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初期ユーザー獲得に苦戦する起業家達へ、9人の先輩CEO達からのアドバイス
スタートアップを興す多くの起業家達にとって避けて通れない悩みの一つとしてあげられるのが初期ユーザーの獲得方法だろう。多くの時間とリソースを費やしているのにもかかわらず、一向にユーザーが集まる気配が無い。こんな悩みは日本のみならず世界中のスタートアップが持つ共通の悩みだといえるだろう。
先日執筆した「アパレル業界を席巻する新勢力 – Direct to Consumer (D2C) で成功した7つのブランド」を読んで頂いた方々からも、そもそも初期のブランド力が無い状態でどのように顧客を集客したのかを知りたいという声を多数頂いた。
そこで今回は初期ユーザー獲得方法について、スタートアップを成功させた世界のCEO達の実際の経験談に基づくアドバイスをまとめた。
重要なのはプロダクトの作り込みと正しいマーケティングチャネルの選定
彼らによる初期ユーザーの獲得方法に関するアドバイスは大きく2つの領域にわけることが出来る。1つはプロダクトの作り込みについて、もう1つはマーケティングチャネル活用法についてのアドバイスだ。
プロダクトの作り込み
プロダクトの作り込みに関してのアドバイスは、プロダクト自体の質を高めることはもちろん、ユーザー分析を徹底的に行うことの重要性を説くものが多い。「ユーザーのことを深く理解し、彼らのニーズや問題を解決するプロダクト・サービスを提供することに全力を注ぐこと」が大切だというのが彼らの総括した意見だろう。
1. Bea Arthur
Founder and CEO of In Your Corner
創業年: 2011
提供サービス: オンラインカウンセリングサービス
初期ユーザー獲得において、まずすべきことはターゲットカスタマーのことを正確に理解することです。分析が正しければ、10人中少なくとも4人が登録してくれるはずです。この40%のコンバージョン率を達成することがまずは大切になってきます。
ターゲットカスタマーを定めた後は、彼らと徹底的に話し合いましょう。私は共同創業者も居らず、最初の2年間は誰も雇いませんでした。その代わりに、創業者である自分がユーザー達に直接会いに行き、気に入っているところや改善した方が良いところを話し合いました。
彼らからのフィードバックこそがサービスを改善していく上でも最も信頼出来るガイドラインとなります。そのガイドラインを使い、顧客が誰で、なぜ彼らが登録し、なぜ使い続けてくれているのか、なぜ使うのをやめてしまったのかといった質問に対する明確な答えを持てるようにしましょう。
サービスを通して提供する価値を変更する必要も出てくるかもしれません。そうなれば作り変えなければならないことも増えるでしょう。しかし、それを恐れていては、良いサービスにはなりえないでしょう。
2. Ryan Holmes
CEO & Founder of Hootsuite
創業年: 2008
提供サービス: SNSマネージメントサービス
プロダクトの質を高めることこそが最初の1,000人のユーザーを獲得する為に一番必要なことです。ニーズを正しく捉えてさえいれば、友達からその友達、そしてその友達へと何も特別なマーケティングを行わなくても広がっていくはずです。
もちろん成長するにつれてマーケティングに力を入れる必要が出てくる時期は来ますが、それも肝心のプロダクトの質がイマイチ状態で行ったとしても、時間とお金の無駄になるだけでしょう。
3. Mariam Naficy
CEO of Minted.com & board member of Yelp
創業年: 2007
提供サービス: グラフィックデザインプラットフォーム
顧客拡大の鍵は彼らのことを深く知ることです。私たちの顧客はいったいどんな人で、彼または彼女にはどんな欲求があるを正しく理解し、それを踏まえて高い価値を感じてもらえるような製品を届ける。これを創業から現在に至るまで常に行ってきました。
時には顧客と直接会うこともあります。インタビューのお礼としてピザをご馳走することもありました。彼らとより近い位置で寄り添い、単なるリサーチだけでは築き得ない深い関係構築に努めています。
4. Marcela Sapone
Co-founder & CEO, HelloAlfred
