【UX分析】ランチの格安サブスクサービス MealPal

Published on May 17, 2019

ここ数年でこちらサンフランシスコ周辺では、ユニコーン企業や上場するスタートアップがどんどん増え、空前の好景気を迎えている。それに合わせて生活コストもどんどん上昇し、約15年前までは東京よりも生活費が安かったはずが、現在では1ベッドルームのアパートの平均家賃が約40万円ほどにまで高騰している。

サンフランシスコでのランチの平均予算は$10以上

家賃に加え、急上昇したのがレストランの値段。以前はランチであれば$10以下で食べれたはずが、最近だと$15ぐらいかかるところも珍しくない。アメリカ西海岸のスタートアップでは無料で食事を提供してるイメージがあるが、それは実はごくわずかで、ほとんどの会社では自腹でランチを購入している。

サンフランシスコ地域での飲食に関する物価インデックスの推移

これが毎日のこととなると、ランチにかかる費用がかなりの悩みとなって来る。そのユーザーがもつ悩み (ペイン) に対する解決策 (ソリューション) として生み出されたサービスがMealPal (ミールパル).

MealPalは主にレストランのランチメニューをサブスクリプション式で事前に格安購入できるサービス。単純なサービス紹介だとつまらないので、今回はこのサービスの仕組みを社内のRyo GogamiによるUXデザインの観点からの分析も加えて紹介する。

美味しいレストランのランチが平日限定でお手頃価格でテイクアウトできるサブスクリサービス

MealPalを利用することで、ユーザーはランチ1回あたりにつき約$6と安く済ませることが可能になる。アプリをダウンロードし、事前にそこに表示されるメニューを購入し、当日にお店でピックアップするだけ。

ユーザーは事前に複数食分のテイクアウトランチをサブスクリプション型で申し込んでおく。価格設定は、20食分で一食につき$5.99, 12食分だと一食につき$6.39。

今までのフードテック系のサービスと大きく異なるのは、Uber Eatsのようなデリバリーではない事。そしてメニューは基本的に1レストランにつき1つしかないところ。

これは一見不便のように感じるかもしれないが、ターゲットユーザーのオフィスの付近にレストランが複数ある事。そして、1メニューといえども、複数のレストランから毎日違うメニューを選べるので、十分楽しめることができる。

Ryo Gogamiによるフロー図

オーダーは事前にしておくので、店舗で列に並んだり、待たされたりすることもない。そして何より価格が安いところが魅力。

また、選べるメニューのその多くがヘルシーな内容で、アメリカではミレニアル世代を中心に健康志向な人たちが増えていることから、「外食コストを抑えつつも、ジャンクフードなどではなく健康的なものを食べたい」というユーザーのニーズも満たしている。

ユーザーとレストラン側の両方のメリットを実現するUX設計

上記のようなユーザー側へのメリットに加え、MealPalはレストラン側の悩みも解決している。というのも、多くのレストランがランチタイムに多くのお客さんが訪れるので、なかなかさばき切れないという問題が多発している。

加えて、いつどのくらいの需要があるかが不明瞭なため、売れ残りも発生しやすくなり、顧客データの管理も煩雑になりがち。その点、MealPal経由のオーダーであれば、1種類のメニューだけを大量に作ることになり、コストの削減と、オーダー量の調整もしやすくなる。そして、デジタル経由のオーダーなので、効率的な顧客データ管理も可能となる。

Ryo GogamiによるUX分析図

このサービスを発案した創業者の1人は、以前に複数のフィットネスサービスを体験できるClassPassというスタートアップを創業し成功させいる。現在MealPalはニューヨークやサンフランシスコなどのアメリカの主要都市に加え、パリ、ロンドン、シンガポール、シドニーなど、世界の22都市で利用可能になっており、今後も提携先の飲食店を増やしていく予定。

世界中の物価が高騰している都心部において、忙しいサラリーマンの大きな味方になっている。