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日系企業のサンフランシスコ・ベイエリアに進出数が過去最高に – 世界中の優れたスタートアップが集まる理由
次世代のイノベーションが生まれる街
世界中のスタートアップが集まる地、サンフランシスコ。ここには、 最先端の技術を操るエンジニアや有数のデザイナーがおり、ハングリー精神と野心に燃えた人々が常に「自分たちこそが世界を変えてやる」と、昼夜を問わず死に物狂いで革新的なアイデアを出し合っている。
そして、彼らのチャレンジを応援する人々 -どんなサービスや製品でも「とりあえず試してみる」といった考えが根付いた地元の人々や投資家がいる。
サンフランシスコのスタートアップの分布図。地図内で特にスタートアップが密集しているのが、SoMa地区。btrax(ビートラックス)もこのSoMA地区に本社を構えている。
出典 : 「A man walks into a bar and asks “does anyone here work at a startup?”」
世界一テクノロジー系スタートアップが盛んな都市
Seedtableの調査によると、テクノロジー系スタートアップが盛んな都市ランキングでサンフランシスコは世界第1位であり、「シリコンバレー」一帯を占めるPalo AltoやMountain Viewなどを合わせても足りないほど大きく引き離している。
スタートアップ創業数、彼らへの投資件数、エグジット数においてサンフランシスコは世界1位の都市である
出典 : 「San Francisco Has the Most Active Start-Up Scene」
歴史を通して育まれた、「チャレンジする人を応援する」地域性
1849年に起こったゴールドラッシュに始まり、第二次世界大戦中には軍事活動の中心地、そして1960年代にはヒッピームーブメント。このようにサンフランシスコは時代を超えて常に様々な異文化との遭遇があり、それらを受け入れ発展してきた、他にはあまり見られない珍しい文化の融合がある都市である。
独自の文化と異文化が入り混じる環境の中で、異なるものを受け入れる柔軟性こそが、ここの人々がチャレンジする人を応援する風土が根付いてきた所以なのだ。そして現在では、世界でどこよりもはじめに最先端のサービスが試されるな街であり、いかに人と違っているか・ユニークなのかがアイデンティティになる近未来的な都市にまで成長している。
全米一のビジネスコスト
その一方で、世界一のスタートアップ都市でのビジネスコストは低く無い。オフィスの賃料からスタッフの給料など、この街で企業が展開するのに必要な経費はここ数年で格段に上がって来ているのも事実である。
なぜサンフランシスコで起業?
ではそこまでの大金をかけて、サンフランシスコで起業する人が多いのは、なぜか。なぜ世界の優れたスタートアップはサンフランシスコに集まるのか。
その最大の理由の1つに、サンフランシスコに本社を構える弊社,btrax CEOのブランドンは世界のイノベーションを生み出す最大の原動力の要因となっているサンフランシスコの「Can Do カルチャー」があると話す。
世界のイノベーションが生まれる原動力 “Can Do” カルチャー
サンフランシスコは市内の人口が80万人も満たない小さな街ではあるが、エンジニアやデザイナーが多く住む特殊な街だ。何か新しい事を始めようと思った時に「絶対にできる」と応援してくれる環境がここにはあるという。
自分の身近な人や同じ世代の人が、どんどん世界を変えるような革新的サービスを生み出すようなこの街にいると、自分でも世界を変える事ができるんじゃないか、と思えてくる。ブランドン氏は「この地域の凄い所は、『できる』って言ってくれる人達と、もう既にやっている人達の集まりであるという事」と話す。
他の都市類を見ない「ユニコーン」企業の数
世界的に有名なスタートアップ企業がたくさん存在する点も、サンフランシスコにスタートアップが集まりやすい理由だ。特にこの街で特に目を見張るのが、人口単位で見る高い「ユニコーン」比率である。ユニコーンとは、未上場でも評価額が10億ドル以上の企業をさし、サンフランシスコに本社を置く企業の代表的な例としては、Uber, Airbnb, Pinterest, Dropbox, Square, Stripe, Zenefits, Credit Karma, Jawbone, GitHubなどがあげられる。
実にアメリカのユニコーン企業ランキングTop20のうち、その過半数がサンフランシスコに本社をおいている。多くのユニコーン企業ははじめからグローバル市場を視野に入れビジネス展開をしており、作り出されたプロダクトが世界規模で展開されることで、高い企業価値を生み出しているといえる。
全米のユニコーンランキングTop20 (オレンジの円がサンフランシスコに本社をおく)
サンフランシスコ・ベイエリアに進出する日系企業数は過去最高
サンフランシスコとシリコンバレー地域には遠く離れた日本からも多くの企業が進出する。最近特に話題にあがる在サンフランシスコ日系進出企業といえば、フリマアプリのメルカリ、ニュースアプリSmart News, そしてグロースハックプラットフォームのKaizen Platformなどがある。
