デザイン会社 btrax > Freshtrax > さよなら表敬訪問!米国でのネッ...
さよなら表敬訪問!米国でのネットワーキングを成功させるには
- そもそも日本とアメリカではネットワーキングに対するスタンスが異なる
- ネットワーキングとは出会った人と相互に有益な情報を共有し、長期的な関係を確立していくための手段。テイクだけでは成り立たない
- 企業にとってネットワーキングはサービス開発などビジネス拡大の上で欠かせない
- ネットワーキングは閉ざされがちな情報への扉を広げ、個人としての可能性も高める
- ネットワーキングの目的を明確にし、アメリカのネットワーキングツールを知るべし
あなたはテクノロジーの聖地、シリコンバレーに飛び立ち、現地でスタートアップやCEOからただ話をしてもらうだけ、オフィス見学をさせてもらうだけ、そして名刺交換をするだけの”シリコンバレー詣で”をしていないだろうか。もしそうだとしたら、その企業との今後の展開は強く望めないかもしれない。なぜならネットワーキングにおいても、米国と日本とでは考え方も方法も異なるからだ。
世界中から注目を集めているサンフランシスコおよびシリコンバレーは、日本からも毎年たくさんの出張者が訪米し、企業訪問やイベントに参加している光景をよく目にする。
こうした積極的な行動は素晴らしいと思う一方、いざ参加してみたものの、「メッセージやメールを送ったけど、なかなか返信が返ってこない。」、「次のアクションに繋げられない」、「そもそもコネクションすら持てない。」という声をよく聞く。これは上記で”シリコンバレー詣で”と表したように、シリコンバレーにお参りしに行ったかごとく、見物・インプットで終わっている状態だ。
そこで今回は、どうすれば米国でのネットワークをより効果的なものに繋げることができるかについて、ネットワーキングのWhat(何)、Why(なぜ)、How(どのように)という3つの観点から紹介したい。
現在、米国で多くのイベントや企業に足を運んでいるがなかなかコネクションが持てない方、もしくは今後、米国でのビジネス展開を考えている方は是非参考にしていただきたい。
ネットワーキングとは何か
そもそもネットワーキングとはなんだろうか。この問いに対する答えは人によってそれぞれ価値観が異なるため、一概に定義を示すのは難しいが、一般的に米国ではネットワーキングと聞くと、以下のように捉えられることが多い。
出会った人と相互に有益な情報を共有し、
長期的な関係を確立していくための手段
ネットワーキングを行う目的は様々だ。ビジネス的観点でいえば、新規の顧客探し、販売を促進するための代理店やパートナー探し、採用に掛かる人材発掘などがパッと思いつくところだろうか。
日本でも米国でも、ネットワーキングを行う目的やゴールに対する考えにあまり差異はないように感じられる。しかし大きく異なるのは、日本ではとりあえず最初の挨拶のためだけにアポイントメントを取得するという、表敬訪問文化が存在し、ネットワーキングの場においても、それと同じ感覚で行っている人が多いということだ。
米国まで足を運べば話を聞いてくれるだろうと思い込み、しっかりとした目的意識を持たず、行き当たりばったりに企業訪問するというシーンを多く見る。
一方、米国では、上記でも定義付けした通り、ネットワーキングの場においては、出会った人と相互に有益な情報を共有するといった捉え方が特に強く意識されている。
そのため、挨拶や自社の製品やサービスを紹介するだけでなく、相手がどういった経歴や専門性を持っている人なのか、どういったことに悩んでいるのか、それに対してどういったアプローチが自社でできるのか、そして次のステップはどうするのか、この辺りをしっかりと事前にシミュレーションし、相手にも有益となるようにアポイントを取るのが通常である。
ネットワーキング ≠ 表敬訪問
ネットワーキング = 等価交換
しっかりとした目的意識を持ってネットワーキングに望むことで、相手にも深い印象を与え、その後もスムーズに長期的な関係を確立することに繋がるのだ。
ネットワーキングはなぜ必要か
次に、SNSが既に普及している現代において、なぜ今日でも対面でのネットワーキングが必要なのか、ここでは企業と個人という観点に分けて紹介していきたい。
企業的必要性
弊社btraxも拠点を構えているサンフランシスコでは、多くの企業が自社のサービスや製品に対してのフィードバックを得る機会として、ネットワーキングの場を利用している。
例えそれがまだ製品化されておらず、アイデア段階であってもネットワーキングの場を活用し、フィードバックを得ることで、それが市場にどういった影響や価値をもたらすのか検証することができる。また、ときにはそこからサービスに賛同してくれる仲間を見つけることも可能である。
こういったフィードバックや共感は、いかにSNSが普及した現代であろうと、メッセージ機能だけのやり取りではなかなか情報の刈り取りも難しく限界がある。得た情報やフィードバックに対する深掘りは対面での会話中だからこそできることであり、それが製品やサービスのその後の可能性を大きく広げるのだ。
個人的必要性
ネットワーキングは何も仕事のためだけではない。むしろ個人としてのネットワークも重要になってくることもある。主な理由の1つとして、新しい情報やトレンドへのアクセスを得られることが挙げられる。
アイデアやスタートアップが集積しているサンフランシスコ・シリコンバレーは、毎日のように新しい製品、サービスが生まれているイノベーション最先端の地として世界的にも有名であるが、そうした画期的なアイデアが次々と生まれる要因として、人が常に新しいものを探し求めているという環境が根付いているところにある。
前章でも述べたように、しっかりと目的を持って、出会った人と長期的に有益な情報交換を行える関係性を築くことができれば、自然と新しい情報やトレンドにもアクセスできるようになり、それが次の画期的なアイデアを生み出すことにも繋がるのだ。ときにはインターネットからの情報だけでは知り得ないことであっても、知ることができる。
