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【Web3をより身近に】XRP LedgerでNFTアートを作ってみた
昨今では、Web3, NFT(Non-Fungible Token:「代替不可能なトークン」)といった単語を聞くことが多くなってきた。実際にWeb3関連のビジネスを本格化する企業も多く出てきた。
我々btraxもパブリックブロックチェーンのXRP Ledgerを活用したソリューションやエコシステム開発で有名な米企業、Rippleとのパートナーシップを締結し、デザイン面からWeb3サービス開発を支援する取り組みを行っている。
先日、XRP Ledgerのブロックチェーン上でNFTを取り扱う新規格「XLS20」がコミュニティ投票を経て実装された。
そこで、本記事では「XRPとXRP Legerという言葉は聞いたことがあるが、一体何なのか」「NFTを作るのは難しそう」と思っている方々に、XRP/XRP Legerとは何か、またXRP LedgerでNFTを作る手順を通じて、それらがどういうものなのかをお伝えしたい。
XRP、XRP Ledgerって何?
まず、XRPとXRP Ledgerを簡単にご説明しよう。
XRP Ledger (XRPL):
2012年から稼働している、決済に最適なL1パブリックブロックチェーン。暗号資産XRPの決済だけでなく、様々なWeb3サービスを実現するための機能を持つ。今回のXLS20によるNFT対応機能の実装もその一つ。サンフランシスコに本社を持つWeb3企業のRipple社はXRPLのオープンソース開発に長年寄与している。
XRP:
XRPL上にネイティブに存在する暗号資産(仮想通貨)。XRP(エックスアールピー)と呼ぶ。よく「XRP(リップル)」と呼ばれるがそれは誤り。他の暗号資産としてビットコイン、イーサリアムなどが有名。
XRPLのNFTのメリットは?
現在でもOpenSeaなどNFTを売買するプラットフォームは多くあり、それらは主にイーサリアム系のブロックチェーンを用いることが多い。(※イーサリアムとは、人の手を介さずに契約内容を自動実行できるスマートコントラクトや、契約内容の改ざんを防ぐブロックチェーン技術などが備わったプラットフォームのこと)
XRPLのNFT規格(XLS20)はこれらに対して後発になるため、イーサリアム系のNFTに比べて様々な強みがある。代表的なものをいくつかあげよう。
手間がかからない:
- 開発者のメリットとして、スマートコントラクトを使わずにNFTを発行できる
- 自動ロイヤリティの支払いに標準対応している(※自動ロイヤリティとは、NFT発行者から購入したユーザーがさらに別のユーザーにそのNFTを売った場合の二次流通の際に、発行者にロイヤリティとして売買金額の一部が支払われる仕組みのこと)
安い:
- ガス代(取引手数料)が非常に安い。ガス代の価格は変動するため、あくまで参考値だが、本記事執筆時点では、例えばイーサリアムは$0.28となっている。それと比較してXRPは$0.00021だ。
環境に優しい:
- XRPLはビットコインなどに比べて圧倒的に消費電力が少ない。消費分についてはカーボンオフセットにより脱炭素化されており、世界で初めてカーボンニュートラルになった主要なブロックチェーンであると言われている。そのため、環境に優しいブロックチェーンと言える。
さらに詳しい機能については、Ripple社のバイスプレジデント吉川絵美さんがTwitterにて解説されている。ちなみに今回の記事も吉川さんにご監修いただいている。
XRPレジャーでのNFT機能の新規格、#XLS20 は現在コミュニティ投票中ですが、以下の特徴があります。
①EVM系チェーンなどと違って、NFT機能がプロトコルレベルでネイティブに実装されている
👉スマコンが不要(数行のコードで簡単に書けてしまう。ソリディティ知らなくても簡単にNFT発行できるよ!)— Emi Yoshikawa (@emy_wng) July 10, 2022
NFTをMint(発行)してみよう
さて、実際にNFTをMint(NFTを発行すること)してみよう。
この話題は、XLS20が実装されて以来、日本のXRPLコミュニティでも注目されており、きゅーQ氏 (@_TeQu_) が簡単にNFTをMintできるプラットフォームとして XRP Easy NFT を開発している。
日本向けのXRP Ledger NFT発行/売買プラットフォームをリリースしました!
