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経済誌は教えてくれないアメリカ消費者トレンド超7選!!
- サンフランシスコ、シリコンバレーのユーザーの動向からトレンドを把握する
- アメリカユーザーはブランドの政治絡みの行動に敏感(Equinox、SoulCycle)
- デジタルブランドこそオフライン店舗の利活用に一工夫を!(Re:store)
- 独りよがりはNG。スタートアップの横の動きにも注目すべし!(Glossier、BarkBox、Allbirds、JUST Water)
- 見習いたい。多様性のためのb8taのアクションとコミットメント(b8ta)
- Gen Zを追求して作られた体験型コンテンツ(Tinder)
- アメリカ企業によるダイバーシティ、インクルージョンへの取り組み・対応(マテル、ビクトリアズ・シークレット、Peloton)
btraxはサンフランシスコに本社をもち、アメリカやシリコンバレーで実際にサービスを使ったり、トレンドを目撃したりと、よりユーザーに近い生情報を発信してきた。
主要メディアなどで経済や資金調達やM&A、企業評価額などお金の流れを掴むことは言うまでもなく重要である。一方で、実際にサービスに触れる消費者のことをないがしろにすると、その理解や戦略は机上の空論、深く刺さらないサービスになってしまいかねない。
そこでぜひ、シリコンバレーやスタートアップ、イノベーション界隈の消費者動向にまつわる情報も抑えていただきたい。ユーザー中心のサービス開発は、ユーザー中心のリサーチ・市場理解から!ということで今回は、btraxが毎月配信している「3分でイノベーション〜これ1本でシリコンバレー出張〜」ニュースレターで紹介した(※)、筆者の独自目線で選んだトレンドをまとめる(2019年8月〜2019年12月号分)。
(※)サクッと3分でシリコンバレーやスタートアップ、イノベーション界隈の情報をつかむことをコンセプトにしたbtraxのニュースレター。絶対に抑えておきたい主要ニュースに加え、『btrax eyes』のコーナーでは、主要ニュースではないがシリコンバレーやアメリカのマーケットトレンドを理解する際に役立つユニークなネタをキュレートしている。また、ニュースレター購読者にはイベントへの早期割引などのお得情報や読みきれなかったfreshtrax人気記事ランキングを毎月配信している。購読はこちらよりどうぞ!
アメリカユーザーはブランドの政治絡みの行動に敏感。
人気フィットネスジムからトランプ不支持ユーザーが退会。ボイコットにまで(2019年8月)
米国で人気を博しているラグジュアリージムのEquinoxとSoulCycleの親会社の筆頭株主であるStephen Ross氏が、トランプ大統領の次期選挙に向けたファンドレイジングイベントを主催。これに対して、EquinoxやSoulCycleの現会員がボイコットや退会をする騒ぎに。もともと同社はLGBTQなどリベラルな層から人気のあるブランドで、トランプ大統領を支持しない層もいる。
ブランドとしては何も加担していないが、会社トップの政治的スタンスが、トランプ大統領支持だったばかりに、ブランドに影響してくるというニュース。
(Equinoxはラグジュアリージムとして人気を博している。画像ソース)
ピックアップした理由:
ブランドに政治が絡んでくるインパクトは日米で大きく異なるため、認識しておくと役に立つため!アメリカは、著名人や有名人がどの党派を支持するか表明することが少なくない。
また、一般人に関しても、自分の支持者を堂々と言うため、口論めいた議論が起こることも。ブランドとしては、特に上層部や起用する有名人の支持・活動を把握しておく必要がありそうだ。
関連記事:米国最新フィットネススタートアップ3選。キーワードは「自宅」
デジタルブランドこそオフライン店舗の利活用に一工夫を!
小売ブランドのためのWeWork、Re:sotreがサンフランシスコにオープン!(2019年8月)
オンラインブランドのために、実店舗の売り場スペースを貸し出すことをビジネスとした、小売版WeWorkのスタートアップが急増している。サンフランシスコにも、Re:storeという、セコイア・キャピタルからも投資を受けるシェアリング・キュレーションストアがオープン。
btraxスタッフはオープン当日に訪問し、体験型スペース、厳選されたブランド、売り場体験などを早速チェックした。
ピックアップした理由:
デジタルブランド全盛期に、オフライン店舗の拡大・活用法は注目すべきだから!日本で絶賛バズり中のD2Cブランド。アメリカでは数年前からブームになっており、D2Cブランドの数も増えてきている。
自力ではまだ店舗を出せないブランドが増え、その人たちのためにRe:storeはある。オンラインでは作り出せない店舗体験にも注目したい。
関連記事:ブランド拡大に役立つシェアリング小売スペースという新しい選択肢
独りよがりはNG。スタートアップの横の動きにも注目すべし!
