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驚きの真実 〜その多くが実はシリコンバレー発ではない〜
Twitter、Pinterest、Uber。最近では名前を知らない人を探すほうが難しいのではないかと思うほど、シリコンバレーを代表する企業として日本でも知名度・影響力はすでに非常に高い。
最近ではテクノロジー系だけではなくビジネス関連のニュースでも毎日の様にシリコンバレー関連のニュースが届けられ上記を初めとしたスタートアップの話題にも事欠かない。
しかしながら、その多くの場合はその情報が間違っている事はあまり知られていない。これらの企業を初めとして、最近に話題になるシリコンバレー発と伝えられるスタートアップのその多くが、実は、シリコンバレーの企業ではなく、サンフランシスコの企業である。
しかし、サンフランシスコはシリコンバレーの一部だと思うかもしれない。実はそれは大きな誤解である。地理的にも文化的にも、そして概念的にもサンフランシスコとシリコンバレーは大きく異なる。
そもそもサンフランシスコが市の名前であるのに対し、シリコンバレーは複数の都市が集まった地域の総称である。そして、最近ではサンフランシスコ関連の情報なのにも関わらず、未だにシリコンバレーという呼び名で伝えられる。
場合によっては「シリコンバレーツアー」と銘打っておきながら、サンフランシスコにしか来ない事等もある。単純に日本では”シリコンバレー”という名称の方が馴染みがあるので使われている場合も多い。実際は千葉にあるのに東京ディズニーランドと呼ばれているのに似ている。
そして、日本にいるとわかりづらいが、最近話題のサンフランシスコのスタートアップは、シリコンバレーのものとは少なからずとも異なった文化と感覚を形成している。
加えて、スタートアップの中心地、しいてはイノベーションの中心地はシリコンバレーからサンフランシスコに移りつつある。
その証拠に、Seedtableが行った調査では、テクノロジー系スタートアップが盛んな都市ランキングでサンフランシスコは一位を獲得している。パロアルトやマウンテンビューなどシリコンバレーを形成する都市も一応このランキングのTOP10には位置しているのだが、これらの都市が複数合わさってもサンフランシスコに及ばない。
スタートアップ創業数、彼らへの投資件数、エグジット数においてサンフランシスコは世界1位の都市である
出典 : 「San Francisco Has the Most Active Start-Up Scene」
そして今回は、2014年の年末に、サンフランシスコ/シリコンバレーにて日本起業家支援を行う団体、SVJENが主催した「起業家トークセッション」において、btrax(ビートラックス)CEOのBrandon K. Hillが行ったプレゼンテーションをもとにして、サンフランシスコとシリコンバレーのスタートアップの違いについて述べていきたい。
シリコンバレーとサンフランシスコとの主な違い
物理的な位置の違い
サンフランシスコとシリコンバレーはそもそも物理的に離れている。サンフランシスコ空港から南に広がる地域がシリコンバレーであり、サンフランシスコは、空港の北側に位置する小さな街である。
サンフランシスコからシリコンバレーに行くには車で通常約1時間ほどかかる。また、サンフランシスコは、「市」であるのに対し、シリコンバレーはマウンテンビュー、サニーベール、パロアルトなどの複数市がいくつか合わさった地域の総称を表す。
サンフランシスコはシリコンバレーの一部だと思われている日本の方も多くいるが、実際はそれは間違いで、物理的にも距離がある。地元の人はシリコンバレーとサンフランシスコを含めた地域を総称して「SFベイエリア」と呼ぶ
成り立ちの違い
1. 半導体産業から生まれたシリコンバレー
ご存知の方も多いと思うが、シリコンバレーという名称は元々、インテルやナショナル・セミコンダクターなどをはじめとした多数の半導体メーカーが集まっていたことと、渓谷という地形に由来する。
そして半導体産業が勃興した後、アップルなどのコンピューターメーカーが生まれ、また現在ではGoogleやFacebook、Adobeといった多くのソフトウェアメーカーやIT企業が拠点を構えていることで有名である。
シリコンバレーの発祥に大きな影響を与えたIntelのキャンパス
2. 様々な異文化を受け入れて多様な文化を育むサンフランシスコ
