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アメリカ進出成功のために問うべき15の質問に一問一答
先日btraxは、「なぜ日本企業はアメリカでうまくいかないのか? 〜目指すべきは脱営業 顧客を獲得するアメリカ市場戦略〜」というオンラインイベントを実施した。
ビジネスにおける日米差や、アメリカ進出を考える際のよくある落とし穴を中心に、事例とともにお伝えした。
また、参加者の皆さまからは非常に多くのご質問をいただき、その数は時間内で回答しきれないほどだった。
そこで今回も前回に引き続き、イベント当日、時間の都合上回答をすることができなかったご質問に対して、登壇したbtrax CEO, Brandonより改めて回答をもらい、その内容を記事にまとめていきたい。
Q1. アメリカ企業の意思決定のプロセスは、日本と違いますか?
かなり違います。何よりも「スピード感」が違います。アメリカでは、それぞれの担当者への決定裁量が大きいため、現場レベルでも意思決定がされやすい傾向にあります。
もしくは、超トップダウン型でトップの一声で大きく動く場合もあり、いずれにせよ判断のスピードが速いです。
一方日本では、合意形成に時間がかかる様子です。和を乱さないことが重視されたり、ハンコ文化も未だに根強く、契約プロセスに時間を要したり、といったことが多いです。
そのスピード感だとアメリカでは痺れを切らしてやっていられないということになりうると思います。
Q2. アメリカ市場におけるPMFの指標は何ですか?
ケースバイケースだとは思いますが、一般的なPMF(Product Market Fit)の指標は、ユーザーインタビュー/アンケート回答者のうち、”非常に残念 “を選択した人の割合を見ます。
PMFの解釈の基準として広く使われている「ショーン・エリス・テスト」では、スコアが40%を超えると製品-市場適合性が良好であるとされています。
Q3. アメリカナイズとグローバルの違いを端的に教えて下さい。
基本的にアメリカ市場はグローバル市場の一つではありますが、規模が大きいことと、そこでヒットしたブランドの他の市場への影響力が大きいことが特徴的だと思います。
とはいえ、ユーザーのニーズはその人ごとに異なるので、どこの市場をターゲットにするにしても、誰がなぜそのプロダクトに魅力を感じるかをしっかりと理解する必要があると思います。
Q4. Made in Japan はアメリカ市場において優位性はありますか?
もうMade in Japan だけで価値と見なされる時代ではないと思います。
一方、日本のものだからこそ面白がられることがあるのも事実です。ですので、付加価値としてはMade in Japan は未だ力を持っていると思います。
Q5. エンタープライズ顧客を獲得するためにまず日本人社員が具体的にやるべきことは何でしょうか?
ターゲットとなる個別の会社のニーズを把握し、そこで働く人と一人でも多く知り合って、詳しい話を聞くことに尽きると思います。
エンタープライズというと、どうしても大きな組織をイメージしてしまいますが、分解してみると個別のユーザーニーズが見えてくるはずなので、”人”レベルでのニーズ理解が最優先だと思います。
Q6. メルカリの例がありましたが、他に日本発のソフトウェアで面白い事例はありますか?
正直ソフトウェア系はアメリカが強い印象です。
ゲーム以外のソフトウェアなら、日本発でアメリカでIPOをしたトレジャーデータの話はよく耳にします。
Q7. 日本人的な経営ケーパビリティだとすれば、インターナショナライズしてOEM(ローカライズ)するライセンス型がベターですか?
おそらくこれは、日本で作ったプロダクトをアメリカで販売する際に、自社で展開していくよりもOEM的に他の会社に売ってもらう手法のことを指すかと思います。
これは一見簡単そうに見えて、実は売り込む難易度が高いと思います。
というのも、他の国々からも似たような製品が提供され、売り込みが上手な会社も多くあるからで、安易に考えない方が良いかと思います。
Q8. 海外経験の少ない駐在員を雇っても売れないという話がありましたが、営業要員としての現地ローカル雇用はどうお考えでしょうか?
