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人工知能 (AI) を仕事に活用する方法
最近は頻繁に人工知能 (AI) や機械学習、ディープラーニングに関してのニュースを見るが、実際のところ、近い将来、我々の生活にどのように影響してくるのだろうか。実は日常生活よりも、より注目されているのが仕事においてのAIの存在と、企業内における”生身”の人間の存在価値であろう。
これまでの単純作業や肉体労働が機械に置き換えられたり、頭脳を使った仕事もどんどんAIに奪われると危惧する人も多い。そんな中で、人工知能テクノロジーが生み出す仕組みを上手に活用すれば今までよりも効率的に短時間で効果の高い結果を出すことも可能である。
自分の仕事がなくなると恐れるよりも、これからは人工知能を積極的に活用する方が、企業にも個人のキャリアにとっても正しい姿勢である。今回は部署や役職別にそれぞれの目的に合わせ、今後AIが仕事においてどのような使われ方がされるをか予想してみた。
これからの仕事における人工知能活用方法
こちら、サンフランシスコ・シリコンバレーではスタートアップ企業を中心にすでに実践の場でAIが活用され始めている。たとえばAirbnbでは、ビッグデータと人工知能を活用し、Pricing Tipsという宿泊需要の予測ツールをホストに提供している。このツールを使うことで、ロケーションと日付を元にそれぞれの宿泊施設の最適価格を知らせてくれる。AIによる価格提案システムである。より高い予約率と収益率を達成することを目的としていす。
7つの役職別にAI活用する方法
では、AirbnbのようなIT系のスタートアップではなく一般的な職種の場合はどうであろうか。上手に人工知能を活用すれば仕事の効率化と”楽に”仕事をすることができるようになる。
営業
数年前よりマーケティングオートメーションやデジタル広告の領域ではAIの活用が進み始めている。その一方で、営業に関してはまだまだ”アナログ”な側面が強いことが否めない。特に日本では「足で稼ぐ」という言葉からも分かる通り、人と人との繋がりが営業の基本であり、そこに機械が介在することは考え難い。
しかし、実は人工知能を上手に活用することで今後の営業に大きな効果を生み出すことができる。例えば、Salesforce IQやZohoなどのCRM (顧客管理システム) のいくつかにもすでに人工知能が搭載され始めており、どの顧客に対してどのタイミングでどのような内容の提案をすれば響くかを機械が知らせてくれる。
今までベテランの営業マンが長年培ってきた”勘”を頼りに成果を出してきた営業チームも、今後はAIが”顧客の心を読む”作業をしてくれることにより、これまで以上に顧客との良い関係が構築でき、売上アップにつながっていくだろう。
人事
データ分析テクノロジーの進化により、新しい人事システムの構築が始まろうとしている。アメリカではこれをHR 2.0と呼び始めている。具体的にはそれぞれの従業員の勤務データと成果のデータを元にパフォーマンスの視覚化と、よりフェアな評価システムと、従業員ごとに異なるモチベーションの源泉を分析し、最もやる気が上がるフィードバックシステムの提供である。このようなテクノロジーを元にBetterWorksやLetticeといったスタートアップではより良い人事システムの提供を行っている。
また、従業員サイドから人事部とのやりとりもよりやりやすくなる。例えば、Tallaはチャットボットシステムを活用して、従業員が会社に質問やリクエストがあった際や研修時のコミュニケーションシステムを提供することで、これまで面倒だった企業内における人事的プロセスの効率化を実現するのが狙い。
経理
これまで月末や期末に必死になって報告書をまとめていた経理部も人工知能を上手に活用することでの効率化を望むことができる。もともと数字との相性の良いコンビューターシステムということもありすでに多くのクラウド型会計システムが世の中で利用されているが、今後はそのようなサービスがバージョンアップし、AIの実装が開始すれば、”過去”のデータを元に現在、そして未来の経理予測が立ちやすくなるだろう。
特に膨大な経理データを処理する必要のある大企業では、経理プロセスの効率化と経営の未来予測は重要な課題であり、市場の動向や株価・為替の動き、そして競合のデータも加味したAIベースの経理システムに注目が集まっている。
開発
プロダクトやシステムの開発部にとってもAI強い味方になってくれるであろう。特に最近最も注目されている役職の一つであるデータサイエンティストの役割をある程度人工知能がまかなってくれれば、より高い精度のプロダクト開発や改善が可能になる。