シリコンバレーを含むサンフランシスコベイエリアに拠点をおく日本企業、その数はなんと過去最高の719社。一旦2000年初頭は減少したものの、ここ数年進出する日系企業は増加傾向にあるという。
図 ベイエリアの日系企業数の推移
北加日本商工会議所 ジェトロ・サンフランシスコ
「ベイエリア日系企業実態調査 2014年調査」より
福岡市とサンフランシスコ
先日J-Pop Summitが開かれた際のインタビューにて、しくみデザインの中村氏がサンフランシスコと福岡市には、意外と異なるようで共通点があると語っていた。街のコンパクトさ、港町、そして創業支援が盛んである点。またブランドン氏は両市ともテストマーケティングに使える街だと指摘している。
今月1日と5日、福岡市にてグローバルスタートアップ育成事業「Global Challenge!STARTUP TEAM FUKUOKA」のキックオフイベントで会場がもりあがったKaizen PlatformのCEO, 須藤氏と弊社CEOのブランドン氏の対談においても、福岡とサンフランシスコのスタートアップ事情やビジネス遂行にあたっての街の可能性に関する話題が特に注目された。
どれだけ‘Unique’であるかが求められる街 サンフランシスコ
須藤氏の考えるサンフランシスコの魅力とは、その「空気感」にあるという。彼がサンフランシスコに来た際にカフェでたまたま隣に座った人にビジネスアイデア話したところ、ものすごい勢いでノッて来て、一緒にスタートアップを始めよう、という話にまでなったという。実はこういう事例はこの街では日常茶飯事だ。
サンフランシスコの人々が持つカルチャーに根付いたクリエイティブな考え方やすぐ実行しようとするスピード感に、世界が魅了されるサービスや製品が生まれやすいといったビジネス展開の可能性を強く感じたという。
コストは高いがそれだけの価値がある
質の高い技術・エンジニアが集まるこのサンフランシスコ周辺地域でのビジネスコストは、なんと福岡の約5倍。しかし、世界展開を成功させる事で得られるビジネスメリットは非常に高く、それだけの価値があるという。
「サンフランシスコに拠点」のブランド力
Kaizen Platformがサンフランシスコに米国法人のオフィスを構えるもう一つの理由が「アメリカで製品/サービスをヒットさせるためのブランド力」を得るためであると語る。スタートアップとして、サンフランシスコに構えているというだけで、会社のブランドになるのだ。
それにより、優秀な人材とお金が集まり、サービスの展開面でもアメリカ国内だけでなく同時並行で世界全体に向けたビジネス戦略を立てる事ができると語る。
8/1に福岡のStartup Cafe開催されたパネルディスカッションの様子
日本のスタートアップの中心地を目指す福岡
その一方で、福岡市は近年、特に行政を中心に創業者支援のエコシステムを構築しつつある。2年前に「国家戦略特区」の一つである「創業特区」に選定されたことは記憶に新しいし、コンシェルジュが常駐する創業支援拠点の「スタートアップカフェ」は創業予定者に対する支援が手厚いだけでなく、地元の創業に関心のある学生も利用する活気ある交流の場として知られる。
外国人創業者に対する国内初の創業推進プロジェクト開始
先月には外国人の創業をも促進するため国内初「スタートアップビザ(外国人創業活動促進事業)」が特例的に認められ、同市の産業の国際競争力が大幅に強化し、雇用の拡大を図ることが大いに期待されている。
世界で最も住みやすい都市上位
また、福岡市ならではのいいところもスタートアップの成長しやすさに拍車をかけている。地域への強い愛着から離職率の低さ、世界に認められた自然の豊かさと住みやすさから得られる総合的な満足感(去年「世界で最も住みやすい都市」に7位にランクイン)がビジネスをする上で強みになるのだ。
程よいコスト感
福岡市の家賃は東京に比べても約半分ほどだ。ビジネスコストはその規模を考慮すればどの都市にも引けを取らないくらいの低コストである。「世界で一番技術者のコスパが高いと思う。アウトプットの質を考慮するとコストが非常に安い、とbtraxのブランドン氏は話す。
グローバル展開への限界
しかしそんな中、福岡市はある課題を抱えているのも事実だ。「アジアの玄関口」として知られる同市の立地を生かしたグローバル展開をしている企業が少ないのだ。
福岡の企業がサンフランシスコに進出すると「最強」である理由
なぜ日本企業が今すぐにでもグローバル展開するべきなのか?どうして国内サービスには世界規模の他サービスと比べてヒト・モノ・カネが集まりにくいのか?それは、日本語の縛りにとらわれるか、とらわれないか。その差だとブランドン氏は指摘する。
それであれば、福岡のコストの低さを逆手にとり、福岡発グローバル向けのサービス展開ができれば、最強のROIを得る事が可能になる。
福岡発・世界向け「老舗」スタートアップ Nulab
下記のプログラムの国内ワークショップの会場ともなるNulabは、福岡市拠点でありながら85%の顧客は海外のユーザーで、ほとんどがアメリカを中心にヨーロッパ・南米を占める。
国内にいても海外的な感覚を少しでも身につければ、地方都市である福岡にいても、ほっておいても世界中からユーザーが集まってくるようなサービスが作れる好例といえる。
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