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日本の企業がグローバル進出するべき3つの理由
なぜグローバル進出が重要なのか – 3つの理由
グローバル展開というと何かしらかっこ良いイメージがある。自分の会社も全世界で通用するプロダクトが欲しいと思っている人も少なく無いのではないか?
例えばコカコーラやマクドナルドなど、どの国に行っても地元の人に認知されているブランドはやはり世界一流のイメージがある。
その一方で、イメージやかっこ良さ以上にビジネスをグローバルに展開するもしくはしなければならないロジカルな理由が幾つかある。
1. 市場が大きい
日本国内の市場と世界市場を比べてみると、その規模は10倍程違う。
単純に考えて同じ努力をするのであれば、得られるリターンは10倍大きい方が良い。日本の企業とアメリカの企業の圧倒的な違いの一つは狙う市場の大きさであろう。
日本の企業の大半は日本の市場のみを対象としているのに対し、アメリカの企業は最初から世界市場を視野に入れている。それによる具体的な利点は想像以上に大きい。
世界市場は年率何%かずつのびているが、日本はここ20年GDPは横ばいである。おそらくこれ以上国内市場の伸びを期待するのは難しい。
2. プロダクトをフォーカスすることができる
グローバル市場を視野に入れてビジネス展開をする際の最も大きいメリットは恐らくプロダクトをフォーカス出来る事であろう。例として日米のテクノロジー関連の企業のサービスを考えてみよう。
例えばAmazon, Tiktok, Dropbox, Pinterest, Airbnb, Uberなどの海外企業が提供するサービスは、基本的には一つしか無い。
成功しているこれらの企業が提供するのは、その企業名と同じ”たった一つ”のサービスである。日本企業が得意とするいわゆる”横展開”をしている企業はあまり多く無い。
一方で日本の同じ業界の会社で、”これだけ” を提供しつづけ、長期的に会社を成長させられる会社は非常に少ない。
日本の大手IT企業は次から次へと様々なサービスをリリースしている。これは何故なのか?答えは簡単で、一つのサービスからの収益だけだと会社の経営を支えられないからである。
多くのスタッフが残業をし、幾つかのサービスを展開してやっと一つの会社が成り立っているのが日本企業の現状である。それはまるで副業をいくつか掛け持ちしてやっと生活が出来ている状態に近い。
そうしているうちに会社として様々な面でのフォーカスがぶれ、一つ一つの仕事に対してのクオリティーが下がり、世界の競合に勝てなくなってしまう。
もしもこれが一つのプロダクトにフォーカスする事が出来れば,最適な人材や資金、そしてノウハウが集まり、蓄積され、最適化が進む事で、自ずとプロダクトのクオリティも高いものになる。
そして会社は余裕のある経営、楽しい職場、社会貢献を軸としたビジョンを本当の意味で実現する事が可能になる。
世界市場を手に入れる事で、起業家にとってみれば当初掲げていたビジョンにそってやりたい事が出来るであろう。
しかし国内市場だけで経営を進めていくには、やはり多角的なサービス展開と地道なマネタイズを軸とした経営にならざるを得ないので、プロダクトが薄く広く広がってしまい、クオリティ面で海外のプロダクトに差を付けられてしまう。
3. 資金と人材が集まりやすい
日本とアメリカのVCの投資金額総額は10倍以上違う。10倍の市場を相手にするのだったら、単純に言って10倍の投資ができるというロジック。
日本市場だけが相手だったら10億円集める事がやっとだったとしても、世界レベルで展開出れれば自ずと想定されるリターンも大きくなり、調達出来る資金の額も大きくなりやい。
そして人材も集まりやすくなる。世界レベルで事業を展開すれば世界レベルでの人材の獲得も可能になる。給料だけではなく、その会社のビジョンや今後の可能性、社会的な影響力に魅力を感じて集まってくる優秀な人材は少なく無い。
もちろんそこには優れた語学力やリーダーシップ、マネージメント力が必要とされるが、もし日本国外の優秀な人材を惹き付ける事が出来れば、強いチームを作る事ができる。
国内だけだとなぜダメなのか
それでは逆になぜ日本国内市場だけで展開するのは良く無いのか。確かに国内市場からの売り上げがほぼ100%の企業も多く、彼らの中でもかなり上手くいっている会社も多々あるだろう。
しかしながら、現在そうであってもいずれは苦しくなっていく事は恐らく避けられない。
1. 優秀な人材が集まらない
冒頭にもあったが、「今年の目標は海外進出です!」と言いながら一向に進まない。
国内向けの業務に日々追われ、数年経ってもいっこうに具体的なプランが提示されない。そしていつの間にかなかった事になっている。そんなケースは少なくは無い。
そして、そのうち「ここの会社は将来グローバル企業を目指している」という事に惹かれて入社した社員のテンションはどんどん下がっていってしまうだろう。
2. 最初は日本が良くても時間が経つにつれて負けていく
