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【2020年予想】10のスタートアップトレンドと注目サービス15選
2019年はシリコンバレーを中心に、グローバル規模でスタートアップに関する多くの変化があった。代表的なのが、ユニコーン至上主義から、社会利益追求型へのシフト。
それまでは、評価額をどれだけ高くできるかをゴールにしていたのが、どれだけ世の中に対してポジティブな影響を与えられるかにフォーカスが移り始めている。これはスタートアップ市場の寡占化&熟成化が進んだことが1つの理由だと考えられる。
2020年に予想される主なスタートアップトレンド
他にも予想されるスタートアップを取り巻くトレンドに関する主なキーワードをまずは紹介する。
- エクジット至上主義から継続性
- ユニコーンブームがひと段落
- DXの流れ到来でIoTサービスに再注目
- 経済的価値に加えて社会的価値の重要性
- B2B向けサービスの躍進
- テクノロジーよりもユーザー体験
- 正しいチームカルチャーの重要性
- 金融業界の大きな改革が進む
- 心を豊かにするウェルネス系サービス
- ノンデジタルでのブランド構築
1. エクジット至上主義から継続性
スタートアップのゴールの1つが、短時間でIPOやバイアウトなどのエクジットを達成し、一攫千金を得ること。日本国内の感覚だと、なるべく早い段階の上場を、アメリカだと、なるべく高い金額での売却を狙うことが一般的。そのため、赤字での上場や、手段を選ばないユーザー獲得方法などの裏技を駆使することも多い。
その一方で、昨今のWeWorkでの一件などから、早急なエクジットよりも、継続性の高いビジネスモデルが求められるようになってきている。
2. ユニコーンブームがひと段落
上記に関連し、末上場で評価額10億ドルを超えるユニコーン企業ブームもひと段落する感じがする。上場前のUberに見られるように、グロース重視で評価額を上げるだけ上げたは良いものの、その後の展開に苦しむケースも増え始めた。
これが一因となり、「ユニコーンを目指そう!」という目標自体がダサい感じになり始めている。もちろん、日本からユニコーンを出そう、という日本政府の方針も時代遅れのように感じる。
3. DXの流れ到来でIoTサービスに再注目
一時期は「モノのインターネット」とも呼ばれ、注目を集めていたIoT系のプロダクトであるが、ビジネスとしてはうまくいかないケースが多く、ここ数年で縮小気味だった。
しかし、今年からは、DXの流れが到来し、それに伴ってB2B系のIoTソリューションや、スマートホームやリテール、エンタメ系など、よりユーザーの日常生活に密着した、新しい形のIoT系プロダクトやサービスがリリースされたことで、再燃してきている。
一時期は下火になったIoT系のスタートアップに再び注目が集まり始めている。ちなみに、IoTはInternet of Thingsから、Intelligent of Thingsに意味合いが変わり始めている。
4. 経済的価値に加えて社会的価値の重要性
お金儲けだけではなく、社会に対するポジティブな影響を与えられるサービスや企業に人気が集まる。ここ数年で話題になってきているD2C系のブランドや、「パンデミックによる肉不足も解消!」にもあるような代用肉のスタートアップも、社会貢献のストーリーを前面に出すことで、注目が集まっている。
「ユニコーンとシマウマの違いを知っていますか?」でも語られている通り、大規模、急成長が特徴であったユニコーンに対するアンチテーゼとしても興味深い。
https://blog.btrax.com/jp/measure-innovation/” target=”_blank” rel=”noopener”>イノベーションの効果測定方法
5. B2B向けサービスの躍進
スタートアップサービスと聞くと、どうしてもアプリやWeb系を想像しがちであるが、実は、業務効率化、顧客獲得、バックオフィス運営などのB2B系のソリューションもかなり注目されている。
代表的なものだと、日本でも導入が増えてきているSlackや、SmartHRに代表される、既存の面倒な仕組みをクラウド化して改善する、実務系サービスが挙げられるだろう。
6. テクノロジーよりもユーザー体験
これまでは主に消費者向けのサービスが中心に、優れたユーザー体験を提供することが、そのサービスの大きな価値になってきている。それに加え、今後はB2Bを含め、あらゆるサービスにその重要性は高まっている。
例えばMealPalの様に、既存のサービスと同じ内容であったとしても、UX部分を大幅に改善するだけでも、新しい価値提供に繋がるケースも少なくはない。
7. 正しいチームカルチャーの重要性
