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グローバルにイノベーションを起こす人の7つの特徴
経済産業省が「デザイン経営宣言」を発表したのが2018年のこと。経営にデザインを取り入れることで、組織のイノベーションの創出力を高めようとする試みだ。
実際、日本の多くの企業でも、デザインを取り入れる動きが見られるようになり、その効果も少しずつ現れ始めている。
イノベーション、説明できますか?
では、そもそも「イノベーション」とは何だろうか?ふわっとした「なんとなく」のイメージに留まり、その定義ができていないのではないだろうか?
バスワードに踊らされ、抽象的な理解のもとではなかなか具体的な行動に結びつかないことについては、「“イノベーション“や”DX”をバズワードで終わらせない為に大切な2つのこと」の記事でも紹介した通りだ。
また、「イノベーション=技術革新はもう古い!新たな価値を創造した9事例」で述べたとおり、btraxは、イノベーションを「新たな価値の創造」と定義している。いろいろな捉え方があるだろうが、イノベーション創出を目指すチームとして、自分たちなりのイノベーションの定義を明らかにしておくのが良いだろう。
そして昨今、どの企業もイノベーションの創出に奔走しているが、イノベーションを生み出すのは、紛れもなく「人間」であるということを忘れてはならない。イノベーションを起こすには、そこに所属するスタッフたち自身がイノベーティブでなくてはならない。
しかしながら、そうなってくると今度は、「イノベーティブな人材とは?」という疑問が生まれる方もいるだろう。そんな方のために今回は、世界を驚かせ、新しい価値を創造してきたイノベーター達を例に挙げ、イノベーティブな人材になるためのヒントを解説していく。
イノベーターを目指すための7つのポイント
1. 怠惰
いきなり怠惰ときて何事かと思った方もいるだろう。これは、ただダラけて仕事をする、という意味ではない。怠惰であるがゆえに、いかに効率的に仕事をするかを考えているということだ。短い時間で最大限のバリューを発揮することを念頭に置き、その気概で仕事をするのだ。
マイクロソフトの創業者、ビル・ゲイツはこのようなことを言っている。「大きな仕事をするとき、私は怠惰な人間をアサインする。なぜなら、怠惰な人間は、いかに簡単にその仕事を完遂するかを考えるからだ。」
イノベーターは、最善かつ最短ルートで仕事をやり遂げる道を選び、「ハードではなく、スマートに働け」これを指針とする。最善のプロダクトをつくるだけでなく、最善のプロセスをも選び取るのだ。
2. メモ魔
イノベーターたちはメモ魔だ。とにかくメモを取る。常日頃からアイデアノートを持ち歩き、何かひらめく度にメモに残す。
ヴァージン・グループの創設者であるリチャード・ブランソンは、彼のビジネスを支えるツールのひとつとして、テクニカルなガジェットではなく、ごく普通のノートを挙げた。彼は、どこへ行くにもノートを持ち歩き、いつでもアイデアを書き留めることができるようにしている。
そして時には、乗っている飛行機のクルーや同乗している客にまで、そのノートを見せてフィードバックを求めるのだそう。自分のアイデアを自分だけのものにせず、誰かと共有することで、その価値を高めたり、実現へのヒントを得たりするのだ。
アイデアの大小は問わず、常にアウトプットし続け、さらに共有してから、フィードバックをもらい改善する。メモを使って、アジャイル式にアイデアを育てる習慣は、イノベーティブなサービスの開発にも必ず役に立つ。
3. リスク回避のために改善を繰り返す
イノベーターたちは、どんどん新しい領域を開拓するゆえに、フロンティアスピリットのようなものを持った自信家と思われがちだ。しかし、実際はその真逆。新たなことに挑戦するため、常に発生するリスクと戦っており、臆病なのだ。
ただ、ただリスクに怯えているわけではもちろんない。彼らは、臆病であるがゆえに、そもそもリスクや問題が起こらないように、問題が起きても対処できるように、常に改善を続けている。
例えばトヨタ自動車は、「トヨタ生産方式」と呼ばれる独自のメソッドを持っているが、そのコアにあるのが「改善」のマインドセットだ。問題に対して「なぜ」を5回繰り返すことでその本質的な原因を探り、問題をクリアにする。
