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【イノベーションはこのようにして生まれる】 SF Startupオープンハウスイベント: OpenCo SF
“最近のホットなスタートアップは全てサンフランシスコを中心としている。既に時代はシリコンバレーではない。
” SV Angelの代表であるカリスマ投資家のRon Conwayは大胆にもそう語った。壇上には彼の他にTwitterのCEO, GithubのCEO, Web 2.0 Expo主催者が並ぶ。
10月11日夜にSOMAにて彼ら豪華ゲストを前いたこのパーティーは、翌日に開催されるOpenCo SFと呼ばれる”前代未聞”のイベントの前夜祭である。
OpenCo SFは、サンフランシスコ市長自らの主導で展開されていた10月の”Innovation Month”キャンペーンの目玉として開催された。その目的は、現在サンフランシスコがイノベーションの中心地とされているその理由を多くの人々に知ってもらう事。実はこのイベント、全てにおいて既存の概念を覆すものだった…。
イベント自体がイノベーション
通常イベントは、コンベンションセンターやホテルの等のイベント会場に多くの人が集まり、ピッチ、セミナー、展示会、交流会等を行うのが一般的である。今年初の試みとして開催された今イベントは、全く逆の発想で、参加者がサンフランシスコ市内にオフィスを構えるスタートアップのオフィスに訪問するという”オープンオフィス”フォーマット。
面白いサービスやプロダクトがどのような所でどのような人達によって造り出されているかが直に体験出来てしまう。それもその数なんと85社。中には世界で話題になっているようなスタートアップも含まれ、イノベーションの生の現場を見る事が出来る。開催時間である9amから7pmの間をそれぞれ45分ずつに分け、各タイムスロットごとに市内数カ所のエリアに点在するオフィスを訪問する。まさにスタートアップ版ディズニーランド状態である。
このイベント、その他にも下記のようにかかなり革新的なポイントが幾つもある:
開催直前までその実態が謎
このイベント、こちらのイベント公式サイトを見ても分かる通り、実態がかなり分かりにくい。というのも、敢えて詳しい内容を公表しないことで、本当に興味のある人達にだけに来てもらいたいというのが狙い。実際に登録してみて始めてその詳細が明かされ、前夜祭パーティーは当日になってから会場情報が公開された。第一回目ということで、あまりド派手にしたく無いという想いもあったらしい。しかしながら今回のイベントへの参加者は2,000人近い。
話題のスタートアップ85社が一斉に参加
第一回目の開催にも関わらず、オープンオフィスのホストとして参加したのは85社。最近出来たばかりの小さな会社から、Google, Twitter, Salesforce, Adobe, Zynga等のビッグネーム、そして、Gitfub, Airbnb, Klout等の最近急激に話題のスタートアップまで、市内にオフィスのある数多くのスタートアップのオフィスに訪問が可能。
参加した企業の一部:
• Twitter • TCHO Chocolate • Melt • PUBLIC Bikes • Zynga • Airbnb • One Kings Lane • Federated Media Publishing • Adobe • Jawbone • Lemnos Labs • UCSF • Rock Health • Yammer • Kaggle • Automattic/WordPress | • Nextdoor • Eventbrite • Climate Corporation • Cloudera • Float • GAFFTA • Getable • Gumroad • HotelTonight • JiWire • Klout • Mad Valley (Universal Mccann) • MAP • Mashery • Okta • Optimizely • PeopleBrowsr | Kred | • Code for America • Postmates • Practice Fusion • Quantcast • Radium One • RidePal • RocketSpace • Salesforce • SamaSource • SAY Media • Singly • Starmaker • Stipple • TastemakerX • TinyCo • Wikia • Xoom Corporation |
参加企業マップ
CEO自らがプレゼン+参加者と交流
このイベントが凄いのは、単にオフィスを訪問するだけでは無いところ。決められたタイムスロットに合わせて多くの会社でCEOが会社のビジョンや最近の動向等のプレゼンを行う。そして、その後、カジュアルな雰囲気で交流する事もできる。
こちらの記事では当イベントにて行われたGithub CEOのプレゼンの様子がうかがえる。ちなみに、同じタイムスロットに8社程度がスケジュールされているので、1つのセッションでの参加者が10人以下の場合もあった。お近づきになる絶好のチャンスである。
ビッグネームやインフルエンサーが全面協力
多くのスタートアップを取りまとめる為に、市長自らが指揮を取り、上記のRon Conwayを始めとして、多くの影響力の高い人々がボランティアで参加している。実際にOptimizelyのCEOのPeteもRon Conwayからの誘いでイベント参加を決めたと言っていた。ちなみに、メインのイベント発起人はWeb2.0カンファレンスを主催するWebスタートアップ界のゴッドファーザーJohn Batelle.
