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ミレニアル世代を引きつける“SNSを駆使した分散型コンテンツ“とは
皆さんは普段SNSを使う中でタイムライン上に流れてくるチュートリアル動画や時事ニュース、最新グッツの紹介、可愛い動物の動画などにふと気を留めたことはないだろうか?
昨今、このようにSNSに向けたコンテンツを配信するメディアが急増し、「分散型メディア」と呼ばれている。分散型メディアとは、ウェブサイトが主体であった従来のオンラインメディアとは異なり、他のプラットフォーム(主に複数のSNS)を用いて情報を発信するメディアのことを指す。
日本では、bouncy, C CHANNEL, Tasty japanなどが有名な分散型メディアとして挙げられる。
このような分散型メディアの人気の背景には、ユーザーの行動やニーズの変化が挙げられる。以下はSNSでニュースをチェックするユーザーの傾向を示したデータだ。
- アメリカの成人の68%がSNSでニュースをチェックすると回答。またそのうちの20%は「頻繁に」そうしていると答えた(Pew Reserch Center)
- 74%のTwitter利用者、32%のYouTube利用者、29%のSnapchat利用者がそれぞれの媒体からニュースをチェックしている(Pew Reserch Center)
- 47%のユーザーが1週間の間に、ニュース目当てでFacebookを開いたと回答(Digital News Report 2017)
- また、74%が1日に最低一回はFacebookをチェックすると回答(Pew Reserch Center)
1週間の間に使用したSNSの割合(At all)とニュースをチェックするために使用したSNSの割合(For news): Disital News Report 2017
SNSを用いたニュースの入手が近年急増中: Digital News Report 2017
これらのデータを見てもわかる通り、ニュースを見るプラットフォームが徐々にマスメディアからSNSにシフトしているようだ。それではなぜこのような分散型メディアが多くのユーザーに受け入れられているのだろうか。今回は、分散型メディアが注目を浴びる2つの理由と活用事例をご紹介したい。
分散型メディアが好まれる2つの理由と企業事例
1. 分散型メディアは“動画の時代”に最適なタッチポイントとなる
btraxに参画した澤円が語る「日本企業が今すぐ改めるべき習慣」でご紹介した通り、世界に存在するデータのうち、直近2年で生まれたデータの割合は90%だという。
世界中で情報が溢れてしまっているため、ユーザーはより良い情報を素早くゲットしたいと感じるようになった。そのため、読ませるテキストベースのコンテンツよりも瞬時に内容がわかる動画コンテンツの方が好まれる傾向にある。
世界中で情報が溢れてしまっているため、ユーザーはより良い情報を素早くゲットしたいと感じるようになった。そのため、読ませるテキストベースのコンテンツよりも瞬時に内容がわかる動画コンテンツの方が好まれる傾向にある。
実際に、1分の動画は180万語に匹敵するといったデータや、テキストと画像だけの投稿よりも動画コンテンツの方が12倍シェアされやすいというデータも公表されている。
また、5Gの導入により、これからは外出先で通信制限を気にすることなく気軽に動画コンテンツを見ることができるようになるといわれている。【2019年】絶対おさえておくべき、4つのマーケティングトレンドで紹介した通り、動画を活用したコンテンツの勢いはより一層増していくだろう。
なお、分散型メディアは通常のオンラインメディアとは異なり、ユーザーにエンゲージしやすい動画を活用することで、情報に敏感なミレニアル層に広くリーチできる。これからは動画の時代とも言われているので、いかにユニークかつ共感性を生むような動画コンテンツを配信できるかがポイントとなるだろう。分散型メディアの事例として、NOW THISをご紹介したい。
【事例1】NOW THIS:動画コンテンツを駆使した次世代メディア
(画像はNOW THISのFacebookから引用)
分散型メディアで有名なのはNOW THIS というアメリカのメディアだ。NOW THISは、Instagram, Facebook, Twitter, YouTube, Snapchatの5つのプラットフォームを使って、政治や時事など話題のトピックをおよそ1分の動画をシェアすることで情報を発信するメディアだ。
NOW THISは以前、自社のウェブサイトにて大胆なキャッチフレーズを公表していた。“Homepage. Even the word sounds old. Today the news lives where you live.”(ホームページ。もうその言葉すらダサい。今は人がいる場所にニュースがある時代だ。)
ホームページにホームページの自虐を載せるという大胆な手法がうけて話題となったが、このメッセージがまさに分散型メディアの姿を表しているといっても過言ではない。
