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【総消費は脅威の40%超!】アメリカのZ世代について押さえるべき5つの特徴
- 米国の総消費量40%を占めるZ世代とは。 ミレニアル世代と大きく異なる
- 特徴① 堅実で本質主義なコツコツタイプ
- 特徴② デジタルは当たり前 「リモートネイティブ」という新たな側面も
- 特徴③ 8秒間が勝負。コンテンツの“超”大量消費時代の中、モバイルファーストが鍵
- 特徴④ ダイバーシティーへの理解 「ありのまま」リアルさの重視
- 特徴⑤ 買い物はオンラインと店舗のハイブリッド 「開封」もコンテンツに
- オンラインとオフラインのシームレスなサービス・UX設計が重要
Z世代やGen Z。ミレニアル世代と一括りで語られることも多いが、細かく見ていくと、その属性や世界観、考え方はミレニアル世代と大きく異なる。
この記事では、アメリカのデータを中心に、Z世代の特徴や消費動向、物事に対する姿勢など、その習性を紐解いていく。彼らをターゲットにしたサービス開発や、マーケティング戦略を考えている方の一助になれば幸いだ。
実は筆者も1997年生まれのZ世代。自分の肌で感じるものも織り交ぜながら書いていければと思う。
Z世代とは?ミレニアル世代とは似て非なる存在
諸説あるが、Z世代は1996年から2012年に生まれた世代を指す。一方のミレニアル世代は、1981年から1995年に生まれた世代である。Z世代は、9.11の同時多発テロや、リーマンショックなど、アメリカの歴史に残る大きな出来事を幼いながらに経験してきた世代だ。
また、2020年時点でアメリカにおける総消費の40%以上をZ世代が占め、さらには、金額にして1,430億ドルもの購買力を持つというデータも存在する。これほど大きなボリュームの消費者層を取り逃すわけにはいかないことは自明だ。
では、ここからZ世代の特徴を購買行動などのマーケティングの視点から分析していく。
1. 堅実的かつ本質主義なリアリスト
まず特徴としてあるのが、リアリスト(現実主義者)だということ。これは、先述のリーマンショックからの大不況に起因しているという主張が一般的である。
この頃、Z世代本人たちはまだ幼く、直接その影響を受けているとは考えづらいが、彼らの親が苦労をした分、お金に関する知識やマナーが教えられている可能性は高そうだ。
Z世代やミレニアル世代は、消費において体験に重きを置くというデータは随所で見られる。しかし、2世代間には違いが存在する。
ミレニアル世代がラグジュアリーな体験を求めるのに対し、Z世代が求めるのは、たまの非日常ではなく、日々の楽しみであり、日常的なポジティブな体験のようだ。瞬間的な刺激よりも、コツコツと毎日のQOL (生活の質) を上げることに興味を持つことからも、堅実さが窺える。
また、ブランドのネームバリューよりも、実際のプロダクトそのもののユニークさや質の良さを重視する傾向にあり、本質的な側面もある。
2. テックネイティブ・デジタルネイティブ
ミレニアル世代が、“Tech savvy (テクノロジーの精通者)”と表されるのに対し、Z世代は“Tech native (テックネイティブ)” と呼ばれることが多い。テクノロジー中心の世界が成熟していく過程を見て育ってきたのか、浸透しきった環境で生まれ育ってきたのかの違いだ。
Z世代は、新たなツールに対する抵抗感をほとんど抱いていないように感じる。というのも、生まれた時から携帯は当たり前。“ガラケー”よりもむしろ、スマホを身近に感じる世代で、デジタルデバイスを始めとするツールに壁を作ることは少ない。
モバイル前提
また、デジタルツールのなかでも「モバイルの利用」がZ世代の特徴だ。Z世代の98%がモバイルデバイスを所有しており、コミュニケーションはもちろん、買い物もコンテンツ視聴もモバイルで行う割合が高い。
この最たる例が、モバイルファーストを主戦略とするTikTokだろう。次のコンテンツを見る際は、モバイルならではの「スワイプ」をしていく仕様で、そのUXもモバイルを念頭に設計されている。そんなTikTokは、アメリカにおける全ユーザーのうち、60%がZ世代だ。
ソーシャルコマースの兆し
その他、ソーシャルコマースの潮流がきている。Instagramに関しては、モバイルとデスクトップの利用率の比較では、ユーザーの98%はモバイルで利用している。