手数料完全無料でご利用いただけます。(トランザクション手数料は除く)
ぜひXRP Ledgerを使ってみてください!!!https://t.co/18ZXERus0s
— tequ {X}🪝 (@_tequ_) October 31, 2022
今回はこのXRP Easy NFTを使用して、NFTをどう作っていくのか試してみよう。
準備金について
最初に事前準備および初期費用について整理すると、Xumm(サム)ウォレットというスマホアプリのインストールが必要になる。また、そのアカウントの有効化のために一時預かりとなる基本準備金(Base reserve)として10XRPが必要になる。
また、NFTのMintの際には所有者準備金(Owner reserve)として、2023年3月現在は2XRPと処理手数料が必要になる。
ここを少し細かく説明しよう。ここの説明はXRPLの仕組みの話になるため、XRPL開発者以外の方にとっては、「なんとなくそういうものなのか」とざっくり理解していただければ十分だ。
XRPLでは「NFTの保有」や「NFTへのオファー」といったイベントが発生した際にオブジェクトが生成され、そういったオブジェクトに対して準備金が必要となる。オブジェクト1つずつに対して、準備金が必要だ。
また「NFTの保有」の場合、一定個数のNFTをまとめて1オブジェクトとされるため、NFTの数=オブジェクトの数ではない。なお、これらの準備金は、一時預かりのため、条件を満たせば返却される。
基本準備金は、アカウントが削除されると返却されるが、アカウントの削除のために2XRPの手数料支払いが必要になり、この分が引かれた額が戻ってくることになる。
所有者準備金は、上記のオブジェクトが削除・移動などによりアカウントに属さなくなったタイミングで全額戻ってくる。例えば、オファーの場合は、取引が完了したタイミングで全額戻ってくる。
詳細はこちらを参照してほしい。
よって、まずはアカウントの有効化、NFTのMint、それらの処理手数料の合計として13XRPほどあると良いだろう。
ウォレットアプリのインストール手順
Xummアプリのインストール手順として、こちらの記事が参考になる。(注意点として、この記事中に準備金として31XRP必要と記載されているが、2023年3月現在は10XRPとなる。)
XRP Easy NFTでNFTをMintする
さて、ここから実際にXRP Easy NFTを使ってみよう。
1. XRP Easy NFTをXumm でサインインする
まずはXRP Easy NFT(https://xrpeasynft.com/)を開いて、ログインしよう。ログイン画面を開くとこのようなQRコードが表示される。そこでXummを開いて、QRコードを読み込もう。
Xummウォレットの下部メニュー中央のボタンを開くと下記のような画面が開かれるので、「QRコードのスキャン」を選択肢、QRでの認証を行う。認証が無事完了すれば、ウォレットのアプリでログインができる。
2.NFTをMintする
ページ上部のメニューから「Mint」を選択する。すると下記のような画面が表示されるので、画像の選択と各種情報を入力する。
「コレクションNO.」に入れた数値は、NFTが所属するグループの番号として機能する。シリーズ化したNFTを作る場合など、グループとしてまとめたい場合は、同じコレクション番号を使用すると良いだろう。
今回はこちらの弊社スタッフが書いたイラストを使ってNFTを作成してみよう。
各項目の入力が完了したら、「発行」ボタンをクリックする。
するとQRコードが表示されるので、再度XummでQRコードを読み込み、Mint処理の承認を行う。この際に、取引手数料として0.000015XRPが必要なことが分かる。
前述したとおり、これは他のブロックチェーンと比べて非常に安いガス代だ。
3.自分のXRPの履歴を確認する
Xumm上で承認を完了するとNFTのMintが完了し、作成したNFTの詳細が表示される。
また、ここでMintしたNFTはXRPLのブロックチェーン上に作られるため、XRP Easy NFT以外のマーケットプレイスでも確認することができる。
NFTの確認画面の上部のメニューを開くと「NFTMASTER」、「OnXRP」から作成したNFTを見ることができる。
ただし作成したNFTは、XRPL上のトークンとして存在しているが、現状ではメタデータの取り扱いがプラットフォームごとに違うため、全てのマーケットプレイスで取引可能にはならないようだ。
4.NFTを売買する
ここで、btraxの他メンバーにこのNFTの購入を試してもらい、その取引履歴がどう見えるのか試してみよう。
購入希望者のアカウントから、このNFTをいくらで購入したいのか希望金額を設定して、「購入オファー」を行う。
すると下記の画像のように、オファー金額とそのアカウントが表示される。
これを筆者がXummアプリ上で承認すると、このNFTの所有権が購入希望者に移る。その処理時間はほんの数秒だ。
この取引内容はプラットフォーム上だけでなく、XRPL ExplorerのようなWebサイトで確認することができる。これは取引内容がブロックチェーンに全て記録されていることを意味する。
そして、このWebサイトではNFTの売買だけでなく、XRPLブロックチェーンで行われた決済、送金といった処理をすべて確認することができる。Web3が「オープンなWeb」と言われる理由の一つは、こういったブロックチェーンの可視性の高さがあると考える。
おわりに
最後に、今回の手順を振り返ってみると、大まかに下記の流れになる。
1.ウォレットアプリを通じて、プラットフォームにログイン
2.NFTアートのMintと売買
3.ブロックチェーン上の履歴を確認
1のログインでは、アカウント名・パスワードでなく、個人IDとしてウォレットアプリを利用する。その情報はブロックチェーン上に格納されている。
2の段階として、ブロックチェーン上のサービスの利用や購入を行う。この際にXRPLではXummウォレット上での承認処理が必要となり、セキュリティの担保を図っている。
そして、3として、サービスを利用した履歴を確認することができる。
この1-3の手順は、Web3のサービス/アプリケーションの基本的な使用手順といえる。今回のNFTアート作成を通じてWeb3のサービスやブロックチェーンを利用するイメージを持ってもらえただろうか。
これまでNFTはアートの取引のために、アーティストとそれを売買する人々のものというイメージがあったかもしれないが、実は簡単に誰でも作成できることを示せただろう。また、NFTアートの作成を通じて、Web3やブロックチェーンの理解につながれば幸いだ。
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