スタートアップは多くの場合、急成長を達成するために全てが流動的に変化する一時的な集合体である事が一般的であった。しかし、より継続的な存在になるためには、社内カルチャーの醸成の重要性が高まってきている。これも、WeWorkの一件で明るみに出た部分でもある。
8. 金融業界の大きな改革が進む
2019年は日本でもモバイルペイメントに代表されるようなキャッシュレス系サービスが話題になっていたが、今年はそれらを含む各種フィンテック系ソリューションの知名度がより高まってくるだろう。
それと同時に、既存の金融業界は今まで以上にユーザーに喜ばれる体験の提供が求められる。もしかしたらスタートアップサービスの影響で、大手の金融機関の経営に大きな影響が現れ始めるかもしれない。
9. 心を豊かにするウェルネス系サービス
世の中にデバイスとデジタルサービスが普及するに合わせ、ユーザーの心の豊かさを危惧する声が上がり始めている。実際、平均的なユーザーは、人と接する時間よりも、デバイスを触っている時間の方が多い。そんな時代の変化に合わせ、人々の心を豊かにする、ウェルネス系のサービスに注目が集まる。
10. ノンデジタルでのブランド構築
インターネットを通じて情報にアクセスしやすくなったことで、ユーザーは商品やサービスに関する情報に対して敏感になっている。
そのため、最近の傾向としてユーザーはブランドに対して透明性や信頼性を求めるようになった。そこに対していかにリアルなストーリーや、イベントなどを通じた「人間味」出せるかが、スタートアップにおけるブランド構築のポイントになり始めている。
2020年にbtraxが注目するスタートアップ
上記のトレンドを踏まえ、クライアント企業とスタートアップとのコラボを提供している我々btraxも注目している15のスタートアップを下記に紹介する。
Spatial
ARを活用したコラボサービス
注目ポイント: リモートワークが進む中で、ホワイトボードや付箋を利用したコラボやディスカッション、ワークショップの必要性も高まっている。その二つの相反するニーズをARと3Dテクノロジーを活用して実現するサービス。
本社: ニューヨーク
領域: AR、業務改善、3D
https://spatial.is/
Impossible Foods
植物性タンパク質で作った代替肉
注目ポイント: アメリカで現在大きな社会問題の1つにもなっている家畜と食用肉の関係を解決するために、動物の命を奪わずに美味しい肉を提供することをゴールとしている。実際に食べてみても、実際の肉と遜色のないクオリティーで、現在では大手ハンバーガーチェーンのBurger Kingにも採用されている。
本社: シリコンバレー
領域: フードテック、食品
https://impossiblefoods.com/
Nova Credit
移民の人たち向けクレジット金融サービス
注目ポイント: 移民の多いアメリカであるが、国外から移住してきた人にとってすぐにクレジットカードを獲得するのは非常に難易度が高い。そんな社会的問題に対して、テクノロジーを活用し、それぞれの母国でのクレジットヒストリーを活用することで解決するサービス。
本社: サンフランシスコ
領域: フィンテック、金融
https://www.novacredit.com/
AirGarage
利用していないスペースを駐車場として貸し借りするプラットフォーム
注目ポイント: オフィスエリアや協会など、アメリカでは利用率の低い駐車場が多い。一方で、近くでイベントなどがあると駐車スペースが見つからなかったり、割高だったり、不便を感じるユーザーも多い。
本社: サンフランシスコ
領域: シェアリング、不動産、Maas
https://airgara.ge/
Checkr
企業向けバックグラウンドチェックサービス
注目ポイント: 世界中から多種多様なバックグラウンドの人たちが集まるシリコンバレー地域を中心に、採用の際に候補者に対してのチェックを強化する動きが強まっている。すでにUberやInstacartなどのスタートアップを始め、3,000社に利用されている。
本社: サンフランシスコ
領域: ソフトウェア、AI、業務用サービス
https://checkr.com/
Percy
ソフトウェア開発におけるビジュアルQAプラットフォーム
注目ポイント: ソフトウェアやアプリを開発する際にはバグなどに対するQAプラットフォームはあるが、ビジュアルデザインに対するQAのシステムはあまりない。開発初期からバージョンアップの際まで、機能だけでは無くUIや見た目のクオリティーのテストに役立つ。
本社: サンフランシスコ
領域: SaaS、開発ツール、デザインコツール
https://percy.io/