1849年に起こったゴールドラッシュに始まり、第二次世界大戦中には軍事活動のハブとなり、1960年代のヒッピームーブメントが生まれるなど、サンフランシスコは歴史を通して常に様々な異文化を吸収しながら発展してきた。
結果として、いくつもの独自の文化を育む稀有な土地となった。このような、独自の文化が混在する環境、そして異文化を受け入れることが出来る柔軟性が、サンフランシスコにおけるスタートアップ事情を語る上でとても重要な要素になる。
サンフランシスコの文化を代表する”LGBT Pride Celebration and Parade”の様子。これまでサンフランシスコは多様な文化受け入れてきた
テクノロジー、カネ、そしてアカデミックな分野に有利なシリコンバレーのスタートアップ
上記のような成り立ちからも分かるように、シリコンバレーを語る上で最も外せないキーワードはテクノロジーである。半導体から始まり、最近ではバイオテクノロジーにいたるまで、非常に高度なテクノロジーが主体になる製品は今でもシリコンバレーを中心として発展している。
次にスタンフォード大学が拠点を置くシリコンバレーはアカデミックの分野についても素晴らしい環境が整っている。メディカルやクリーンエネルギーといったアカデミックで高度な知識が必要とされる分野が育ちやすく、また大学と連携して何かを生み出すことがしやすい環境がシリコンバレーにはある。
シリコンバレーを語る上でもう一つ欠かせない要素がお金である。世界でもトップレベルの投資家やVCファームが数多く存在するため、投資の額では世界的に見てもシリコンバレーは現在でもずば抜けている。
シリコンバレーVC界で最も ”ワイルドだろ?” な男 – デイヴ・マクルーア(500Startups)に学ぶ起業&投資の極意
高いデザイン性を誇るサンフランシスコのスタートアップ
サンフランシスコのスタートアップを表す上で、非常に重要なキーワードは「デザイン」である。若者が多く、デザイン関連の学校も多いサンフランシスコの人々は多くのデザイナーだけではなく、そこに住んでいる多くの人達が総じて高いデザイン感覚を持っている。
数々のテクノロジーのコモディティ化が進む中で、昨今ではテクノロジーの先進性よりも、最終的にユーザーがどう感じるかというデザイン性やユーザーエクスペリエンスがより重要視されるようになってきている。
加えて、IDEOやFrog design, Cooperといった世界でも非常に影響力の大きなデザイン会社も多数存在する。こうした点からみても、サンフランシスコという街にはデザイン性が高く、センスの良い企業を惹きつける魅力があるのかもしれない。
また、70年代のヒッピー文化から流れを組む、常識に捕われずに世界平和や社会に貢献する、という文化がこの街のスタートアップの気風にも脈々と流れており、UberやAirbnbなど、多くのスタートアップが破壊的イノベーションを通じて社会への新たな価値提供をビジョンとして掲げている。
そうした状況の中で、サンフランシスコのスタートアップは、より今の社会の需要にやユーザーのニーズにマッチしたプロダクトを作ることに長けており、そのため社会に与えるインパクトも大きなものになるのかもしれない。
また、彼らのデザイン性へのこだわりはオフィスにも見て取れる。サンフランシスコには使われなくなった倉庫が多く存在するのだが、彼らスタートアップはそれらの倉庫をリノベーションし、デザイン性が非常に高く、個性的なオフィスに仕上げている。
倉庫を改造して作られたAirbnbのオフィス。中には世界中の様々な部屋をモチーフにした会議室が存在する。
都市としてのサンフランシスコの特徴
サンフランシスコは歴史的に見ても新しいものを常に吸収していく柔軟性に富んだ都市であり新しいサービスを作り出すスタートアップとの相性はもちろん良い。これまでの常識に疑問を持った人々が集まり、どんな突飛なアイディアだったとしても決して否定しない。まずはやってみる事から始める。そんな雰囲気でみなぎっている。
1. 労働環境としての高い人気
最近では、柔軟で自由な雰囲気が多くの若者を世界中からサンフランシスコに呼び寄せる大きな要因となっている。またサンフランシスコは交通の便も非常に良く、車がなくとも電車やバスを乗り継げば街中どこでも行けてしまう。
こうした自由な雰囲気、交通の便の良さなだが相まって、サンフランシスコは働く環境としての人気を獲得してきている。
