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業界別イノベーション最新事例まとめ
freshtraxでは今年も業界や分野別でイノベーションの最新事例をお届けしてきたが、今回はその中でも特にホットな分野をまとめてご紹介したい。この機会に各分野の動向を改めてチェックして2019年を新たな気持ちで迎えて頂けたら幸いだ。
金融 × イノベーション
既存の銀行の92%は10年以内に消滅する?
銀行はなぜ滅びるのか – それを阻止する方法は? (金融革命 Part 1)の中でも述べているが、昨今アメリカや中国を中心に金融業界でもユーザー体験が求められ始めている。例えば別の国に送金するだけでも、既存の銀行のシステムを利用するよりTransferwiseなどの送金に特化したスタートアップのサービスを利用した方がスピードも早く、コストも安い。
今までは銀行側が顧客データの管理や情報のアップデートをいかに安全かつ効率的に行うかが優先され、ユーザー体験は二の次となっていた。
しかし、今では人工知能、ブロックチェーン、ビッグデータなどのテクノロジーを活用し、 P2Pレンディング、チャットボット、モバイルバンキング、デジタルペイメントなどを実現できる時代になっており、金融企業にとってはユーザー体験の向上が急務と言えるだろう。
Harverd Business Reviewのリサーチによると、新たなサービス開発やイノベーションを起こせない場合、向こう10年間で既存の銀行の92%は消滅すると予測されている。
そんな中アメリカでは金融系のスタートアップの出現や銀行によるイノベーション創出の動きが活発となっているので、その一例をご紹介したいと思う。
事例:銀行の窓口チャットボット、Bank of America
アメリカの老舗銀行であるBank of Americaでは他の銀行よりも一歩進んだユーザー体験を提供している。
昨年ローンチしたモバイルアプリ”Erica”はチャットボットベースのバーチャルアシスタントで、ユーザーの様々な質問やリクエストに答えてくれる。これにより、銀行のお客様窓口に電話する必要がなくなった。
また、Amazon Alexaの拡張機能であるAlexa Skillの1つとしても開発され、Alexaを搭載したデバイスで利用が可能。そのため、Alexaに「アレクサ、今月スターバックスでいくら使った?」と話しかけて、出費額を確認することもできるのだ。
Bank of Americaのアプリに実装されているバーチャルアシスタント
レガシー金融機関がフィンテック企業と上手に付き合う方法 (金融革命 Part 2)でもお伝えしているが、これからの時代、銀行のライバルはGoogleやFacebook、AppleなどのIT企業となる。
だからこそ、銀行がまず行うべきことはテクノロジーを活用したユーザー体験の改善に尽きるのだ。
シェアリングエコノミー × イノベーション
普段の生活に浸透しているシェアリングサービス
サンフランシスコでは、通勤においてシェアリングサービスを利用するユーザーが非常に多いので様々な通勤スタイルが存在する。これもまた新たなイノベーションと言っても過言ではないだろう。
Uberを通勤に利用するユーザーは比較的少ないが、特定のルートを走る小型シャトルをシェアするChariotや、通勤者同士で運転手、乗客をマッチングするScoop、Ford GoBikeやJUMP Bikesは通勤に良く使われている。
ちなみに、Bird、LimeBike、SPINといったシェアキックスクーターも、2018年8月時点ではサンフランシスコ市交通局の許可待ちの状態ではあるが各社資金調達に成功しており、その勢いを増している。
事例:通勤時の苦痛を緩和するライドシェア、Chariot
Chariotは一般ユーザー向けのライドシェア型シャトルバスだ。バスのようにそれぞれ特定のルートを走る小型シャトルが用意されており、利用者はその中から1つ選びそのルートに沿って自身の乗降場所を決める。
チケットは低価格で事前購入でき、あとは当日決められた場所と時間に行くだけ。支払いの手間もなく、席も確保されているのでスムーズな通勤・通学が可能である。
ChariotアプリのUI(画像はApple Storeより引用)