同じような商品やサービスでも日本の方が良いケースは実はとても多い。しかしながら、しばらくすると国外の企業が提供する似たようなプロダクトに駆逐される場合が増えてきている。最初は日本の技術やアイディアの方がよかったとしても、中長期的には物量戦で負けてしまうのである。
例えば、第二次大戦開戦直後は、世界最高の技術力を武器に空中戦で圧倒的な強さをみせていたゼロ戦も、終戦に近づくにつれ米国の航空機の開発が進み米国の物量作戦の前に勝てなった。
長期的に考えると世界規模で展開する企業に集まるリソースやノウハウは国内企業も脅かす事になる。
3. 国内のニッチマーケットは小さ過ぎる
例えば米国のスタートアップが狙っているのは実はニッチマーケットなのである。しかしながら彼らが考えているのはグローバルニッチなので、それなりの大きさの市場になっている。
しかし日本国内のそれもニッチマーケットを狙った場合は、ものすごく小さなニッチレベルになるわけで、企業の成長も頭打ちになる。
加えて、国内で儲かる業種は非常に限られているとも言える。
ゲーム系、広告系、リクルーティング系、業務改善系などが例に挙げられるが、儲かる市場には他の企業もこぞって参加するので、熾烈な競争と潰し合いに巻き込まれやすい。
その結果、企業としては生き残る事に必死になり、最初に掲げていた社会貢献などのビジョンを貫き通す事が非常に困難になるであろう。
4. 国内のビッグマーケットは危険過ぎる
逆に国内のビッグマーケットを狙った場合はどうなるであろうか?市場規模を考えると日本人的なビジネス感覚では、どうしても国内の大きな市場を狙ってしまう。
それも仕方がない事である。なぜなら、大きくないと投資家も投資をしてくれないからだ。そして、国内での大きな市場なので、どうしても既存の大手企業との競合にならざるを得ない。
加えて、誰もが狙う大きな市場ということは、コモディティ化されたものになりがちである。そうなると、中国などの国々に参入される可能性が高く、過剰生産との競争、価格競争に巻き込まれやすくなる。
長年リソースを費やして開発したパソコンや電気製品や太陽電池などのテクノロジー製品も、現実を見てみると最終的にはモジュール化が進み、アジア諸国からより安価なものが発売され,日本企業は駆逐されてしまう。
うまくいかないパターン
今までグローバル展開を目指す数多くの方々にお会いする機会があった。その中には海外向けにサービスをリリースしたり、実際にアメリカに来てオフィスを開く場合もある。
しかし残念ながら、しばらくすると日本に戻ってしまったり、海外向けサービスが終了のお知らせになったりしているケースがほとんどである。そのようなケースを数々見ていると、うまくいかない場合に幾つかのパターンがある事が分かった。
1. あくまで国内市場重視
たとえ海外向けにサービスをリリースしたり、国外にオフィスを構えたりしたとしても、当然最初のうちの収益のほとんどは国内市場からになってしまう。グローバルに展開するには長期的なプランとかなりの忍耐が必要とされる。
短期的に考えると国内市場の方が収益は上げやすいだろう。しかし、いつまでも“お客さんのほとんどが日本なので、やはり当面は日本市場重視で考えている” と考えているようでは他の企業との競争に勝つ事は難しい。
2. グローバル展開の第一歩は語学学校
とある日本のベンチャー企業が国内での事業がかなり上手くいっている事もあり、次はグローバル展開だという事で、役員を数名サンフランシスコに送り込んだ。
彼らにまずはどのような業務を行うかを聞いた所、驚いた事に、「とりあえず半年は語学学校に行って英語を身につけます」と言った。これには正直驚いた。かなり寛大な企業である。英語なんて日本で身につけてくるか、多少下手でもなんとかなるはずなのに。さっさとビジネスを始めた方が良いと思う。
3. 市場調査という名の周遊旅行
会社のトップや役員の方々が”市場調査”と言う名目でシリコンバレーの企業を訪問したり、カンファレンスに参加しているのをよく目にする。
しかしその中身を見てみると、どちらかというと周遊旅行に近い感じを受ける。もしかしたら会社のスタッフの方々も、”社長がまた周遊旅行に行っている” と思っているかもしれない。
4. リソースを投入しない
約10倍ほどの規模の世界市場を相手にするには、資金や人材など、それなりのリソースが必要とされる。競合を見てみても、想定されるリターンが大きい程、投資も大きい。
それに対して国内規模かそれ以下のリソースしか投入していない場合はやはり不利である。そんな中、世界展開に対しての覚悟を決め、大きなリソースを投入しているUNIQLOなどはやはりすごいと思ってしまう。
5. 日本での成功体験がハンデになっている
国内市場でうまくいったからといって、海外でうまくいく保証はない。むしろ多くの場合は、それが国内市場に特化したプロダクトであるケースがほとんどであると考えた方がよく、もしグローバルに展開する場合は、いちから見直してみる事から始めた方が良いだろう。