そもそも営業でビジネス展開をする戦略自体に限界があり、下手な営業担当を雇うぐらいであれば、優秀なマーケティングができる人やパートナーを探した方が得策だと思います。
また、アメリカで優秀な営業ができる人は報酬がものすごく高い上に、マネージの難易度が上がりがちです。その辺りの仕組みづくりがしっかりできていないと、すぐに自社からいなくなってしまう可能性も高いです。
Q9. B2BのSaaSサービスでもブランディングのAwarenessに初回から注力すべきでしょうか?
はい。むしろB2B向けのSaaSサービスこそ、差別化要因がブランディングになります。
SalesforceやSlack, DropBoxなどのサービスは初期の頃からブランディングに注力しており、それが大きな差別化要因になっています。
最近ではプロダクトのUX体験を通じたブランディングも重要になってきており、機能性よりもよりブランド力と体験のクオリティーが求められる時代になっています。
Q10. 日本企業は、国内で展開しているB2B向けのブランディングを海外に横展開すれば良いのか、あるいは文脈を変えるべきでしょうか?チューニングする上で留意すべきことがあればご教授ください。
おそらく日本向けのブランディングは、アメリカと比べると社会的なコンテキストが異なるため、しっかりとチューニングする必要があります。
特にニーズと競合が異なるはずなので、ここを理解することから始めるのがおすすめです。
Q11. スタートアップや中小ブランドで、「ブランドストーリー」や「コミュニティ」を作って展開している面白い事例はありますか?
スタートアップの中でも特にD2Cブランドは、社会に対するポジティブな活動をストーリーとして表現し、それに共鳴した人たちがファンになり、コミュニティーになっていくケースが多いです。
代表的なブランドとしてはEverlane、 Allbirds、 StitchFixなどが挙げられます。
Q12. アメリカは多人種だと思うのですがストーリーテリングの難しさはありませんか?
これは重要なポイントで、文化的バックグラウンドが異なると、表現した内容に対しての反応も変わってきます。
代表的なのが色で、人種によっても捉え方が異なっていることが多いです。
Q13. B2B企業のコミュニケーションで、BtoCっぽいなと思われたコミュニケーション事例はありますか?
実は結構あります。例えばSalesforceが毎年開催しているDreamforceというイベントは、B2B企業ながら、有名アーティストのコンサートが開催されるなど、BtoC向けとも思われるほどエンタメ性が高くなっています。
同様に、SlackのWebサイトやオンラインコンテンツもかなりフレンドリーな印象で、一般消費者にとっても楽しめるものになっています。
Q14. α世代のマーケティング手法に関してどのようにお考えですか?
α世代に限らず何事も、その世代ではない人がどれほど考えても芯食った答えが出ないのは明白です。
だから実際にその世代の方に話を聞く機会を設け、彼らの生の声や行動からインサイトを抽出し、どういう方法やサービスにすべきかを掴むことが重要です。
ここのフェーズをやらないケースを多く聞きますが、エンドユーザーを巻き込むことは重要だと思います。
Q15. 越境ECはビジネスモデルとして成立するのでしょうか?
やり方次第で十分可能です。重要なのは、誰のどんなニーズに対してどのような商品を販売していくのか。
そのために、ブランドの作り方や、マーケティング手法、ロジスティックスまわりのプロセスの確保がざっくりとキーポイントになると思います。
終わりに
ビジネスの日米差やブランディング、マーケティングのポイントに至るまで、非常に多岐にわたるご質問をいただき、改めて感謝申し上げます。
イベント本編のBrandonによる「日本企業はなぜアメリカでうまくいかないのか?」をテーマに掲げたセミナーは下記の動画よりご覧ください。
今後もbtraxはイベントを定期的に開催してまいりますので、引き続きぜひチェックをお願いいたします!
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1月11日(土)、btrax SFオフィスで「CES 2025 報告会: After CES Party」を開催します!当日は、CEOのBrandonとゲストスピーカーが CES 2025 で見つけた注目トピックスや最新トレンドを共有します。ネットワーキングや意見交換の場としても最適です!