コラボで相乗効果を狙う人気スタートアップ(2019年9月)
勢いのあるスタートアップ同士が、積極的にコラボレーションし、それぞれのブランディングやマーケティング活動に繋げている様子が目立つ。
人気コスメD2CのGlossierと、ペットグッズサブスクリプションサービスのBarkBoxのコラボは、Glossierの人気商品を模したペット用オモチャの販売であった(2020年3月現在は売り切れ)。Glossierのインスタグラムでは早速そのオモチャで遊ぶ「インスタ映え犬」が投稿された。
また、ウールスニーカーで知られるAllbirdsと、俳優ウィル・スミスの息子、ジェイデンが創業したエコボトル天然水のJUST Waterもコラボスニーカーをウェブ限定で販売。両社とも、サステイナビリティをミッションとしており、相性抜群だ(JUST Waterは日本のセブンイレブンでも販売中)。
今でこそ大手となった彼らだが、スタートアップ起業の苦労を知っているからこそスタートアップとのコラボに前向きなのかもしれない。
関連記事:D2Cブランドに学ぶ!カスタマーと繋がる開封体験デザイン
ピックアップした理由:
スタートアップや振興ブランドを分析するときに、横の動き・繋がりも非常にポイントになっていると感じるため。「人は1人では生きていけない」ということがブランドにも通ずるようだ。むしろ他とタッグを組むことで個性を築き、力を増しているように思う。
ただし、クールなブランドと組むことを望むのであれば、自分たちもクールでなくてはいけない。
見習いたい。多様性のためのb8taのアクションとコミットメント
体験型ストアのb8taが、より女性を巻き込んだイノベーションを目指す(2019年9月)
サンフランシスコやシリコンバレーにも店舗を構える、IoT/ガジェットのキュレーションストアであるb8taは、今後、より女性を取り込んだサービス展開をするというミッションを掲げた。まずは扱うラインナップに、女性向けの商品を積極的に採用していると言う。今後も、女性ファウンダーによるビジネスをより支援していくそう。
人口の半分は女性であるにも関わらず、VCによる投資のうち、女性によるビジネスへの割合はたったの約2.2%。b8taはこの問題を深く捉え、アクションへと繋げているのだ。
関連記事:「フェムテック」現代女性の健康を支える海外注目スタートアップ事例
ピックアップした理由:
アメリカでのインクルーシブに関する問題意識の高さや実際のアクションは注目すべきと思ったため。人種のるつぼと言われるアメリカでも未だ、マジョリティ・マイノリティに関する課題は絶えない。
むしろ多様だからこそ、問題が発生し、解決が強く求められる。そしてサンフランシスコ、シリコンバレー界隈も例外ではない。
だが、サンフランシスコ、シリコンバレーでのこういったムーブメントが勢いを増してきていることは筆者も感じる。その感覚を持って日本をみると、残念ながら遅れをとっていると感じる。だからこそ、伸び代もあると思うため、b8taのような実際のアクションから学べることも多いのではないだろうか。
ちなみにb8taは2020年夏に日本への進出が決まっている。
Gen Zを追求して作られた体験型コンテンツ
デーティングアプリTinderの新企画、スワイプナイト(2019年10月)
ここサンフランシスコ・シリコンバレーでは出会いの場として「デーティングアプリ」を使うことが浸透して久しい。すでにデーティングアプリ市場は飽和状態であるため、各社様々な機能を追加しては差別化を図っている。恋愛だけでなく共同創業者やメンターなどを探すための、キャリア向けのマッチング機能を打ち出しているところもあるくらいだ。
Tinderも有名なアプリの1つ。激戦する市場で抜きん出るためか、新たなキャンペーンを打ち出しまた。その名も「スワイプナイト」。このイベント期間中、ユーザーはアプリから毎週続き物のドラマに参加できるようになっていた。
通常のように、異性・同性のプロフィールからお気に入りを判断するのではなく、ドラマのような、窮地に立たされた状態のもと、与えられた選択肢を選んでいき、ユーザー同士の相性をマッチングさせるというもの。
このドラマもかなり本格的で、1本は5分程度の短いものだが、RPG仕立てにストーリーが進み、今までのデーティングアプリの使い方、あり方を変えた。もしかすると吊り橋効果でマッチング度が上がる、なんてこともあるのかも知れない。
ピックアップした理由:
サービス開発がよりユーザー中心で、体験フォーカスと感じたため。Tingerのユーザーの多くはジェネレーションZと言われる24歳以下の若者だ。この層に響くサービスを作るため、TinderはZチームという社内チームを結成し、彼ら(自分たち)の好む体験やエンターテイメントなコンテンツを作っているという。
このスワイプナイトも、若者の間でバズった、ドレイクのIn My Feelingなどを監督した、Karena Evansが担当した。ただのデーティングアプリを超えた、かなりインタラクティブなものに仕上がったのである。
ちなみにこのスワイプナイトで、何百人ものユーザーが集まり、マッチング率も26%上昇したそう。
関連記事:ミレニアルにはブランドネームではなく体験を売れ!ー 炭酸飲料大手企業の挑戦
アメリカ企業によるダイバーシティ、インクルージョンへの取り組み・対応
