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スタートアップ企業の初期ユーザー獲得方法とは?
あなたがもしスタートアップや新しいビジネスを始めようとしているのであれば、製品の開発も大事だが、どのようにユーザーを増やしていくかの戦略を考える必要が出てくるだろう。
しかしながらスタートアップは大企業に比べて知名度も資金も少ないことが多いため、既存のビジネスの新規ユーザー獲得戦略を模範をすることがそもそもできなかったりしないだろうか。
アメリカの先輩スタートアップも、中には創業前から投資を受けていたものはあるものの、今ほどの知名度はなくユーザーはゼロだった時代がある。そんな彼らがどのように初期のユーザーを獲得していったのか。ユーザーの獲得手法は以下の5つである。
- 競合サービスの顧客にリーチする
- 競合が抱えきれない需要を探して抑えにいく
- オフラインイベントで適切なユーザをスカウトする
- 小さく始める
- ユーザー獲得前に、さくらを作っておく
それでは、事例と共に一つずつ詳しくご紹介していきたい。
1. 競合サービスの顧客にリーチする
あなたのスタートアップアイデアが非常に革新的なもので同じサービスは市場に存在していないとしても、ポテンシャルユーザーはどこかに存在しているはずである。では彼らはどこにいるのか。その一つにあなたのサービスに類似したサービスを利用していると考えられる。つまり競合サービスである。
おそらくそのユーザーの中には、①既存のサービスに満足して使っている人、②不満を抱えながら使っている人、そして③他に良いものがないから仕方なく使っている人がいるだろう。②と③のユーザーはあなたの新しいサービスに興味を持って使ってくれる可能性があると考えられないだろうか。
また、募集や告知のリスティングやユーザーが先生となって行うオンラインクラスの掲載などは、ユーザーが複数のサービスに投稿をした方がメリットがあると考えられるため、これらのユーザーにリーチする価値はある。
【事例】Airbnb
Airbnbの場合、まずサービスを成り立たせるために貸家のサプライヤーが必要である。そこで彼らは自分たちのユーザー(貸家のサプライヤー)になってくれる人がどこにいるかを考えた。ユーザーの立場になって、もしAirbnbが市場に存在していなかったらどのサービスを使って自分の部屋を貸しに出すかを考えたのである。
そして彼らが目をつけたのは米国の巨大掲示板サイト、Craigslistであった。AirbnbはCraigslistよりも部屋のリスティングをはるかに魅力的に見せることに優れていた。大胆なことにCraigslistをハッキングしてコンタクト情報を得たとも言われているが、Craigslistに掲示しているユーザーにメールを送り、Airbnbの利用を促して初期ユーザーの獲得をしていったのである。
2. 競合が抱えきれない需要を探して抑えにいく
適切なユーザーにリーチして、あなたのサービスを売り込んだとしても、ユーザーが必要としてないとなかなか使い始めてくれないし、ユーザーを説得しないといけない。ユーザーにリーチしてから使ってもらうまでの転換率をあげるために、既存の需要と供給のバランスを見極めて需要超過となっている部分から攻めるという方法がある。
時間や時期、デモグラフィック情報から見つけ出し、そこに向けて新規ユーザー獲得の施策を行う。本当にそのサービスを必要としているユーザーたちなので使い始める可能性が高いと言える。もちろん、継続して使ってもらうためにサービスの質や使い勝手を高めておく必要があることはいうまでもない。
【事例】Uber
運転手と乗客をマッチングさせるアプリでおなじみのUberはこの方法をとった。創業初期、Uberの最大の競合はタクシー業界であったため、彼らはどこの都市のタクシー業界で需要が大幅に供給を上回っているのかをマークした。
また、アメリカのホリデーシーズンはパーティなどで夜遅くまで出歩いている人が多くタクシー利用率の高いため、この時期にサービスをローンチしたり、コンサートやスポーツのイベントなどで街がごった返す時期にプロモーションを行ったりしたのである。Uberに馴染みがない新規ユーザーも必要性から使い始めていったという。
3. オフラインイベントで適切なユーザをスカウトする
初期に獲得したユーザーに最高の体験を提供できていることやユーザーが満足していることは新しいサービスにとって非常に大切である。これによって口コミでユーザーがさらに増えていき、増えたユーザーを求めて他のサプライヤーやパートナーが続いてくるからである。
またこの初期ユーザーの体験というのはそのサービスがどんな価値を提供していくかを形づける重要なものともなる。故に最初のユーザーは吟味して選んでおく必要がある。