NOW THISは数々のトピックを扱っているが、トピックによってアカウントを複数保持し使い分けているのも特徴だ。例えば、NOW THISのInstagramアカウントは時事ネタを広く扱ったメインのアカウント@nowthisnewsから、最新テクノロジーを紹介する@nowthisfuture、エンターテイメントトピックを扱う@nowthispop、女性の社会進出やフェミニストなどのトピックを扱う@nowthisherなど、FacebookやTwitterも合わせて10個以上もの異なるトピックを扱うアカウントを運営している。
そしてNOW THISの最大の特徴は、ほとんどすべてのコンテンツが動画であることだ。NOW THISのキャッチフレーズが”Stories that move” という言葉の通り、「感動させる(move)ストーリー / 動く(move)ストーリー」の2通りの意味を含んでいる。
動画コンテンツを制作するメリットは、ユーザーの興味・関心によって動画のテーマを分けることで、ユーザーに刺さる情報を提供できることだ。動画は政治系、面白動画系、テクノロジー系など、チームに分かれて制作が行われている。そのため、視聴者はわかりやすく、より正確な情報を含んだコンテンツを享受することができるのだ。
2. それぞれのSNSの特徴を捉え、ユーザーの関心テーマに沿った情報を提供
従来のオンラインメディアは、能動的に情報を得るためのものだった。情報はすべてウェブサイト上にあるため、ウェブサイトを訪問しない限りそのメディアがどんな情報を発信しているのかがわからない。
加えてSNSの台頭によりプラットフォームの種類が急増し、いたるところに情報が溢れかえるようになった。これによりウェブサイトを訪れるまでのカスタマージャーニーが複雑になったことから、ユーザーが普段使うSNSも上手く活用して「情報が自然に入る」状態を作り出すことが必要となったのだ。
それぞれのSNSの特徴を捉えたコンテンツとは
SNSは、それぞれに特徴がある。例えばInstagramだったら、ビジュアル重視なので、画質はもちろんのこと画像や動画に込められたストーリーに気を配る必要がある。Twitterは”つぶやく”ことが本来の目的なので、限られた文字数の中でどれだけシンプルにメッセージを発信できるかが重要だ。FacebookはTwitterやInstagramとは逆で、文字や画像に制限がないことから、自分でコンテンツをカスタマイズして好きな情報を発信できる。
これらの特徴を生かしきれていないと、ユーザーの目を引くことができず、インプレッション数が落ちてしまう原因となりかねないのだ。
例えばInstagramに投稿する際、シンプルな写真とともに長文のキャプションを載せても、文章の内容の良し悪しにかかわらず目に留めてもらえないのは言うまでもない。情報を享受する側に立ったとき、自分が伝えたい情報が見やすく、受け取る相手のストレスがないということはいたって重要だ。
多岐にわたるSNSアプリの中で、ユーザーは分散している。どのアプリをどれくらい見るかも年齢や性別、生活リズムにより異なるのだ。そのため、同じ情報をそれぞれのSNSに合わせて分散して提供する方が、多くのユーザーに情報が届くのである。ユーザーからしたら、SNSでフォローするだけで「探さないでも勝手に現れるコンテンツ」となるわけである。
【事例2】BuzzFeed:可愛い動物の画像から時事ネタまで、幅広いコンテンツをSNSで発信
(画像はBuzzFeed JapanのFacebookから引用)
BuzzFeedも、初期から人気の分散型メディアの一つだ。「猫のGIF画像から政治トピックまで」と言われるほど幅広いコンテンツを、様々なSNS上で発信している。
中でもBuzzFeedの特徴は、SNSの違いを生かしたコンテンツ作りだ。BuzzFeedが扱うトピックは様々だが、それぞれのSNSの特徴を生かしてコンテンツの発信の仕方を変えている。
例えば、Facebookでは、BuzzFeedのホームページに載っている記事へのリンクとともに、短い意見や感想、面白いフレーズなど投稿者のコメントを添えて投稿している。Facebookでリンクを開くと、Facebook上でそのページが起動されるため、一読し終えた後に読者がコメント欄に感想を書くことが多い。これによりインプレッション数が増えるのだ。
また、YouTubeでは幅広い話題を扱う動画コンテンツを発信しており、シリーズ化している。Instagramではおもわず笑ってしまうような話題の面白いツイートを画像で紹介し、コメント欄には笑った顔の絵文字やコメントが多く寄せられている。
このように、発信するコンテンツを統一せず、SNSによって形式を変えて、それぞれのSNSユーザーが楽しめる情報を発信する点がBuzzFeedの特徴だ。
まとめ
分散型メディアは、SNSでニュースをチェックするといったユーザーの行動やニーズの変化を背景に成長していった。情報があふれ返る近年、動画やSNSの特徴を生かしたコンテンツ提供がユーザーの心をつかんでいる。
今回は分散型メディアの例をご紹介したが、これらのメディアの戦略を一言でまとめると、「ユーザーのいるところにユーザーが本当に求めるものを提供する」ということだ。これは、PRの戦略を練る上でも重要なUXの視点である。
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