写真がメインのInstagramは、商品画像を載せ、キャプションにその説明を書くことができるため、オンラインショッピングのプラットフォームに向いている。
また、Z世代は、他の世代と比較して2〜3倍の割合でソーシャルメディアで買い物をしており、最も利用しているプラットフォームはInstagramで、41%はブランドのアカウントをフォローしているというデータもある。
モバイル上でのユーザーがほとんどを占める上に、とりわけZ世代にとっては、ショッピングプラットフォームとしても利用されるInstagramでの購買は今後ますます盛り上がっていくのではないかと考えている。
リモートネイティブ
また、Z世代は、テック / デジタルネイティブもさることながら、リモートネイティブ世代だ。2020年現在、Z世代に当たる層は、高校生/大学生か、社会人1、2年目といったところ。
コロナウイルスの影響で、多くの学校や企業でリモート対応が始まり、彼らは、Zoomに代表されるオンラインコミュニケーションツールを駆使した会議や授業を余儀なくされ、適応をしてきたことだろう。
テックネイティブという基盤を持っているため、新しいツールへの適応に骨を折ることは少なかったと考えられる。
一方で、Z世代が求めるものは変わってきていると筆者は考えている。例えば、名刺交換のマナーよりも、オンラインミーティングで独特の間をうまく対処し、議論に入っていく方法や、オンラインを前提とした上司とのコミュニケーションの方法の方が知りたいと感じる。
作られたばかりのルールを新たな当たり前として生きていかなければならないため、先人からの教えが活かせることが少ない。
状況があまりにも大きく変わってしまったため、従来のルールでは通用しない局面にいる。その意味で、Z世代には先駆者的なアントレプレナーシップ的なマインドを持った行動をしていくことが求められていくのではないかと思う。
3. コンテンツの“超”大量消費
様々な記事でこの特徴を目にしたが、これはきっとZ世代ではない世代の方々が出した答えだと思った。なぜなら、筆者を含めZ世代張本人たちは、自分たちが膨大な量のコンテンツを消費している自覚すらないからである。
集中力はたったの8秒
1つのコンテンツに対する集中力が極端に短いことも特徴だ。平均して8秒ほどとされている。大量にコンテンツを見ているということは、1つのコンテンツに使う時間が短いとも言える。
また、大量にコンテンツを見ているからこそ審美眼が育っており、良し悪しの判断も速い。興味のないものにはすぐに拒否反応を起こし、広告を見抜くのは一瞬だ。
8秒間の勝負の鍵を握るのは、Z世代の使う“言語”に合わせることだ。GIFやミーム、絵文字と言ったビジュアルコミュニケーションを積極的に活用すると良い。
実際、Z世代を対象にしたある調査では、コロナ禍におけるフラストレーションの対処に、ミームなどユーモラスなコンテンツが一役買っていると回答した割合が72%という結果も出ている。
それだけミームはZ世代にとって身近なものであり、テキストだけでなく、ビジュアルも使った、流行りの共通言語や内輪ネタとうまく絡めたコンテンツも利用することは、彼らとの距離を近づける1つの方法だと思われる。企業としても、コンテンツ作りの際にはぜひ意識したいポイントだ。
4. 「ありのまま」「多道」の重視
他の世代と比較して、ダイバーシティーへの理解があるというのもまたZ世代の特徴だ。SNSがあって当然の世界で生きてきたZ世代は、学校教育やオフラインで出会う周りの人以上に「見知らぬ誰か」の発信を目にしている。
それだけ多種多様なコンテンツに出会う機会に恵まれており、その中で多様性に対する理解や知見が自然と育まれていったのではないかと思う。筆者も、学校教育以上に、普段視聴するコンテンツから多様性を学ぶ機会が多いように感じている。
リアルな声こそ重宝される
また、「ありのまま」というキーワードから派生して、不完全さ、失敗、正直さへの共感もZ世代に刺さるコンテンツを作る鍵になるだろう。先述したように、Z世代はモバイル上で買い物をすることが多く、その際には、SNSやブログなどといったリアルな声を参考にしている。
ある統計では、Z世代は初めて購入するものに対しては第三者による口コミを確認してから購入の検討をすると回答した割合が86%、そしてそのうちの68%が、3つ以上の口コミを読み、熟考したのちに購買を決めるというデータが出ている。