Dave.com
ユーザー体験を格段に改善した金融サービス
注目ポイント: 既存の大手金融機関はことあるごとに手数料を取る割には、ユーザー体験が非常に悪い。アメリカでは既存の銀行の多くが、1%の富裕層を主なターゲットにしているのに対して、Dave.comでは給料日前の前借りなど、残りの99%の顧客に対してより良いデジタル体験を提供する。クマのキャラクターも非常に可愛い。
本社: ロスアンゼルス
領域: フィンテック、金融、銀行
https://dave.com/
FabFitFun
毎月届く女性向けハッピーボックス
注目ポイント: 数あるサブスクリプションサービスの中で、女性の健康、美容、幸せにフォーカスを当て、より充実したライフスタイルを追求するためのアイテムを届けるセレクトサブスクリプション。コンセプトが面白い。
本社: ロスアンゼルス
領域: サブスクリプション、女性向け、EC
https://fabfitfun.com/
Calm
ユーザーの心をハッピーにするアプリ
注目ポイント: 安眠や不安の解消など、それぞれのゴールに応じて、各種プログラムを提供するウェルネス系アプリ。2017年にiPhone app of the year, 2018年にはGoogle PlayにてEditors Choiceに選ばれた人気アプリ。
本社: サンフランシスコ
領域: アプリ、ウェルネス、瞑想
https://www.calm.com/
Envoy
オフィス業務をスマートにするソリューション
注目ポイント: サンフランシスコやシリコンバレーの多くのスタートアップがすでに採用しているタブレット型受付サービスを始めとして、よりオフィスの運営業務を効率的に進めるための各種ソリューションを提供している。
本社: サンフランシスコ
領域: SaaS、業務改善、オフィス
https://envoy.com/
Loom
ビジネス向けクラウド型動画録画サービス
注目ポイント: リモートワークがどんどん加速する中で、社内向けのプレゼンや説明をスクリーンと説明者の両方を録画できるサービスは非常に便利だろう。制限付きの無料プランと、無制限に高品質動画が撮影できる月$10のProプランがある。
本社: サンフランシスコ
領域: SaaS、動画、業務改善
https://www.loom.com/
Babylon Health
遠隔医療アプリ
注目ポイント: アプリサービスを通じて遠隔でも医師とのコミュニケーションをすることで、診断を受けられるサービス。加えて、アプリ上で病院の予約や、薬のデリバリーもリクエストが可能。現在はイギリスを中心に展開している。
本社: ロンドン
領域: ヘルステック、医療、アプリ
https://fabfitfun.com/
The Wing
女性向けコワーキングスペース
注目ポイント: 圧倒的に男性が多いスタートアップ業界で、女性向けに最適化されたコワーキングスペースを提供する。スペース内には、メイク室や授乳スペースなど、女性ならではのニーズに対応している施設がある。女性起業家を育成する社会的ミッションも掲げている。
本社: ニューヨーク
領域: コワーキング、コミュニティー、女性向け
https://fabfitfun.com/
Poshmark
ファッションマーケットプレイス
注目ポイント: アプリ上で、自分で作った服や不要になったアイテムの写真を撮影し、リスト化することで他のユーザーに販売することができる。メルカリっぽいが、ファッションに特化しているところが特徴的。
本社: シリコンバレー
領域: ファッション、EC、メディア
https://poshmark.com/
TalkDesk
ブラウザー型コールセンター向けサービス
注目ポイント: コスト競争が激化している事で、効率化が求められるコールセンター事業に対して、より優れたユーザー体験を提供するサービス。SlackやGoogle Suiteをはじめとして、60以上のビジネスソリューションとの連動も可能になっている。ビジネスモデル的に急成長する可能性を秘めている。
本社: サンフランシスコ
領域: SaaS、カスタマーサービス、業務改善
https://www.talkdesk.com/
結論:
2020年はテクノロジー追求よりも社会問題解決やより良いユーザー体験にフォーカスしたサービスに人気が集まりそうだ。我々btraxは、優れたサービスデザイン、UXデザイン創出のサポートも行っている。ご興味のある方は、ぜひこちらからお問い合わせいただきたい。
筆者: Brandon K. Hill / CEO, btrax, Inc.
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