そして問題点を明らかにすると同時に、問題を解決するプロセスややり方に対しても同様に、本質を突き止める姿勢を持つことで、常にもっと良い方法はないかと考えていく。
日常的な改善を怠らない着実な進歩が、トヨタ自動車の改善の延長線上にイノベーションがあるという考えを支えているのだ。
4. クリエイティビティが発揮される環境に身を置く
イノベーターは、周囲の環境が自分のクリエイティビティやアイデアの発想にに大きく影響することを知っている。いつ、どこで、仕事をすることが自分にとってベストであるかを理解した上で、仕事をする環境を選ぶのだ。
例えば、レオナルド・ダ・ヴィンチ。彼は自身の仕事の生産性やクリエイティビティを最大限に引き上げるために、4時間のサイクルで20分の睡眠を取り、1日合計で2時間程度しか眠らないという睡眠法を実践していた。
ダヴィンチにとっては、この睡眠法が彼のクリエイティビティの最大化にもっとも適した方法だったのだろう。ダヴィンチの凄さは、以下の記事でデザインの観点から解説をしているので、ぜひご一読を。
5. 旺盛な好奇心を持つ
イノベーターの興味範囲は広い。例えばイーロン・マスク。自動車メーカー「テスラ」のCEOでありながら、宇宙開発ベンチャー「スペースX」のCEO、さらには、スペースXの子会社「ソーラーシティ」の会長を務めている。
彼には、モビリティから宇宙にまで及ぶ好奇心と、次世代輸送システムの実現や火星への移住など、壮大な野望がある。
そして好奇心を形にする裏側には、その実現のために、説得力の補強をする証拠を集めたり、論理的であるかを徹底的に検証したりと、ロジカルな6つの「自問自答」をするという。
野望や好奇心などのビジョナリーな視点と、実現可能性やロジカルな視点を併せ持ち、柔軟に使い分けていくことが大切なのだ。
6. ユーザーが最優先
これは、サービスやプロダクトを発想する際のマインドセットだ。いささか当然のことのように聞こえるかもしれない。しかし、蓋を開けてみると、つい社内の意見や利益を優先してサービスを考えていることも少なくないのだ。
イノベーティブなサービスやプロダクトを生み出すには、他のプロダクトとの差別化が鍵を握る。そして、その差別を生むのは、ユーザー中心主義に立脚した視点なのだ。
デザイン思考のキーワードでもあるユーザー中心主義は、ユーザーよりもユーザーを深く理解することで、彼らが本当に欲しいと思っていることをえぐり出すことだ。
徹底的にユーザーを理解する姿勢が重要だ。しかしあくまでも、お客様の御用聞きになることとは異なるので以下の記事を参考に、ご注意を。
7. マネジメメント層自らも尊敬できるメンバーと働く
これは、個人というよりもマネジメント側に言えることだ。
フェイスブック創設者のマーク・ザッカーバーグは、自分の元で働く人を選ぶ際は、自分が部下だったと想定した時、その人の元で働きたいと思える人しか雇わないようにしているそう。フェイスブック COOのシェリル・サンドバーグが良い例だ。
ザッカーバーグと彼女の出会いはパーティーだったが、この人なら、と思ったザッカーバーグは後日、シェリルに対してフェイスブックのビジョンについて話したという。そしてシェリルはザッカーバーグに対し、そのビジョンを達成するために自分ができることを話したのだ。
「シェリルは自分自身、そしてフェイスブック全体を高めてくれる存在だ。」そう確信したザッカーバーグは、最終的にCOOとして、フェイスブックにシェリルを迎え入れる決断をした。
CEO自ら、ミッションに共感し達成に尽力してくれる同志を見つけ、ただ役割を埋める採用ではなく、会社を成長させ、カルチャーを育てるための採用をすることがイノベーションの鍵となるようだ。
まとめ
イノベーターと聞いてもピンとこない。そんな方でも、イノベーター達が実践していることや備えているマインドセットや習慣から、イノベーターへの一歩を踏み出すヒントを得られるのではないだろうか。
また、個人としてイノベーターを目指すと同時に、組織にもデザイン経営を導入し、イノベーションを生み出すことがこれから企業に求められていく。
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