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これからのデザイナーが知っておくべき7つの変化
デジタルとテクノロジーの急激な発達でデザイナーの役割に大きな変化が訪れようとしている。
これまでにもグラフィックからWeb、WebからモバイルUIからUX、そしてジェネレーティブAIなど、次から次へとデザイナーが身につけなければならないスキルの量と種類が増えてきている。
それに加え、最近ではビジネスのフィールドにおいてのデザイナーの役割にも大きな注目が集まり、デザイン中心の考えから生み出されるプロダクトも増えてきている。
1. 優れたデザイナーになりたいならまずはコミュ力を磨け
チーム内におけるデザイナーの仕事内容に求められるスキルも変わりつつある。例えばデザイナーの仕事は大きく分けると;
1/3が正しい人から適切な情報を引き出すこと、1/3が絵を描くデザイン作業、そして残りの1/3が出来たものの情報を正しい人に正しく伝えることである。
これからも分かる通り、デザイナーの仕事の実に2/3がコミュニケーションに充てられる。職人気質の技術者が黙々とデザイン作業を行う時代は既に終わっているのだ。
2. 他のチームメンバーの視点からものづくりを考えよ
デザイナーの役割が広がるにつれ、仕事上で関わる人の幅も広がる。これまではデザインチーム内で仕事をしてきた人もエンジニアやマネジメント、場合によっては人事系の役割の人たちとのコラボレーションも増えてくるだろう。
そうなった際に相手の気持ちを理解するために、相手の仕事内容に加え、多少技術面も身につけておくと非常にスムーズに事が進む。
例えば、デザイナーとエンジニアは2つの異なる職業とされてきた。しかし、テクノロジーが進むにつれ、エンジニアの経験やバックグラウンドを持つデザイナーは非常に重要な人材となるだろう。
逆にデザイナーからエンジニアに転身することも珍しくはない。この2つの職業の境界線はどんどんなくなり始めている。これからは、僕はエンジニアだから…。私はデザイナーだから… といった言い訳は通用しなくなる。
3. 経営層にもデザイナーが参加し始める
昨今、デザインがビジネスに与える影響が大きくなるにつれて、エクゼクティブチームにデザイナーを参加させている企業が増えている。
これは、物事の捉え方や解釈の仕方、また判断を下すときなどにもデザイン的考察や観点を入れることで、結果に大きな差が生まれるからだ。
これは、変化のスピードがどんどん加速して行く中で、ロジックだけでは説明のつかない状況がどんどん増えていくのが理由である。
アメリカでは既にCDO (Chief Design Officer) や、CCO (Chief Creative Officer) などの役職のポジションも当たり前に存在する。現にAirbnbやPinterest, DropBoxなどのサンフランシスコ地域のいけてるスタートアップのファウンダー達はデザイナー出身が多い。
そう考えると、現在はデザイナーとして働いている人でもキャリアパスとして企業の役員や、場合によっては社長を目指すことも間違っていない選択なのかもしれない。
4. 人工知能 (AI) と仲良くデザイン作業を行う時代が近づいている
ユーザーにとって最適な見た目のデザインや体験をシステムが自動的に生成することも不可能ではない。特にジェネレーティブAIの技術を使えば、いとも簡単にある程度の精度の画像や動画、そしてサイトやアプリののUIが生み出される。
そうなると、デザイナーの仕事は無くなってしまうのか?
そうではない。むしろ、そのAIを最大限活用するのがデザイナーの仕事になってくる。
人工知能や機械学習などのシステムが得意とするところと、人間が得意な部分を掛け合わせ、システムにもより良いクリエイティブ制作を教えることによって、最も効率的で効果的なデザインを行なうのがデザイナーの仕事だ。これはまさに人間と機械のハーモニーがゴールの仕事。
機械に仕事が奪われるのではないか?と危惧する声もあるが、現状0から1を作り出すこと、これは機械には出来ない。
AIは過去のデータを元に未来を予測することは出来るが、無から全く新しいものを作り出すのは人間にしか出来ない。デザイナーやエンジニア等のクリエイティブな仕事はこれからもどんどん必要とされていく一方であろう。
5. データをデザインに活用する必要性が高まる
デザイナーが感覚やデザイン理論だけをベースに仕事を行う時代は終わるだろう。何が本当に正しいデザインかの判断をある程度データから読み取る必要がある。そして、常にデータを分析しながらデザインの改善を行う。
特にユーザビリティやユーザーエクスペリエンスなど、利用するユーザーありきのデザインの結果は、データが全てである。
また、データをビジュアル化する役割としてのデザイナーの存在価値がどんどん高まっていくだろう。急激なスピードで増え続けている膨大なデータを今後どのように活用していけば良いのか。この課題を抱えていない企業は恐らく存在しない。
そんな時にデータサイエンティストではない一般ユーザーでもわかりやすくデータを視覚化させることができれば大きな価値を生み出すことができる。
6. スクリーン以外のユーザーインターフェースをデザインする
デザインが必要とされるデバイスの種類がどんどん広がっている。
これまでは”紙かスクリーンか?”の二者択一だったアウトプット媒体も、AR/VR、 ジェスチャー、ボイスコマンド、そして脳波まで様々なインターフェースを通じてユーザーとの対話が行われ始めている。
そんな中で、全く新しいジャンルのデザイナーの必要性が高まってきている。
例えば、例えばリアルタイムで生成される3Dオブジェクトの表示方法や、AIをベースとしたシステムを活用してVR環境内を動き回るアバターキャラクターのデザインなど、これまでには存在していなかったタイプのスキルが必要とされる。
また、リアルな画像/動画とバーチャルオブジェクトを組み合わせた形のいわゆるAR型インターフェースのデザインの出現も予想される。
そこにはPCやスマホなどの既存のデバイスとは別次元の操作性とユーザー体験の設計が求められる。目に見えない動きやインタラクションをデザインするには、新たな表現方法が必要とされてくる。
7. キャリアアップにはスキルアップとスキルチェンジの両方が必要になる
時代の最先端を行くサンフランシスコでは、既存の“絵”を描くグラフィックデザイナーよりも、UIやUXを設計するデザイナーの需要が高まってきている。これに合わせ多くのデザイナーが新しいスキルを習得し始めている。
世の中の急激な変化に対応するには学校でデザインを学ぶだけでは足りなくなって来ている。もちろん基本的なデザインの知識はとても重要だが、デザイン学校やデザイン科を卒業しただけでは、プロの世界では十分ではない時代になってきている。
さらに、新しいメディアやデバイスなどに即座に対応出来るよう、経験豊富なデザイナーでも常に新しい手法を学び続けることが必要とされる。
また、キャリアアップを目指すには、スキルアップに加え、スキルチェンジも必要とされてくるだろう。
というのも、今までのスキルの向上だけでは間に合わなくなってきているのだ。なぜなら、これからデザイナーに求められる能力は現在持っているスキルの延長線上には無い可能性が高いからだ。
デザイナーという仕事はテクノロジーと世の中の流れに合わせて、常に新たな技術を磨き続けなければならない。デザイナーには常に学び続ける姿勢と大きな変化に柔軟に対応できるマインドセットが必要になるだろう。
筆者: Brandon K. Hill / CEO, btrax, Inc.
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