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【給与差1.4倍】グラフィックデザイナーからUXデザイナーになる方法
ビジネスにおけるデザインの重要性が高まるにつれて、デザイナーに求められるスキルに変化が生まれている。これまで”デザイナー”と言うと、見た目の綺麗にしたり、開発がある程度完了したプロダクトの見た目を綺麗にしたり、広告のクリエイティブを作成する、いわゆる”絵を描く”作業を行う職業と思われきた。
しかし、デザイン思考やサービスデザインなどの新たなプロセスを通じ、企画の段階からデザイナーが関わるケースや、デザイナー出身の経営者のいる企業の活躍などでデザインがよりプロダクトやビジネスの根本に影響を与え始めている。
これにより、時代の変化とともに”デザイン”の領域がどんどん広がってきている。簡潔に言うと、美しさの提供、コミュニケーションの効率化から始まり、プロダクトの魅力の最大化、そして問題解決に対するプロセス構築までの全てを担う役割全てである。
注目されるUXデザイナーという職種
このような時代の変化の中で新たなデザイナーの役割と職種名が生まれ始めている。その中でもここ数年でもっともホットなのがUXデザイナーだろう。こちらサンフランシスコでは、その需要の大きさから、多くのデザイナーがUXデザイナーへの”転職”を初めている。
グラフィックデザイナーとUXデザイナーの平均給料差は約1.4倍
これはサンフランシスコでのケースであるが、グラフィックデザイナーの年間平均給与が$70,000であるのに対し、UXデザイナーは$97,704であり、そこには1.4倍の開きがあった。理由は明白で、よりビジネス的価値に直結している種類のデザイナー職の方が高い報酬を与える価値があると企業が判断しているからである。
そもそもUXデザインって何?
ではその注目されているUXデザイン、そしてUXデザイナーって何なのか?まずUX. これはUser Experience (ユーザー体験) の略で、一言で言ってしまえばサービス利用者の体験そのものを示す。以前の記事「誰にでも分かるUXの基本」下記のように記されている。
“サービス提供者はプロダクトやシステムの品質・機能等を提供し、それらを受け取ったユーザーはその経験を振り返ることで初めてサービス価値を認識する。ここの機能と価値をつなぐ役割こそがUXデザインなのだ。
注意したいのが、ここでのデザインとは見た目や雰囲気だけではなく、製品やサービスそのものを設計することが最も重要だということだ。”
そしてその利用体験を企画段階から戦略的に設計するのがUXデザイナーの仕事となる。”デザイナー”のキーワードが入っているが、その内容はユーザー調査から始まり、仮設立案、プロトタイプ作成、実験、検証、改善、など多岐にわたる。
ビートラックスのデザインチームも、このUXデザイナーを中心に編成されているが、それぞれのスタッフのバックグラウンドとスキルセットには幅がある。
なぜUXが注目されているのか
ではなぜ給料に大きな差が出るほどUXが注目されているのか。その理由は単純で、プロダクトの成功や企業の成長に直結しているからである。
これは時代の変化により、単に製品の品質だけではなく、顧客の獲得手段やマーケティング面でもユーザー体験が最重要項目になって来ていることが大きな理由である。それにより、UXデザイナーがある意味企業の”コア”の部分に置かれ始めている。
グラフィックデザイナーがUXデザイナーになるための5つの方法
ではどのような方法でグラフィックデザイナーがUXデザイナーに”転職”することができるのか、その5つの方法を紹介する。
1. 個人作業からチームプレーヤーになる
フリーランスのグラフィックデザイナーが多くいることからも分かる通り、グラフィックデザインは1人で職人的な作業が多い。しかしこれがUXデザイナーになると、一人で作業をする時間がほとんどないと言って良いだろう。
ユーザーとの対話、経営層からのヒアリング、プロダクトチームとのディスカッション、エンジニアとのプロトタイプ作り、マーケティングチームとの顧客獲得における体験設計など、仕事中は必ず誰かと一緒に仕事をしていると考えて良い。
グラフィックデザイナーはソロ、UXデザイナーはチーム。それを考えると全て一人で完結する必要がない。逆に、メンバーそれぞれのスキルと強みを活用して結果を生み出す事が求められる。この辺は一人で戦っていた初代ドラクエと、その後のパーティー編成での戦い方の違いにも通じるところがある。
ちなみにbtraxでの一般的なプロジェクトチーム編成は下記のようになっているケースが多い:
- プロジェクトマネージャー
- クリエイティブディレクター
- ビジュアルデザイナー
- UXデザイナー
- コピーライター
- マーケター
2. 完璧主義を捨て去る
グラフィックデザイナーの仕事はできるだけ”完璧な”作りこみをすること。ミリ単位のずれを無くし、素材や発色にもとことんこだわる。まさに職人的仕事になる。