サンフランシスコでは、電車が時間通りにこないことは日常茶判事で、公共交通機関を利用することにストレスを感じるユーザーが多い。だからこそ、このようなシェアリングサービスを通してイノベーションが生まれ、ユーザーの生活がより良くなっていくのかもしれない。
フェムテック × イノベーション
急成長する未開拓市場、フェムテック
以前、現代女性の健康を支える500億ドル市場フェムテックと注目スタートアップでも紹介させて頂いたが、現在フェムテック市場は2025年までに500億ドル規模にまで成長する可能性があると言われている。
フェムテックとは、フェミニンとテクノロジーを組み合わせた造語で、不妊治療や生理など、女性の健康に関する問題をテクノロジーを使い解決する分野のことを指す。
すでに投資家も次なる成長市場として注目しており、The Gardianも過去3年間で10億ドルの投資が集まったと報告している。また、投資プラットフォームであるPortfoliaがフェムテック専門のファンドを立ち上げるなど、シリコンバレーを中心に急成長を遂げているのだ。
事例:社会貢献をミッションとした生理用品ブランド、Cora
Coraは、ナプキンやタンポンといった生理用品のサブスクリプションサービスを手がけるサンフランシスコ発のスタートアップだ。ユーザーの生理周期や経血量などに合わせて最適な量の生理用品をカスタマイズし、自宅まで届けるサービスを提供している。
Coraの特徴はミレニアル世代の社会に貢献したいという欲求に答えている点だろう。Coraの製品を購入するとインドの少女達に1カ月分の生理用品が寄付される制度が導入されている。
Coraのサブスクリプションボックス(画像は公式ページより引用)
その背景として、CoraのファウンダーMolly Haywardは昔ケニアで英語を教えていたのだが、その際少女達が生理用品を買えずに授業を休んでいる光景を見て、激しい怒りと共に使命感を感じたという。
そのため、毎月必ず買う必要のある生理用品で、貧困地域の少女が自立することを助けられるというCoraのコンセプトは、社会に貢献することに生きがいを感じるミレニアル世代に強く響いているのだ。
現在世界中で女性の社会進出が注目されているが、女性が抱えている問題に関心を持っている企業はどのくらいいるのだろうか?来年以降は女性達の生活を支えるスタートアップの数が更に増え、よりダイバーシティーのある社会になってゆくことが期待される。
ファッション × イノベーション
リアルな購入体験をオンラインで実現
店舗で衣料品を購入する際、ほとんどの消費者が「まずは試着」→「本当に気に入ったら購入」という手順を踏むのではないだろうか。
インターネットの普及に伴い、消費者は購入前から購入後までより満足のいく購入体験を求めるようになり、オンラインでも同様の傾向がある。しかし、ブランドが衣料品をオンラインで販売する際は、この「試着」が最大の課題だった。
そんな中、新たなイノベーションにより購入体験が大きく変わったと2018年に話題になった事例がある。切り口や方法は様々であるが、複数の商品を送り、自宅でじっくり試着してもらい、気に入った商品のみを購入してもらう、というトレンドがアメリカのミレニアル世代を中心に話題を呼んだのだ。
事例:スタイリストが選ぶ服を無料でお試しできるサービス、Stitch Fix
サンフランシスコ発のスタートアップStitch Fixは、好みのフィットやスタイル、希望予算などに関する事前のアンケート結果をもとに、スタイリストがユーザーの希望に合った商品を厳選し、自宅まで届けてくれるサービスを提供している。
Stitch Fixの特徴は、最大限にデータを活用して商品を選んでいる点だ。サイズはもちろん、好みのフィット感、スタイルの情報をデータ化し、同じくデータ化された商品在庫と適任のコーディネートがマッチングされる。
さらに生身のスタイリストが最終的な商品のセレクトやスタイリングのレコメンドを行う仕組みになっている。そのため、プロのスタイリングからのアドバイスは欲しいが「接客をされるのは嫌だ!」「自分のペースで試着をしたい」という人にはぴったりのサービスだ。
アメリカでは、Stitch Fixのような今までにない購入体験を提供するブランドが数多く存在する。しかし日本でも株式会社ZOZOのようにテクノロジーを活用した購入体験を生み出すファッションテック企業が注目されているので、2019年は日本のブランドにも着目したい。
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