例えば、顧客からの発注時データだけではなく、サイトへのアクセス状況と市場ニーズに関するデータをリアルタイムで分析し、そこから割り出された情報を元に向こう数カ月で求められるプロダクトの企画、仕様決め、開発プランが立てやすくなる。また、同じプロダクトでも、どのタイミングで市場でリリースすれば最も売れやすくなるかも今後は人工知能が知らせてくれる可能性も高い。
ものづくりの得意な日本企業であるが、これからはAI職人とのコラボが予想される。
総務
企業内の一般業務をこなす総務部の役割も人工知能の導入で大きく変わるであろう。特にこれまで主に主導で行ってきた勤怠管理、有給リクエスト、会議のセットアップ、出張リクエストなどがより効率的に行うことで時間の短縮とストレスの軽減につながる。
例えばTeemといったスタートアップは、より効率的な会議室の利用を可能にするシステムを開発し、スタッフの勤務効率の向上を目指している。また、Accompanyは自動的にそれぞれの会議に対して最適な情報を表示するアプリを提供。
出張時に30SecondstoFly社の提供するAI型バージャルパーソナルアシスタント、Claireにリクエストすれば最適なプランを提供してもらえる。このようにこれまでかなりアナログ感の強かった総務系の仕事においても人工知能が強力にサポートしてくれる。
カスタマーサポート
これまでは電話やメール、チャットを通じて生身の人間が行ってきたカスタマーサポートにもAIが大きく活用され始める。特にメールやチャットなどの文字ベースのやり取りでは、どこまでが機械でどこまでが人間が対応しているかがどんどんわかりにくくなるだろう。というのも、人工知能を活用すれば、ユーザーが投げた質問に対して、それぞれのアカウント別に状況を理解し、最適な答えを瞬時に導き出すことが可能になるからだ。
チャットボットを活用したサポートシステムのサービスとして最も利用されているものの一つにIntercomがある。すでにExpensify, Product Hunt, New Relic, Shopifyなどの企業をはじめとして15,000社の有料顧客に利用され、これまでに10億ユーザーが同サービスを通じてサポートを受けている。
もちろんユーザーとしては、まだまだ実際の担当者と話したいという声が多い。しかし、下手なオペレーターと話し、たらい回しにあうよりも、即座に答えを教えてくれるサポートシステムの方が利用価値が高い。同時に、オペレーターとしても、サポートシステムが途中まで対応してくれた方が、状況を理解しやすく、より良いサービスを提供しやすくなる。
転職活動
そして最後が転職活動を行なっている人向けにも人工知能によるサービスの開発が進んでいる。日本でも、“え?私の給料低すぎ?”というという広告を見ることがあるが、この問題を自動的に、それもリアルタイムで解決してくれるのがAIによるサービスである。
具体的には、勤務年数やスキルを元にそれぞれのユーザーのキャリアにとって最適なオプションをAIが提示してくれる。Paysaが提供するサービスでは、転職活動をしている人をメインに、自身の市場価値をAIが定め、最適な給料や待遇を通知する。これを利用することで、既存の雇用主への交渉や転職する際の希望給与に関するサポートをしてくれる。
逆に、これまで身につけてきたスキルが市場で必要とされなくなり始めた場合にも事前に察知し、ユーザーに知らせることで一早いスキルチェンジやキャリアアップのプランを立てることで、”自分の仕事がいつの間にかAIに奪われた!”という状況を回避することができるようになるだろう。
まとめ: 人工知能 (AI)はあくまで人間のサポーター
しかし現在の日本の学校教育で得られる多くの知識とスキルは今後人工知能に取って代わられるものであると感じる。多くの情報を暗記したり、難しい数式を覚えることは人間がどんなに頑張っても機械に勝てるわけはない。
その一方で、リーダーシップ、クリエイティブなどの人間が得意とする分野に関しての教育は全く進んでいないようにも感じる。
おそらくテクノロジーへの適用スピードが速いアメリカでは、日本よりも人工知能が仕事に及ぼす影響を強く感じている人も多く、逆にそれをどのように仕事に活かすかを考え始めている状況である。おそらくここ数年で人間と機械の役割分担と、それに伴う新しいスキルの会得、そして大きなキャリアチェンジの時代が始まるだろう。
筆者: Brandon K. Hill / CEO, btrax, Inc.
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