スケジュール+ブッキングは全てオンラインで管理
イベントサイトに登録し、ログインすると訪問出来る会社のリストが時間ごとにリストされ、地域や業種によって分かりやすく色分けされている。そのリストから希望する会社をクリックし訪問予約を行う。タイムテーブルがとても分かりやすく、スケジューリングがしやすくなっている。ちなみに、サイト上で満席とされているオフィスも全く問題無く入る事が出来た。この辺もアメリカらしい。
参加は完全無料
そして一番驚くべき事は、このイベントが全て無料であるという事。主催のBatelle氏曰く、”スタートアップ関係者はお金が無いのが一般的であり、完全無料にする事で、VIP/一般等の分け隔てを作りたく無かった。全てをオープンにしたかった。American Expressを始めとしたスポンサーの協力も大きい“との事。実際に参加してみると、無料どころかそれぞれのオフィスには、食事や飲み物、お酒が用意され、ノベルティーを配る会社もおおかった。昼間っから”まあ、ビールでも飲んでてよ”のノリはサンフランシスコならでは。
Wifi完備の無料シャトルバスも有り
なんと、無料なだけではなく、訪問する会社を移動する用に主催者側で無料のシャトルバスも提供。市内のハイテクバス会社の協力により社内Wifi完備のバスを無料提供してもらう事に成功した。当日はbtrax社の目の前にもイベント向けシャトルバス停留所が設置されていた。
なぜスタートアップはサンフランシスコにこだわるのか
OpenCo SFイベント向けのプレゼンテーションで多くのスタートアップCEOがしきりに語っていたのが、”サンフランシスコでなければならない理由”である。一昔前まではWebスタートアップやイノベーションの代名詞はシリコンバレーであった。
しかし、現在周りを見渡してみると、話題になっている多くのスタートアップがサンフランシスコ市内にオフィスを構える。その中には元々シリコンバレーでスタートし、最近市内に引っ越してきた会社も少なく無い。では、なぜ多くのスタートアップがそんなにもこの街にこだわるのか。イベントを通して分かってきた、サンフランシスコという街に宿るそのマジックをまとめてみる。
街の面積が小さい
日本から来られる多くの方が来てみて驚くのが、この街の小ささ。市内は全て半島上にあり、3方海に囲まれている。実面積も12平方Kmで、山手線の内側とほぼ同じ大きさ。そして、人口は100万人にも満たない。そのうえ、上記のイベントマップでも分かる通り、大多数のスタートアップのオフィスは街の東部に位置している。実はこの小ささが、スタートアップにとっては非常に有利に働いている。
ランチタイムには近くのスタートアップ関係者と会って話す事も出来るし、ちょっとしたきっかけてオフィスに遊びに行く事も多い。そして、人の交流が多い事でコラボレーションも生み出しやすい。また、アメリカには珍しく、車通勤が少ないので、仕事帰りにふらっと寄ったイベントやパーティーでお酒を飲む事も出来る。実際に市内でのイベントもとても頻繁に行われている。
ハードコアエンジニアよりもデザイナーやハッカー
過去15年間に渡り600社以上に投資をしてきたRon Conwayによると、10年前は投資した会社のその多くがシリコンバレーにあり、チームの75%がエンジニアで構成されていた。一方、ここ数年の投資先の多くがサンフランシスコにオフィスを構え、チームの65%がデザイナーやUI/UX担当だとの事。
フレームワークやライブラリの発達により、ここ数年でエンジニアリングのコモディティ化が急速に進み、プロダクトの善し悪しを左右するのは使い易さや見た目の美しさ、そして企画の面白さになってきている。ハードコアエンジニアが初期チームにいなかったTwitterが良い例。ちなみに現Twitter CEOのDick Costero氏は今回のイベントで、”Twitterはサンフランシスコの会社であることが誇りなんだ” と発言。
少人数のチームでスタートアップが可能な時代に
最近ではスタートアップに必要とされるチームの人数が極端に少なくなってきている。デザイナー+エンジニア+ビジネス系が定番とされるが、実に1人で回している会社も少なく無い。小さいチームの場合、この小さな街では、コワーキングスペースを借り、他の会社の人からもアドバイスをもらいながらプロダクトをリリースする。この街は小さいチームに最適化されている。
キーワードは”オープンコラボレーション”
上記にも関連するが、この街で生活していると、人々の分け隔ての無さが非常に心地よい。誰に対してもオープン、そしてチャンスがあればコラボレーション。競合社であっても、スタッフレベルではかなり仲がよく、交流も頻繁である。老若男女、社会的ステータス全く関係なく、スタートアップのスピリットを持った人達は”オープンコラボレーション”をメインのコンセプトとして考えている。だから今回もイベント名も”OpenCo”SFなのである。
オシャレ、スタイリッシュ、遊び心のあるカルチャー
以前にもサンフランシスコのオフィスに於けるそのクリエイティブでユニークな雰囲気に関して書いた通り、市内のオフィスには共通点がある。まず何よりもオシャレである事。オシャレでスタイリッシュなスタッフが働きたくなるようなインテリアで、彼らのクリエイティビティが最大限に引き出される。自由な雰囲気の中、仕事は極力楽しく行い、休憩時間にはオフィスに常備されている卓球を楽しむ。そして彼らが創り出すサービスはもちろん美しく、楽しく、使いやすい。
奇抜な発想で既存の考えをひっくり返し、新たなマーケットを創り出す人々
全米から見てもサンフランシスコの人達はエキセントリックであり、それがこの街の最大の個性となっている。人と違う事を賛美するこの街の文化は、世界中から多くの奇人変人を集め、既存の概念に捕われないサービスアイディアを日々考えている。
そして、スタートアップの人々が最も興味があるのは新しい市場を生み出す事。既存の環境やインフラを活用し、それに少しだけ奇抜なエッセンスを加える事で逆転の発想からイノベーションを造り出し、今までに無い全く新しいマーケットを創り出している。Uber, Zipcar, HotelTonight, Airbnbなどが良い例だろう。
やっぱりサンフランシスコは世界一だ
一昨年の2010年に続き、今年2012年もサンフランシスコの地元野球チームであるSF Giantsがワールドシリーズを制し、優勝した。スタートアップだけにとどまる事無く、やはりサンフランシスコは世界一の街なのだ。
筆者: Brandon K. Hill / CEO, btrax, Inc.
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