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イノベーションを生み出すために -空想者から行動者に変革する5つの方法- 始動プログラムより
先月の末から今月の初頭に掛けて、経済産業省プログラム「始動 Next Innovator」の最終選考に選ばれた方々が日本からシリコンバレー来られた。
始動とは、グローバルな新規ビジネスを創出できるイノベーターを育成するために、経済産業省が主催するプログラムである。
こちらのプロジェクトに対して、グローバル規模でのイノベーションを生み出す事を最終的なビジョンとしているbtrax社のCEOとして、微力ながら自分もメンターとして参加させて頂いた。
Thinker から Doerへ
このプロジェクトのスローガンは、「Thinker から Doerへ」日本は大企業を始めとして詳細なるビジネスプランを作成して事業に取り組むケースが多い。
一方で、こちらでは、行動が最優先される。アイディアがあったらとりあえず動いてみる。
作ってみる。が基本である。特に新しいイノベーションを作り出すには、長期的なプランや細かな収支表は役に立たない。
そもそも現在存在していないマーケットに対する効果測定など、出来るわけが無い。
このアクションありきの展開モデルは、リーンスタートアップや、リーンUX, デザイン思考のプロセスでも実証されており、シリコンバレーを中心とした、海外のスタートアップや企業では普及が進んでいる。
その一方で、プランありき、予算ありき、組織重視の日本の企業では行動を起こす前の企画段階で、散々こね回したあげくに、ボツになってしまう事も多い。
そんな企業習慣に一石を投じる意味でも,始動プロジェクトに協力させて頂く意義は大きいと感じた。今回参加された20名は、全国から367 名の応募から、一次選抜を通過した起業家や大企業の新事業担当者など122名が参加した3か月の国内プログラムから選ばれた精鋭達。
世界に通用する新規ビジネスを作り出すべく、Thinker (空想者) からDoer (行動者)への変革を目指した。
では、夢で終わらせない行動者となるには、どのような心構えと環境が必要なのであろうか? btraxが提供するイノベーションプログラムでも実践してる5つの方法を紹介する。
Doer (行動者) になるための5つの方法
1. 最終ゴールと小さなマイルストーンを設定し、それぞれに締め切りを設定する
ゴール設定を行う場合は、必ず最終的なゴールの他に、一週間単位での細かなマイルストーンも設定する事で、夏休みの宿題状態を避ける事が出来る。
プロジェクトの進行はあくまでスケジュール重視にしておき、基本はその日程で出来上がったものをリリースする。
そもそも今の時代”完成版”など存在しないので、常にリリース後も改善を進める前提でのゴール設定が良い。
万が一上手くいかなかったり、ずれ込んだ場合のバックアッププランも作成しておく。
2. 二分間ルールを適用してみる
行動を起こすのがおっくうと感じるときや、気が進まない時は、通称二分間ルールを適用してみると良い。これは、あまり好きではないタスクや、目標があまりにも大きすぎて、考えるのも怖いような作業に対して、“とりあえず”二分間だけやってみる、という方式。
どのようなタスクでも、二分であれば集中力は続くはずなので、ある程度は進められる。実は意外と二分で終わるケースも多く、終わらない場合でも結局そのまま続けて最後までコンプリートしてしまうだろう。
3. 行動者に囲まれて過ごす
何かを達成したければ、まずはふさわしい環境に身を置く事が最も重要である。
サンフランシスコやシリコンバレー地域から世界を変えるようなプロダクトや、大業を達成する起業家が生まれやすい最も大きな理由がその環境。
周りの人々もどんどん行動し、その中から成功を収める人達が出てくるような場所にいれば、自分も暗示にかかり、いつの間にか行動する様になってくる。
4. 最低限の初期バージョンを作ってみる
どんなに素晴らしい事業やプロダクトでも、全てには必ず初期バージョンが存在する。
そしてその多くが今から考えるとあり得ないぐらいにしょぼい。赤ちゃんが初めて歩き出す時にコケまくるのと同様、初期バージョンは人に見せられないぐらいのクオリティで失敗の塊である。
でもそれで良い。それをどのようにして改善し、人々に愛されるものとするかの方がよっぽど重要である。とりあえずはMVP (最小限の機能だけのバージョン)を作ってみよう。
5. 想定よりも時間もコストも多く掛かる事を理解する
物事のその多くは、実際に始めてみると最初の企画段階では想定していなかったトラブルやイレギュラー発生により、より多くの時間とコストが掛かる。
それを理解し、あくまで長期戦になる事を想定しておく事。現在では世界で有数の企業価値を誇るAirbnbの共同創業者であるNateも、
“現在は順風満帆に思われる私たちですが、それまではすごく長い道のりでした。それでもここまでやって来れたのは、長期的なビジョンがあり、それに向かって諦めずに進めて来たから。
起業してビジネスをするというのはマラソンのようなものだという事。
短期決戦というわけにはなかなかいきません。短いスパンで何かうまく行ったと思っても、続かないのです。逆に最初はうまく行かないと思っても、長期的なスパンで考えればその先に成功があるかもしれません。”
と語っている。
最後に:
今回、始動プロジェクトを通じて素晴らしい機会を頂いたWiLの伊佐山さん、琴君、そしてその他のメンターの方々に大きな感謝を御礼を申し上げます。
また、参加された方々の健闘にはとても感銘を受けました。今後の日本が変わって行く姿を目の当たりに出来た事を光栄に思います。
いつの時代もやる奴はやるし、やらない奴はやらない。
だったら、君もやる方に入ったら? by 矢沢永吉
筆者: Brandon K. Hill / CEO, btrax, Inc.
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