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シリコンバレーの起業家にお金の話はタブー
数年前、クリスマスシーズンにサンフランシスコの Twilio 本社にて開催されたスタートアップイベントに参加した。
そこで同社CEOのJeff Lawsonに初めて会った。会社が順調に成長している事を知っていた僕は、
Making a lot of money? (儲かってる?)
と聞いた、すると彼は笑いながら
I don’t care, that’s not our goal. (そんな事どうでも良いよ、そんな事の為にやってないし)
と答えた。あ、そうかスタートアップの存在目的はお金儲けじゃなかった、という事を今さらながら思い出した。
以前に自分自身でも以前の記事の中で、下記のように書いていたのをすっかりと忘れていた。
“彼らが興味があるのはビジネスを通しどんな面白い事をして、どのように社会に貢献をしているのか。他の会社とどこが違い、何が得意なのかである。
アメリカの人々が経営者に期待するのは、どんなに儲けているかよりもどれだけ人と違う面白い事をやっているかなので、ビジネス的な数字をあまり気にせずに心置きなく今までに無いイノベーションを創り出す事を優先して経営が出来る。
経営者たるもの年商を増やし、利益率を上げ、規模を大きくするのが仕事ではある。しかし、それだけにこだわっている人はアメリカではあまりクールだとは思ってもらえない。
日本とアメリカ(特に西海岸)では社会的も起業家や経営者が評価されるポイントにおいて”ロマン“と”そろばん“との大きな違いがある。”
そう、サンフランシスコを中心にアメリカでのスタートアップに最も重要視されるのは世の中の問題の解決、そしてユーザーへのメリット、最後にお金儲けであることが多い。
実際のところ、Facebook, Twitter, Yelpなど売り上げや利益をあまり意識せずにサービスを提供し、ユーザーの指示を集め上場するような企業も少なくはない。
その裏には彼らのビジョンに共鳴するエンジェル投資家やVCからのサポート、そして何よりも世の中としての風潮がある。
投資家の立場から見ても、世の中にポジティブな影響を与えれれるスタートアップは人々の支持が集まり、最終的には大きなビジネスになり得る事を理解しているからこその考え方である。
結局”お金儲けなんて二の次だ”と言っていたTwilioも上場した。お金は後から付いてくる、という考えのもと多くのユーザーと投資家の支持を集め、多くの人から愛されるサービスを作り上げたことに対するご褒美であろう。
日本人が一番気になる事がこちらではNG
先日福岡市のプログラムでこちらのスタートアップに訪問した起業家の方々からの”年商は?利益は?”などの質問に対しても、こちらのスタートアップの起業家たちが怪訝そうな顔で、”わからない、知らない、それ重要か?なぜ聞くの?”と返答していた理由も同じである。
新しいイノベーションを生み出したり、世の中を変革させようとするスタートアップに同時に着実な売り上げと利益を生み出させという方が無理がある。まずはとにかく世の中に役立つ面白い事を始めることがスタートアップのミッションである。
先日、日本に行った際にサンフランシスコの起業家で友人のAdamと六本木で朝までクラブ巡りをした際の合言葉も、”Let’s have fun. That’s What Life Is All About (楽しもうぜ。人生はその為にある)” 。
とにかく面白い事をしたり、作ったりして自分達が楽しむことが重要。仕事でも遊びでも。
そんな、”社会悪になるなら死んだ方がまし”の風潮が強いサンフランシスコベイエリアのカルチャーの中では、風潮的に金儲けの為に悪魔に魂を売るのは難しい。
やっぱりこの辺も日本のベンチャー企業の存在意義とアメリカのスタートアップのそれとにも大きな違いがあるのかもしれない。
逆に考えると、日本での”稼いだもん勝ち”の風潮が存在し続ける限り、そこはグローバルで勝負できるスタートアップが出てくるには難しい土壌なのかもしれない。
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