その影響もあり、最近ではGoogleやSalesforceなどがサンフランシスコにもオフィスを構えたり、AppleやFacebookがサンフランシスコからの通勤バスを設置するなど、シリコンバレーに本拠地を構える有名大企業も人材獲得のためサンフランシスコに集まっている傾向にある。
2. スタートアップ過密地域
サンフランシスコ市の面積は山手線の内側程しか無く、人口も80万人弱と少ない。そんな街の中で、スタートアップは街の東側に密集している。もっと厳密に言うと、SoMAと呼ばれる特定の地域に集結しているのである。
こうした背景もあり、サンフランシスコでは毎晩スタートアップ関連の様々なイベントがいくつも開催され人の交流が盛んに行われる。このような状況においては、人材の流動や情報交換が頻繁に行われる。新しい企業やカルチャー、イノベーションが次々と生まれる背景には土地が非常に狭いサンフランシスコの特徴が影響しているのかもしれない。
サンフランシスコのスタートアップの分布図。地図内で特にスタートアップが密集しているのが、SoMa地区。btrax(ビートラックス)もこのSoMA地区に本社を構えている。
出典 : 「A man walks into a bar and asks “does anyone here work at a startup?”」
また、サンフランシスコには複数のスタートアップが同じ空間を利用する、コワーキングスペースも多く存在する。こうした環境もサンフランシスコにスタートアップが集まる大きな要因になっている。
あの有名なInstagramも実はサンフランシスコ発のスタートアップ。そして、彼らはDogpatchラボというコワーキングスペースで創業期を過ごした。サーバーのパンクなど幾度と無く訪れたピンチを救ったのは、同じDogpatchラボの居住者仲間だった。Instagramがもしサンフランシスコで創業していなければ、今の成功を手にしていなかったかもしれない。
イノベーションの中心地はシリコンバレーからサンフランシスコに
10 ~ 20年前はシリコンバレーが常に新たなスタートアップが生まれる土地であり、イノベーションを起こし続ける場所であった。しかし、上記に挙げたような、独特な街の雰囲気・文化、働きやすさ、高いデザイン性、密集度などといった理由から、昨今スタートアップの中心地はサンフランシスコに移りつつある。そして、イノベーションの震源地もサンフランシスコに変わりつつある。
btraxが10年間サンフランシスコにこだわる理由
上記に述べてきた理由に加えて、デザインコンサルティングを提供しているbtraxも本社をサンフランシスコとする理由は他にもいくつかある。
- おしゃれな街からデザインのインスピレーションを受けられる
- お金ではなくて、それ以上のものを目指している人が多い
- イベントが充実していて、スタートアップの勢いを間近で感じられる
- ヒッピーの文化から生まれたエキセントリックなアイディアに触れられる
こうしたサンフランシスコの魅力はイノベーションプログラムを通じても直に体感出来るので、興味のある方は是非お問い合わせ下さい。
Stay hungry, stay foolish
– Steve Jobs (born in San Francisco)
【イベント開催!】Beyond Borders: Japan Market Success for Global Companies
日本市場特有のビジネス慣習や顧客ニーズ、効果的なローカライゼーション戦略について、実際に日本進出を成功に導いたリーダーたちが、具体的な事例とノウハウを交えながら解説いたします。市場参入の準備から事業拡大まで、実践的なアドバイスと成功の鍵をお届けします。
■開催日時:
日本時間:2024年12月6日(金)9:00
米国時間:12月5日(木)16:00 PST / 19:00 EST
*このイベントはサンフランシスコで開催します。
■参加方法
- オンライン参加(こちらよりご登録いただけます。)
- 会場参加(限定席数) *サンフランシスコでの会場参加をご希望の方は下記までお申し込みまたはご連絡ください。(会場収容の関係上、ご希望に添えない場合がございます。予めご了承ください。)
- 対面申し込み:luma
- Email(英語):sf@btrax.com
世界有数の市場規模を誇る日本でのビジネス展開に向けて、貴重な学びの機会となりましたら幸いです。皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。