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ロゴデザイン作成秘話 – TOKYO CREATIVE SALON 2022 –
この春行われた「TOKYO CREATIVE SALON」というイベントにおいて、弊社btraxでは、インスタレーション展示の空間演出を含んだデザインとディレクションを行った。
その一環として、日本橋エリアのキービジュアルを制作したため、この記事ではそのキービジュアル作成の裏側についてご紹介していく。
TOKYO CREATIVE SALONとは?
TOKYO CREATIVE SALONは、地域や民間企業が連携して、都内の複数エリアのイベントを一同に集結させた、プロジェクト型のクリエイティブイベントだ。2022年3月18日から3月27日まで開催された。
東京を、ファッション、アート、音楽、フード、カルチャーなど、さまざまなカテゴリーを融合できる場所と捉え、合計5つのエリアがそれぞれがテーマを持ち、発信する。
5つのエリアとは、日本橋、丸の内、銀座、渋谷、原宿。この中で今回btraxは、日本橋エリアの展示ディレクションとデザインまわり全般を担当した。日本橋エリアは、ファッションの分野で展開している。
ロゴデザイン
これが今回デザインした、TOKYO CREATIVE SALON日本橋エリアのロゴ。みなさんは、このロゴからどんな印象やメッセージを受け取るだろうか?
実は、これは漢字の「素」を少しデフォルメしてデザインしたロゴだ。
展示のメインテーマは、「素材からファッションを再定義する」というもの。
また、展示ブースは更にテーマごとに3つに分かれている。
- 日本橋というエリアは繊維の街として昔から知られていることから、素材の歴史と伝統を物語る「Traditional(トラディショナル)」のブース
- ファッションや素材における技術力と機能性に着目した「Technological(テクノロジカル)」のブース
- そして、これからのファッションを素材を通じて考える「Sustainable(サステナブル)」のブース
そして、これら3つのテーマを包括するコンセプトとして、どの時代においても、ファッションにおいて素材は大切であるとして「ファッション=素材」というコンセプトを定めた。
そしてこのコンセプトをロゴに落とし込み、布をイメージしたデザインにした。
ではここから、このロゴが完成するまでのプロセスを紹介していく。
1.リサーチ
まずは、参考になりそうなロゴをひたすら集めた。そして一通り集めたものを、カテゴライズしていく。
系統として、クラシックとモダンという軸と、文字中心とビジュアル寄りという2つの軸で分類していった。どんなデザインにするかはこの時点ではまだ決まっていなかったため、ひとまず広い意味合いを持つ「クラシック」と「モダン」を軸に決めた。
また、ロゴデザインをする際に、文字が含まれるものにするかどうかは全体のデザインに関わるため、最初の段階で決めた方がその後のプロセスとして制作がしやすいと判断し、もう一方の軸にした。
今回のロゴでは「素材」という文字を使ったデザインにしたいということは決まっており、さらにこのリサーチとその結果の分類によって、モダンな雰囲気にしようと方向性が決まった。
理由として、今回の企画全体のコンセプトにも通ずる「ファッションに使われている素材も、時代と共に進化している」という意味を込めるべく、ロゴもクラシック寄りにするのではなく、モダンな要素が必要だろうと考えたからだ。
2.ラフスケッチ
おおよその方向性が決まったら次はスケッチ。
スケッチの方法はデザイナーによって様々だが、筆者の場合、手描きで紙に描いていく方法と、フォントを漁りながらイラストレーターで色々試す方法を同時に試すことが多い。
2つの方法を同時に行う理由は、手描きとデジタルでそれぞれ出来ることが違い、お互いに足りない役割を担っているからだ。
手描きでのスケッチは、頭の中で浮かんだアイデアをよりスピーディーに可視化することができる。精度は高くなくても、イメージしているものをとりあえず形にすることができる。
反対に、イラストレーターで実際にパスを引いたり、フォントを置いてみるというやり方は、デザインの質感や色味が正確にイメージしやすくなる。
3.イラストレーターで調整
作ったラフをもとに、より具体的なデザインのイメージが出来たら、今度はイラストレーターでそれを正確に作っていく作業を行う。
最初は「素材」の2文字でデザインしようとしたが、2文字を横並びにしたときの見栄えとバランスが良くなかったため、途中から「素」という文字だけで作ることに。
「素」という一文字だけにすることでインパクトが出るのではないかと考えたからだ。
そして少しずつ形を整えて、最終の形にまで持っていった。
ロゴの展開
完成したロゴは、さらに展示全体のキービジュアルや、展示会場の外壁デザインなどとして展開した。
一面全体にロゴを大きく使ったことで、インパクトが強く、人目を惹くデザインになり、それが結果的にある種の集客効果につながったように感じた。
今回「ロゴ感」を出すためにも、パッと見では漢字の「素」であることが識別しにくいデザインにしているため、それが大きく外壁としてプリントされていることで、あれは何だろう?と通りすがりの人に思わせることができたのではないかと思う。
最後に
筆者にとっては久しぶりのロゴデザインだったが、改めて一からどんなものにしようかを考え、コツコツと形にしていく作業は純粋に楽しいなと思った。
そしてデザインしたものが実際の外壁や暖簾にこれほど大きくプリントされ、人の目に触れることもなかなかない経験だったため、とても良い機会となった。
世の中無数のデザインで溢れているが、どれも視覚的にコンセプトやメッセージを伝えようと作られているもの。どういう意図やメッセージを込めて作られているものか考えながら見てみると、見方が変わって面白いかもしれない。
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