大手企業による「ジェンダー・ニュートラル」「ダイバーシティ」な商品展開(2019年10月)
バービー人形で知られる玩具メーカーのマテル社が、男性らしい・女性らしいといった性の区別をつけない、「ジェンダー・ニュートラル」な新商品を発売した。人形の見た目、髪の毛、洋服に男女の垣根がなく、非常に多様だ。
(新商品、ジェンダーニュートラルシリーズ。画像ソース)
また、米国下着大手のヴィクトリアズ・シークレットも、トランスジェンダーのモデルやプラスサイズのモデル起用、プラスサイズ商品の展開を開始(ちなみに2020年3月、ヴィクトリアズ・シークレットの親会社であったL Brandはその過半数株を投資会社シカモアパートナーズに売却した)。
ダイバーシティやインクルージョンなどの問題に取り組むために生まれているスタートアップ系サービスが、若者を中心に受け入れられている中、既存大手企業も取り入れる動きが見られる。
ピックアップした理由:
ダイバーシティやインクルーシブが、どんな業態、規模の企業でももう見過ごせない流れとなっていると感じたため。社会の問題に対して、ビジネスが始まっているので、スタートアップはこの辺の取り込み方や動きが早い。一方で、大企業側も業界のリーダーとして自分たちも変わりながら発信をしている点はどちらからも学びが多い。
関連記事:令和に絶対押さえるべきインクルーシブマーケティングとは。事例6選
フィットネスマシンのPelotonのCMが炎上(2019年12月)
freshtraxでも度々登場する、自宅フィットネスマシンのスタートアップPeloton。2019年8月にはIPOを果たし、順風満帆かと思われたが、2019年ホリデーシーズン向けに公開した動画広告(画像にリンクあり)が株価を下げるまでの大炎上を巻き起こしてしまった。
その動画は、クリスマスプレゼントに夫が妻にPelotonをプレゼントするシーンから始まる。妻役を演じる女優の表情も絶妙で、不安と嬉しさのようなものが混じった表情で初めてのエクササイズを開始。その後もしんどいトレーニングを続け、1年後にドキュメンタリー風に自分の姿をまとめ、「ありがとう」と夫にその動画を見せている。
その後、メディアやソーシャルメディアでは、「夫が妻に(必要ないのに)ダイエットをするようにしている」「彼女の頑張っている姿が虚しく見える」というようなコメントが上がり炎上。プレゼントと称して、男性が女性に「痩せろ」と自分の美意識を相手に押し付けるといったような印象を与えてしまったようだ。
ちなみに俳優のRyan Reynoldsは、自身がオーナーを務める酒ブランドの広告として、Pelotonと同じ女優を起用し、「Peloton夫婦」の離婚後と思しきシーンを動画を公開し、さらに話題となった。
関連記事:注目のスポーツテック5選。デザイン中心から生まれるイノベーション
ピックアップした理由:
日本でもよく、これはチェックを通して世に公開すると判断したのか?と思うようなコンテンツがたまに話題になると思うが、アメリカでもこの点に関してはブランド側もまだ学ぶところがあるのだなと思ったため。
多くの場合は意図せず、無自覚だろう。自分たちにそういった意識がないことを自覚し、コンテンツの構成をするチームに、多様性がそもそもあるのか、というのを見直す必要があるかもしれない。
まとめ
さて、お伝えした通り、これらのニュースは筆者が2019年8月から12月まで、それぞれの月を振り返って、話題となっていたor興味深かったものである。ニュースレターに掲載してから状況が変わっているものもあり、追跡し甲斐もある。
手前味噌ではあるが、日本の主要メディアではなかなか取り上げられないが、こちらではなかなか話題になっている生情報をピックアップしてきた。こういった消費者のリアルなトレンドこそ、サービスやブランド開発に反映されるべきである。
btraxではユーザーを中心としたリサーチやサービス開発を行ってきた。サンフランシスコに実際に身を置き、日本とアメリカの文化を理解したスタッフが、こういったトレンドをキャッチし、ユーザーと話しながら本当に刺さるサービス作りへ導いていく。btraxのサービスにご興味ある方はぜひお問い合わせを。
また、今後も毎月ニュースをまとめてお届けするのでぜひ、btraxニュースレターを購読いただきたい。
Main Photo by Victor Lozano on Unsplash
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■開催日時:
日本時間:2024年12月6日(金)9:00
米国時間:12月5日(木)16:00 PST / 19:00 EST
*このイベントはサンフランシスコで開催します。
■参加方法
- オンライン参加(こちらよりご登録いただけます。)
- 会場参加(限定席数) *サンフランシスコでの会場参加をご希望の方は下記までお申し込みまたはご連絡ください。(会場収容の関係上、ご希望に添えない場合がございます。予めご了承ください。)
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- Email(英語):sf@btrax.com
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