創業年: 2014
ユーザー数:
提供サービス: 家事マネージメントサービス
最初の数ヶ月間、ユーザーのニーズや購入の判断影響する要素を知る手がかりになり得ることはなんでもしました。ポストカードを届けたり、スターバックスで話しかけたり、フェイスブックでメッセージを送ってみたり。
そこで気付いたことは、プロダクトこそが最大のマーケティング手段だということです。プロダクトの出来栄えこそが口コミを拡散させ、プロダクトの良さを広め、会社を大きくしていくのです。
5. Dave McClure
Founder of 500 Startups
創業年: 2010
提供サービス: ベンチャーキャピタル
顧客獲得を簡単に実現する魔法などありません。しかし確かに言えることがあるとすれば、それはユーザーの声を無視し自分の直感だけに頼ると、痛い目を見るということです。ほとんどの人はスティーブ・ジョブズではありません。
スティーブ・ジョブズでさえも、常に”スティーブ・ジョブズ”ではありませんでした。ユーザーを観察し、何度も何度もテストを繰り返しましょう。頭の中や会議室の中だけで行っていても、ユーザーのことを理解することは出来ません。
6. Micah Baldwin
Venture Advisor to Crunchfund
創業年: 2011
提供サービス: ベンチャーキャピタル
多くの起業家が必要以上に機能を複雑にしてしまっていると感じています。シンプルなプロダクトほど愛されるものは無いというのに。
スタートアップだから活用出来るマーケティングチャネル
マーケティングチャネルに関してのアドバイスは、小さなコミュニティの大切さや口コミの影響力等があげられる。規模が小さいからこそ利用すべきチャネルを積極的に活用することで初期ユーザーを獲得したというのだ。「ローカルな方法でも構わないから、確実にプロダクトの価値がユーザーに伝わること」が重要なのだ。
7. Tony Conrad
Founder of about.me & Sphere. Partner at True Ventures
提供サービス: フリーランサー達が自身のプロフィールを共有出来るプラットフォーム
創業年: 2010
コミュニティーの活用こそが初期ユーザー獲得の一番の鍵となったと思います。彼らのSNSでの発信・口コミが無ければ、私達の成功は不可能でした。
私の興したサービスの一つであるabout.meを例に挙げると、ローンチ時には4人しか社員が居なかったにもかかわらず、その6倍にあたる24人ものアドバイザーと契約していました。
それぞれのコミュニティーにおける彼らのSNS上での影響力は絶大で、アーリーアダプター達を初期ユーザーとして呼び込むのに大きく貢献してくれました。
8. Dave Gilboa
Co-founder & Co-CEO of Warby Parker
創業年: 2010
提供サービス: 眼鏡メーカー
私たちは顧客の声こそが一番のマーケティングチャネルだと考えています。実際今日に至るまで、過半数以上のトラフィックが口コミからによるものです。
実は創業後2年経つまで、顧客獲得の為の施策には1銭も使っていません。只々素晴らしい製品と顧客体験を提供することだけに時間とお金を注いでいました。
9. Andrew Chen
Supply Growth at Uber
創業年: 2009
提供サービス: 配車サービス
大企業は大規模なスケール拡大を求めるあまり、使用するマーケティングチャネルを限定しがちです。Uberを始めた当初、私たちはそういった大企業が使わないチャネルをすべて試していきました。
メールリストからオンラインコミュニティ、オフラインでのミートアップまで、大きな企業は決して顔を出さないであろう場所も訪れ、プロダクトの価値を広め、少しずつ少しずつスケールを大きくしていきました。
まとめ
デジタル化が進む現代においても、あっと驚くような飛び道具に頼って初期ユーザーを獲得したと話しているCEOは1人も居ない。ユーザーの理解を深め、決して自己満足ではなく、彼らから本当に必要とされているプロダクトを作る。
その上で、一見アナログで地道に見えるかもしれないが、ターゲットユーザー達を少しずつでも確実に虜にしていくことこそが、飛躍的なユーザー数の獲得に繋がるのかもしれない。
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