一見、ネットワーキングは新規顧客開拓やパートナーシップ探しといった、企業的単位でのメリットが強いと思われがちだが、新しい情報に触れ、知識を深める点においては、一個人としての力を伸ばすという意味で必要とされているのだ。
ネットワーキングはどうやればいいのか
最後に、米国でネットワーキングを形成するために利用されている一般的なツールを3つ紹介する。これらは豊富にあるツールのごく一部であるが、米国でのネットワーキングのシーンで最も頻繁に利用されることで有名である。
展示会・カンファレンスに参加する
米国の展示会やカンファレンスはネットワーキングという点において最適な環境である。世界各国から同様の分野に興味のある人が一同に集まるため、多くの人と繋がることができるからだ。
米国では、州や地域によって得意としている分野や業種が異なるという特徴がある。例えば、同じカリフォルニア州でもサンフランシスコでは、Salesforce社主催のDreamforceに代表されるテクノロジーやイノベーション関連のイベントが有名であるし、南のロサンゼルスであれば、世界最大のコンピューターゲーム関連見本市、E3に代表されるエンターテイメント系の展示会が多い。
地域ごとの得意業種を知ることも、米国で効果的なネットワーキングを行う上で必要なポイントであると言える。
他方で、多くの人は既にこういった情報収集は行っている印象である。しかしそこで重要になるのは、そのイベントに参加することの目的・ゴールを明確にし、ゴール達成後のアクションも見据えたコミュニケーションを図るということだ。事前計画なしの参加では例え挨拶はできたとしても、印象に残らず、その後のステップにつなげることが難しくなる。長期的な関係性を築くためにどうするべきかをしっかりと事前に思考する必要がある。
ネットワーキングイベントの様子
Meetup / Eventbriteを利用する
展示会やカンファレンスは不定期に行われるイベントであるが、それ以外にも、定期的に自分と同じ分野や業種に興味を持った人とネットワーキングを行う方法として、MeetupやEventbriteなどのプラットフォームサービスを利用する方法がある。
Meetupでは、共通の趣味・趣向を持った人が集まるような個人間でのネットワークができるイベントが多く開催されている。例えば、日本の文化や日本語に興味のある米国人と日本人が交流を図れるイベントであったり、料理教室など、直接的に仕事とは関係のない、よりパーソナルなイベントが多い。
meetupのイベント紹介ページ
それに比べて、Eventbriteは企業が主催者としてイベントを開催していることが多いため、より業務や専門性に特化したものが多いのが特徴である。
eventbriteのイベント紹介ページ
気になるイベントがあれば、いつでも気軽に参加できることはもちろん、主催者としても、同地域の共通の趣向を持つ人たち向けにイベントを開催・告知することも可能なため、定期的にネットワーキングすることができる。
LinkedInを効果的に活用する
上記のようなイベントやカンファレンスに参加し、実際に有益なネットワークに繋がった場合、その人と長期的な関係を築いていく上で必ず必要となるのが、ビジネス特化型SNSのLinkedInの活用だ。日本でもFacebookやTwitter、最近ではEightに代表されるSNSの活用は既に行われているが、LinkedInに限ってはまだまだ日常的に利用している人は少ない印象である。
米国では、FacebookやTwitterはあくまでもパーソナルな場面として位置付けられており、ビジネス面においてはLinkedInを利用することが通常だ。
フォローアップを通常のEメールで行うと、重たく捉えられ、その後の返信が届かないということも日常茶飯事な米国であるが、LinkedInのメッセージ機能であれば気軽に短い文章でのやりとりが可能になり、さらに自分のプロフィールもシェアされるので、印象にも残りやすく、次のアクションにも繋げやすくなる。
おわりに
今回は、米国で効果的にネットワークを形成するためにはどうすれば良いかについて、What(何)、Why(なぜ)、How(どのように)という観点から紹介した。
上記で記載したようなポイントを普段からしっかりと意識し、豊富にあるツールを上手く利用すれば、例え言葉のハンディキャップがある米国だとしても、効果的なネットワークを築くことは決して難しいことではない。
しかし、どの方法でネットワーキングをするにしても、注意するべきポイントは、
- 目的・ゴールを明確にする
- 相手に与えられる価値を明確にする
- 次のアクションプランを明確にする
プロセスをしっかりと踏み、情報の等価交換を意識するということだ。展示会やイベントに参加するにしても、Eventbriteを利用するにしても、具体的な目的や今後の計画がないまま、行き当たりばったりで会話をするだけでは、ビジネスへの展望は見込めず、出会った人と名刺を交換するだけの名刺コレクターで終わってしまう。
折角の機会をただ単に名刺を集めるだけで終わらせないように、しっかりと事前にどういった人が参加しているか、その人に対してあなたが与えられる価値は何なのか、イベントのウェブサイトやLinkedInなどのツールを利用して調査し、自分なりの仮説を持って望むことが、米国でのネットワーキングを成功させるための秘訣であり、多くの日本人が見落としているポイントである。
サンフランシスコ・シリコンバレーを中心とした地でのネットワーク拡大に関してお困りのことがあれば、ぜひこちらよりbtraxへお問い合わせ頂きたい。我々の土地柄を活かしたネットワーキング、ユーザーインタビュー、フィールドワークに基づくサービス開発やグローバル進出サービスをお役立ていただければ幸いだ。
CES 2025の革新を振り返りませんか?
私たちは1月11日(土)、btrax SFオフィスで「CES 2025 報告会: After CES Party」を開催します!当日は、デザインリーダーたちがCES 2025での注目トピックスや最新トレンドを共有します。ネットワーキングや意見交換の場としても最適です!