口コミには赤裸々な感想が書かれているもの。ポジティブなものだけでなく、時にはネガティブな要素もある正直なメッセージこそ、Z世代にとっては信頼のおける価値ある情報となる。
5. オンラインとオフラインの使い分け
ショッピングに関してZ世代は、情報のインプットや検討はオンラインで、購入はオフラインで行う傾向がある。
モノを買う場合、実際にオフラインの店舗に足を運んで買い物をしたいと考える割合が多い。実物を見たり、モノを購入するだけでなく、店舗の雰囲気や体験全てを包括的に経験した上で総合的に評価をする、ということだ。
日本でのわかりやすい例は、年始に原宿駅前にオープンした@cosme tokyoだろう。もともと@cosmeは、コスメや美容関連商品の口コミサイトとして知られていたが、オフラインのフラッグシップショップをオープンさせたことで話題になった。
また、 アメリカでも、Z世代をターゲットとしたブランドが、オフラインの店舗体験に重きを置いていることはみなさんもすでにご存知だろう。
Z世代を対象にしたIBMの調査を見てみる。いつもどの方法でモノを購入するか?という問いに対し、実店舗やウェブサイト上など、購入方法の頻度を回答してもらう質問だ。
この結果、ほとんどのモノを実店舗で購入するとの回答が67%だった。この数字は、購入チャネルとしてウェブサイトやアプリを最も使うと答えた割合の3〜5倍に相当する。
オフラインとオンラインの「いいとこ取り」をして購買行動を起こすのがZ世代の特徴だと言えそうだ。
オンラインでは、SNSやブログ記事を通じて多くの口コミに出会い、商品の良し悪しを総合的に判断することができる。そしてそのインプットを踏まえ、実際に店舗に足を運び、自分の目で商品やその使用感を確認して、購入するかを決める傾向にあると分析できる。
また、動画コンテンツにおいて、面白いところは、開封の様子を載せるものが多く見られるということだ。
開封体験、侮ることなかれ
たかが開封と思うかもしれないが、されど開封だ。実際、Instagram上では #Unboxing (開封) というハッシュタグのついたコンテンツが150万以上投稿されている。
また、開封の様子と共に商品を紹介する動画は非常に多く、公式チャンネルが発信しているものもあれば、一般ユーザーによる開封動画もある。
Z世代・ミレニアル世代を中心に人気を誇るコスメブランドGlossierのプロダクトの開封動画
開封体験そのものは、消費者全員・全世代を対象に考えられるべきものだが、SNSや動画のコンテンツになると、Z世代は見逃せないターゲットになる。
Z世代は、コンテンツの「正直さ」に信頼を寄せることは先述の通りだ。実際に手元に商品が届いてから、開封して使用するまでの一連の流れを見せてくれる開封コンテンツは、自分が購入した場合の状況が想像しやすく、購買体験をリアルに感じられる。
したがって、購買行動において包括的な体験を重視するZ世代たちにとってより有益なものに感じられるのではないだろうか。
商品だけでなく、開封からの一連の流れを購買行動として認識することはもちろん、それら全てがZ世代にはコンテンツ化されることも頭に置いて、ユーザー体験をデザインしていく必要がある。
ましてや、このコロナ禍だ。年代別の傾向などもはや関係なく、ECでの買い物率が跳ね上がっている。家にいながら価値を感じてもらえる購買行動のために、開封というフェーズも軽視してはならない。
最後に
これまで Z世代の特徴をマーケティング目線で解説してきた。章立てて説明はしているが、それぞれのポイントは密接に関わり合っており、総合的に捉えていただけると幸いだ。
テックネイティブという最大の特徴から、特にモバイルを中心とするデジタルデバイスを起点としたコミュニケーションが重要になる。Z世代は、物事をそもそもデジタルを前提で考えているため、もはや「重要」というよりも「必須」でデジタルの活用を考えていくべきだ。
その一方で、自分の目で確かめたい、自分が信用できるものを選びたいという思いから、オフラインの体験にも価値を感じているところが大きなポイントだと筆者は考えている。
オンラインとオフラインのシームレスな体験をデザインすることがZ世代の心を掴むサービス設計・UX設計の鍵になると言える。
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