6. 日本人だけのチームを作る
アメリカに来てなぜか日本人だけで固められたチームの会社も実は少なくは無い。マネージメントの面で考えると、同じ文化で育ち、気心が知れた日本人スタッフは確かにやりやすいかもしれない。
しかし世界各国の人々に使ってもらいたいと思うのであれば、スタッフも異なる文化を持った人達を集めた方が多種多様な発想を得る事が出来る。
7. 結局日本に戻る
そして一番の多いのが、結局なにも残さずに日本に戻ってしまうケース。
海外に来た当初は「何があっても最低3年はいます!」と意気込んでいた方々が、いつのまにか、しれっといなくなっちゃってる。
こんな事が重なると、現地の人々からは、”どうせまたすぐ戻っちゃうんだろう”と思われてしまっても仕方が無い。
では、どうしたら良いのか
やはりグローバル展開は簡単ではないのであろうか?恐らく難しいのではなく、やり方を変える必要があると思われる。世界のそれぞれの地域で求められるニーズも違えばビジネス慣習も違う。
それに対してはおのずと大変な努力と忍耐、優れた戦略が必要とされるだろう。もしかしたらこうしたらよいかも、と思われるポイントを幾つか紹介する。
1. プロダクトは最初から海外向けにつくる
これはとても重要。国内向けが上手くいってから、”英語版”や”海外向け”を作るのではなくて,最初から海外向けをつくり、日本国内でヒットすればラッキー、ぐらいの感覚の方が良い。
2. 経営者自身のマインドセットを180度転換する
やはり企業はそのトップの考え方で全てが決まる。日本の経営者は頭脳明晰でとても優秀な方が多い。情報収集も毎日欠かさず、明確な指示を出し、会社を正しい方向に導いていく。
でも、世界向けに展開する場合は、いままで正しいと思ってきた価値観を一度忘れ、考え方を180度変える必要があるかもしれない。国外向けに展開した場合、マネージメント、リーダーシップ、コミニュケーションそれぞれに必要とされる資質が結構異なる。
3. 覚悟を決めて突っ走る
海外で成功するにはかなり時間がかかる。もちろん最初は上手くいかないし、試行錯誤の連続であろう。それに対して最も有効なのは、単純に諦めずに突っ走る事。やはり国内市場の方が結果が出やすいので戻ってきてしまうのはかっこ悪い。
4. 現地のパートナー企業をみつける
国外市場で展開するには現地のパートナーは欠かせない。今まで試した事の無い場所で一からビジネス展開するのであれば、その場所に精通した企業と一緒に進めるのが良い。
5. 海外で人材を採用する
海外にオフィスを構えて人材を獲得する場合は、是非ローカルの人々を採用してほしい。せっかく国外に出たので、チームを日本人だけで固めるのではなく、むしろなるべく現地の会社に近い組織形態を目指す事をお勧めする。
6. コアチームは日本国内でもOK
一方で、コアとなるチームやプロダクトの作成は日本国内で行っても良い。
やはり日本企業は組織力が世界トップレベルで、彼らが創り出すプロダクトとは品質もかなり高い。そして以外とコストコントロールもしやすかったりする。これからのモットーは Made in Japan, Distributed to the Global Market.
7. ブランドも世界レベルを目指す
グローバル市場を狙うのであれば、是非グローバルブランド構築を目指してほしい。企業名、商品名、ロゴ、キャッチコピー、などなど、国内だけではなく、世界の人々が憧れるような存在をターゲットに。
8. ユーザーエクスペリエンスに注目する
上記のセミナーでも強調したのだが、これから世界レベルで成功するにはプロダクトの品質に加え、それがユーザーに与える利用体験を最重要視してほしい。
これからのユーザーが求めるのは、”何か”ではなく、”何をしてくれるのか”である。
これに関しては、サービス大国の日本はかなりアドバンテージがあり、世界トップレベルのUXを提供出来ると思っている。
ユニークなサービスこそ世界を目指すべき
実はこんな特殊なもの売れるんかな?と日本人的な感覚では考えられるようなものが、国外では成功に至ったりもする。日本の常識は世界の非常識という事も要因であろう。
大手と競合しない、特殊な市場を狙ったプロダクトであれば、他のアジア諸国にも真似しにくい、オンリーワンの存在になり得る。
しかしそんなものを国内でやろうとすると、日本のVCや銀行は、売れるんか?市場が小さい!などと言われてしまい、最後は変人扱いしてダメとの烙印を押されるだろう。
しかし、Twitterしかり、Teslaしかり海外で成功しているプロダクトも最初は「こんなの誰が欲しいのか?」と思われるものばかりであった。
逆に、どんなに世界最高レベルの人材や技術を集めてもだったとしても、しっかりと世界市場を視野にいれておかないと、国外では誰にも気づかれないまま終わってしまう。これは面白い!絶対にうける!と思ったら、是非最初から世界レベルでの展開を考えてみてほしい。
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