それに対し、UXデザイナーはデザインスプリントに代表されるように、速いスピードでの仮説立案とモックアップやプロトタイプ作成が求められる。そこで作り出されるものは、”ラフでも良いから検証可能なデザイン”であり、完成とはほぼ遠い不完全なデザインであることも少なくない。
UX設計の際に作成されるペーパーモックアップ
体験をデザインするためには、ユーザーとの対話が最優先になり、1mm単位での職人的デザイン力は二の次になる。UXデザイナーの仕事としても、ざっくりとした大枠を決め、検証し、そこから導き出された枠組みをビジュアルデザイナーに手渡しし、”清書”してもらう。
その点で元々グラフィックやUIのデザインを行なって来たデザイナーはそのスキルを一度”切り離す”必要が出てくる。一般的に新しいことを学ぶ”Learn”よりも、すでに身についていることを忘れる”Unlearn”の方がよっぽど難しく、かなり苦しいところであるが、理解しなければならない。
3. デザインを目的から手段に
UXデザインの最終的なゴールはビジネス的目的とユーザー的目的の両方を達成することであり、デザインすること自体はあくまでその手段の一つでしかない。しかし、グラフィックデザインは意外とそれが逆であることが多い。
見た目を良くする、メッセージが伝わりやすくする、かっこ良さを演出するなど、”良いデザインをすること自体”が最終的ゴールになる。
その一方で、UXデザインにおけるデザインの役割は最適なユーザー体験を通じビジネスゴールを達成するための手段であり、デザインがある意味”黒子”の役割になる。
そこにはデザイナーとしての自己主張よりも、あくまで主役はユーザー。それも見えないルールでユーザーを無意識のうちに導いてあげる設計を作り出す事が求められる。
雰囲気だけでクールなアイコンや可愛いイラストを使うのではなく、ユーザーの求めるゴールをもっともストレスなく達成したり、1%でも送信率の高いWebフォームを設計する事がUXデザイナーの仕事となる。
ユーザーとビジネスのゴールが合致するかどうかを見極め、アイコンやイラストを採用するかしないかを冷静に判断する必要性が出てくる。
そのために、”誰が” “いつ” “何を” “何を目的で” ”どのように” 使うかを包括的に考えなければならない。そのためにブランディング面も考慮した上で、場合によって”デザイン性”を犠牲にする冷静な判断が求められる。
4. 組織での影響力をアップさせる
プロダクトの成功と会社の成長、この二つを鍵を握るのがUXデザイナーの仕事だとしたら、企業内での重要性はかなり高いはず。
その一方で、グラフィックデザイナーは、全ての企画、仕様、場合によっては試作品が完了してから、”イケてるルックスにしておいて” 的なノリで仕事を振られるケースが多い。だとしたら、これからUXデザイナーになる人は、社内で異なる役職や部署の人たちを巻き込んで、包括的な仕事の仕方をする必要があるだろう。
そのためには出世も一つの手段であるが、意外と盲点なのが”影響力の高さ”である。どこの会社や組織でも、特に高い役職に就いているわけではないのに、妙に周りの人を巻き込むのが上手い人がいる。UXデザイナーは多くの人を巻き込む必要があるため、この影響力は不可欠である。
そのためには人間的魅力をアップさせ、多くの人の心を掴む必要が出てくる。
これまでは誰もいない部屋で一人でヘッドフォンをしながら黙々とデザインをしていたデザイナーも、UXデザイナーになりたいのであれば、自ら多くの人と触れ合い、異なる考え方を理解し、組織内でのキーパーソンにならなければならない。
その点においても、これからはデザイナーは職種ではなくマインドセットである、と言われるのも頷ける。
5. Looks goodからWorks great! へ
これまで1mmや1pxをストイッックなまでに追求して来た人たちは、ついついそれに没頭するがゆえに”どう見えるか”のクオリティーにとらわれ、”どのように動くか”を忘れがちである。
しかし、異なる複数のデバイスやタッチポイントにおいて、全てがインタラクティブになって来ている今の時代、”静止画”の見た目が良いだけで完結するケースが壊滅的に減って来ている。
より良い動きをデザインするためには、見た目以上にコンテンツやインタラクティブ要素、異なるタッチッポイントでの”感覚的要素”の設計が重要になってくる。そのためにはラフでも良いのでプロトタイプ作成のスキルが求められる。
デジタルであればざっくりとしたコーディングや、プロトタイピングツールを活用したプロト作り、アナログであれば、紙やテープなどで”工作”をする事でダーティープロトを作成する。
それが店舗であれば、自分で店員さんを演じるなど、これまでは学校で副教科とされてきた、図画工作、自由研究、学芸会のスキルが役立つ。
まとめ: これからのデザイナーはスペシャリストとジェネラリストの掛け算
これまでのデザイナーはかなり専門的な役職とされてきているが、上記のトレンドからもわかる通り、これからはビジネス全体に対しての影響力が高くなるため、チームワークや、リーダーシップなどのスキルを磨く必要がある。同時に、ジェネラリストとしての能力も求められてくると考えられる。
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