ユーザーを5%増やす
ユーザーがどんどん増えるフェーズの事を”グロース”や”ハイパーグロース”フェーズと呼ぶ。いわゆる軌道に乗った状態であるが、ここでの目標は週に5% 成長。簡単ではないが、頑張ってみる価値はある。
参考: スタートアップ立ち上げ時に重要ではない20の項目と最も重要な2つの事
14. VCから資金調達を繰り返し、2,500万ユーザーに到達するまで成長させる
このグロースステージを走り続けるためには、なるべくユーザーに喜んでもらえる要素をプロダクトに盛り込む必要がある。具体的には料金をできるだけ安くする。広告を表示しない。サポートを手厚くするなど。実現するためには利益を犠牲にするため、投資会社やVCから資金調達を何度も繰り返し (ラウンド) 会社を成長させる。
参考: VCに関してもっと早く知っておきたかったリアルな実態
15. 大成功!
十分なユーザー数と利用頻度を実現し、会社の規模も拡大したところで、最後の大勝負であるエクジットへの準備を進める。具体的には、他の会社に買収されるM&Aと株式市場に上場するIPOの2種類が考えられる。日本だとIPOが、アメリカだとM&Aがより一般的である。
参考: Googleによるスタートアップ買収と事業シナジー事例8選
初期ユーザーの集め方
ちなみに、スタートアップを進める上でまず最初にぶつかるのが初期ユーザーの獲得方法。実はこれといった定番な方法はなく、ヒットサービスでも初期の頃はかなり地道な活動をしている。
デジタルの時代になってもやはり効果的なのはユーザーがユーザーを集めてくれる仕組み。
スタートアップの失敗理由 Top10
その95%が失敗すると言われているスタートアップでは、その失敗に関するデータはかなり多い。数ある理由の中でダントツなのは、作り出したプロダクトが市場のニーズに合っていないケース。
このデータを見てもわかる通り、自分たちが作り出したものが本当にユーザーに求められているのかを繰り返し検証するのがとても大切。
タイプ別起業家になる人
そもそもどんな人がスタートアップを始めるのに向いているのだろうか?恐らく、世の中の90%の人は起業しない方が良い。それでも起業家になっちゃう人には、下記のようなパターンがある。
スタートアップのチーム編成
スタートアップの最小単位は何人?という質問が多い。一昔前であれば、ビジネス担当、デザイン担当、システム担当の3人が定番だったが、最近の場合は、下記の6つの役割を初期メンバーで分担するのが良いとされている。
- ビジョン担当
- ビジネス担当
- 開発担当
- デザイン担当
- マーケティング担当
- 実務担当
チームは小さい方がスピードが速い
ちなみに、シリコンバレー的な発想だと、初期チームはなるべく少ない人数で進めた方がプロダクト開発のスピードが速くなるとされている。
ファウンダーのJeff Bezosによると、Amazonで新規サービスを作り出す際には “2 Pizza Team”と呼ばれる手法を活用している。
これは、ピザ二枚でチームメンバーの全員が満腹になるぐらいのメンバー数が良いということ。
そうすることで、多くの独立したアイデアが速いスピードで密なコミュニケーションと、当事者意識が生まれるような分散型の会社になるという。
もしくは、小食のメンバーを集める方法もあるが… 。
社内スタートアップのススメ
既存の企業だってスタートアップをすることができる。
特に日本の場合、人材のクオリティーやリソース状況を考えてみると、大企業の中から新しいサービスを生み出すための社内スタートアップの仕組みが最も効率的な方法の一つになるとも考えられている。
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筆者: Brandon K. Hill / CEO, btrax, Inc.
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