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人工知能がWebをデザイン – AIが自動的にサイトを生成/改善する”The Grid”
最近ではAIや人工知能に関するニュースが毎日のように伝えられるが、サンフランシスコではその最先端のテクノロジーをサイト制作に活用したサービスを提供するスタートアップが話題になっている。
今回紹介する、The Gridと呼ばれるこのサービスはユーザーが管理画面から文字や写真をアップし、カラースキームを決めるだけでそれらのスペックに最適なサイトを”人工知能”で生成する仕組み。
人工知能で最適なページを生成/更新
The Gridが提供するのは、今までWebデザイナーやグロースハッカーがその知識と経験を元に作成して来たサイトやページを、AIを活用することでサイトの目的とユーザーに求めるアクションを獲得に対して最適なデザインやレイアウトを生成してくれる仕組み。これが本当なら今後Webデザイナーの仕事は一変する可能性がある。
AIが画像を分析し最適なデザインを生成
アップした写真は、システムが最適なサイズでクロップし、その画像コンテンツにとユーザーが指定したカラースキームに合わせ、システムが文字コンテンツのフォントも選定し、最もふさわしいデザインを生成してくれるというもの。
例えば写真の人が笑っているかどうかを判定し、それにあわせたフォントや色を使ったり、コントラストの浅い部分を見つけてそこにテキストを置けるか検討したり、写真全体の色調からカラーパレットを決定したりしてくれる。
もちろんPCやモバイル、タブレットなどのマルチデバイス向けにも自動的にレイアウトの調整も行なう。
コンテンツも自動出力
The Gridのシステムが提供するのは、サイトのデザインだけではない。実は、コンテンツ自体も、そのサイトのテーマに合った内容を他のサイトやソーシャルメディアから自動的にピックアップし、サイトに掲載する。
これは、概念的にはこれまでのRSSフィードをサイトに自動表示する事に近いが、The Gridが提供するシステムの場合は、その内容自体もサイトの属性に合わせて分析、選定し、掲載するという。
サイトの更新/グロースハックもAIで
そしてもっとも興味深いのは、一旦生成したサイトを公開した後も、アクセスしたユーザーの動きに合わせて、システムがユーザーの動きを分析し、コンバージョン率を上げる為に定期的に自動更新をするというという。
もしこれが本当に可能になるのであれば、現在多くの企業が人力でA/Bテスティング等のグロースハック施策を通して行っているサイト改善/最適化が何もしなくても24時間、システムが行ってくれるという事になる。
コンバージョンの設定に関しても、ソーシャルメディアへのシェア率、問い合わせ率、ECの場合は購入率など、実際のビジネス的結果に繋がる内容である。
実はまだクローズドベータ版
ここまで説明したが、実はこのサービス、現在でもまだプレオーダー、クローズドベータ状態である。1年以上前にプレロウンチキャンペーンを開始し、年間$96にて、ユーザーからの事前申し込みを開始した。
現在までに7万千人以上のユーザーからのオーダーを獲得。単純計算でも7億円ほどの資金を獲得している。しかし、その中でも、実際のサービスは数百人程度のユーザーに対ししてしか提供していないため、そのサービスの全容、詳細は明らかにされていない。
果たして本当に実現可能なのか
実際に利用したユーザーからのコメントを見てみると、”動きがかなり重い”, “使いづらい”などのネガティブなコメントも少なくは無い。
しかし、もしこのサービスが現実になるのであれば、Web製作、マーケティング業界が根本からひっくり返される可能性もある。最適なサイトの製作、更新、改善をシステムが自動的に常に行われると、Web製作会社の仕事内容のそのほとんどがテクノロジーによって取って代わられる。ここにも、また一つ人間の仕事が機械に奪われてしまう例が生まれるだろう。
筆者: Brandon K. Hill / CEO, btrax, Inc.
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