そのために実際に足を運んでユーザーもしくはサプライヤーを篩にかけてサービスを広めていくという方法がある。直接訪問してユーザーを増やしていくのは全くスケールできないやり方ではあるが、サービスの土台ともなりうる初期ユーザー獲得の段階では多くのスタートアップがこの手段をとっており、サービス提供者側としてもサービスの一貫性をコントロールできるメリットもある。
【事例】Etsy
手作り商品を各個人が出店できるオンラインマーケットプレイス、Etsyは2016年の時点で、170万人の出店者と2860万の顧客がいるといわれている。彼らはサービス開始初期、アメリカ全国のクラフトフェアにいき、最適と思う出店者を選び抜きし、Etsyに店を出すことをピッチしていったという。
Etsyの場合はCtoCのサービスであり、初期の出店者はEtsyがどんな商品を扱うマーケットプレイスなのかということを示す、ブランドやユーザー体験の大切な要素なのである。苦労して見つけ出す甲斐は十分にあると言える。
4. 小さく始める
「初期ユーザー獲得に苦戦する起業家達へ、9人の先輩CEO達からのアドバイス」でもスタートアップならではのマーケティングチャネルとして以前にも紹介したが、スタートアップは大企業のように最初からマスを狙う必要はない。むしろサービス開始初期は小さなコミュニティーやローカルにリーチすることで、プロダクトの価値をより深いレベルでユーザーに伝えていくことができる。
【事例】Tinder
マッチングアプリのTinder2012年創業、2015年時点では5000万人のアクティブユーザーがいると言われている。彼らもはじめは大学というコミュニティーに限定をした。創業者の自宅でパーティを開催し、アプリのダウンロードを入場チケットとしたのである。
しかも参加者は自宅付近の大学の女子大学生社交クラブ(sorority)や男子学生親睦会(fraternity )に限定して”イケてる”パーティにしたのである。この口コミが彼らのコミュニティ内でも広かっていき、その枠を超えてユーザー獲得に一役買ったのである。
5. ユーザー獲得前に、サクラを作っておく
これは初期ユーザー獲得のためというよりは下準備に関する施策である。特にCtoCのサービスはビジネスにとってはサービス提供者もユーザーであり、サービスの利用者もユーザーである。このどちらの獲得から着手するかという問いの答えはシンプルで、サービス提供者のユーザーである。
しかしながら、サービス提供者にサービスの利用を勧めるとしても、サービス利用者がほとんどいないプラットフォームにあまりメリット見出してくれないだろう。そこである程度、人工的にサービスが行われている様子を作ってしまおうという作戦である。
【事例】Quora
QuoraはYahoo!知恵袋のようなユーザーが質問を投稿し、他のユーザーがその回答をするというプラットフォームで2015年には月のアクティブユーザーが1億人まで達した巨大サイトである。Quoraにとってユーザーがいないということは質問もないということであり、質問がないということはそれに回答するユーザーも閲覧するユーザーもいないということである。
そこでQuoraの創業者は自分で投稿し、回答していたという。プログラミング関連の質問と回答を載せていき、人を呼び込んだのである。もともとQuoraはサイト内でのやりとりを増やすために招待制にしていたこともシリコンバレーのテック関係者で広まっていったという。
Quoraの創業者は実名でさくらを作っていったが、創業当初、ユーザーとしてサービスを発生させて置いてから初期ユーザー獲得をしていくことも必要かもしれない。
地道で真新しいことはなかった、スタートアップの初期ユーザー獲得方法
事例はどれもオンラインサービス企業ばかりだが、彼らの初期ユーザ獲得方法はオフラインでの施策が多く地道であることがわかる。どんな成果をあげたスタートアップもユーザーはゼロから始まっている。
最初はなかなかユーザーの獲得がうまく行かず、心が折れることがあるかもしれないがぜひ先輩スタートアップも通った道だ、マジックなんてない、と思って前進していただきたい。
また、今回紹介した方法の成果や成功率をあげる方法があるとしたらそれはネットワークかもしれない。例えばローカルにサービスを広めていくために最初の切り口となるローカルの人やコミュニティーにすでに繋がりがあると話は早いし、直接スカウトしにいくなら、あなたがどんな人なのかもサービスを使う判断基準になるかもしれない。また知り合いが直接サービスの業界に属していなくてもその知り合いがアドバイスをくれるとも考えられる。
しかしながらそのネットワークも1日にしてならずなのでスタートアップ従事者には忍耐力も必要であろう。
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