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やりたい事が見つからない本当の理由 – そして見つけるための4つの方法
どうしたら好きなことが見つかりますか?
これまでの経験上、起業を目指している人や、これからの進路を考えている学生に聞かれる質問で一番多いのがおそらくこれだろう。
自分自身の場合、子供の頃からの物作りに対する興味と、大学生時代に強烈に好きになった「デザイン」という世界を知ることができたため、そこまで悩む必要がなかった。
それもそのはずで、高校生になる頃には自分が興味のない事を学ぶことに対してエネルギーを注ぐ事を諦めてしまったから。それ故日本の大学に入ることは出来なかったが…。
エリートの方が好きな事が見つかりにくい?
その一方で、上記の相談される多くの方々は、世の中では「エリート」のくくりに入る。ということは、学校での成績も良く、受験にも成功しているだろう。
おそらく学校での面白くない授業に耐え、上手に得点を取る能力がついてるはず。そうなると、やりたくない事でも我慢出来るように育って来てしまっている可能性が高い。
強烈に好きなことを見つけるために、自分が嫌いな事や、やりたくない事をはっきりとさせ、好きなことだけを抽出する方法がある。
もし、日本の学校教育の中で、好きじゃない事を我慢してやる習慣を作っちゃってるとすれば「なんとなく良いなと」は思う事があっても、「強烈に没頭したくなるもの」が見つかりにくくなってる可能性もあるのではないかと感じた。
好きと言っている割には…
逆に、「これが好きです!」とはっきりと言える人の中にも、実は「本当?」と思ってしまうケースも少なくない。
例えば、デザインがめちゃ好きだと言っている割には、これまでに少しもデザイン的なことを一切やっていない場合だったり、スタートアップに興味があるらしいのに、バリュエーションの意味を知らなかったりなどがそうだ。
これはもしかしたら、これまで育ってくるプロセスの中であまり好きではないことでも、本能的に我慢する事を覚えてしまって、逆に強烈に興味の湧く事柄にも反応しにくくなってきている可能性がある。一言で言うと「我慢しすぎ症候群」なのかもしれない。
起業はやりたくない事から逃げ出すための一つの手段
これは自分の場合も含め、多くの起業家にありがちなケースなのだが、会社を始める理由自体が自分のやりたいことの実現、もしくはやりたくない事を避けるための手段だったりもする。
しかし、実はビジネスを行う際には、強烈にそれに対して誰にも負けないぐらいの情熱がなければ続かない。
それに関して、スティーブ・ジョブスが下記の様に答えている:
“物事を成功させるには、情熱が必要だと言われているが、これには完全に同意する。なぜならば、強烈な情熱が無ければ、真っ当な人であれば途中で投げ出してしまいたくなるぐらいに、しんどいからである。”
LikeではなくLoveを見つける
ジョブスが語る通り、もしあなたがこれからビジネスを始めようと思っているのであれば、それに対しての強烈な愛情 (Love) を持つ必要があるだろう。
これは、漠然とした好き (Like) では成功するのは非常に難しいだろう。なぜならば、同じ様なビジネスをやっている人がいる場合 (珍しいケースではない) 愛情の強さの差が命運を分ける事が多々あるからだ。
やりたい事を見つける4つの方法
ではどの様にしてLoveを感じる事柄を見つける事ができるのであろうか?
実はその方法は1つではない。ついついその内容に注目しがちであるが、実は他の方法を含めると意外な所に”やる気”が隠されていたりする。
1. やっていて楽しいことをやる (What)
好きを仕事にするを実現するための方法。
趣味を仕事にするのもこれ。自分自身もこのケースで、元々デザイナーとして働き、大好きなデザインを仕事にするためにデザイン会社を始めた。
やる事自体が自分が好きな事であるので、当然の様に仕事にも高い情熱を持って取り組める。と思いがちなのであるが、ここに一つの落とし穴がある。
好きな事を仕事にしたとしても、現実的には好きなことは5%程度で、残りの95%はやりたくない事の連続である事が多い。
例えば、デザインがやりたくてデザイン会社を始めてみたら、好きなデザインをできる時間は5%もなく、ほとんどが経理や人事などの経営に関するタスクに時間が取られ、純粋に好きなことに没頭できる時間は少ない。
それでもその5%ぐらいの快楽のためにその他の95%の時間が苦にならない状態を維持することは可能である。
その一方で、この強烈に好きな5%がなければ到底続かないだろう。加えて、これだけでは情熱を維持し続けることは至難の技であり、下記のその他の理由もモチベーションになるべきであると感じる。
2. なぜやるかにフォーカスする (Why)
何を仕事にするかよりも、なぜそれをやりたいかに注目することで、やりたい事を見つける方法。
そのビジネス、もしくはサービスを通じて自分の周り、そして世の中がどの様に変わるのかを重要視する事で、手段よりも目的を明確にする事が可能になる。
例えば、サンフランシスコでコオロギを原材料にしたチップスを製造販売するスタートアップのファウンダーに会った事がある。そう、昆虫のコオロギ。通常であれば誰もが一瞬で”ありえない”と思える様なアイディアである。
しかし26歳の彼女は、コオロギに含まれる豊富なタンパク質とそれによる世界的なエネルギー問題の軽減、そして今後確実に発生すると思われる食糧危機を救うために、そのビジネスに対して誰よりも強い情熱を持っている。
この様に、特にプロダクト自体に強烈な情熱を持っていなくても、それが生み出す世の中に対してのポジティブな影響に強い意識が働けば、それが大きなやる気に繋がり、自分の人生を捧げる価値のある事柄を見つけ出すこともできる。
3. どうやるかにこだわる (How)
意外と盲点なのが、仕事のやり方にこだわることでやりたい事が見つかると言うパターン。
これはむしろ見つかると言うよりも、見出すと言った方が正しいかもしれない。どんなに単純な作業や一般的には退屈だと思われている仕事内容だったとしても、そのサービスレベルやプロセスにこだわりを持つことで、やりがいを感じる方法。
例えば、毎日工場での単純作業だったとしても、どれだけ正確に仕事をこなせるのか。機械にもわからないほどの繊細なズレを認識し、世界最高峰の製品を作り出すことに強い情熱を注ぐ事ができるのであれば、それは天職になるかもしれない。
逆に考えると、仕事が楽しくないのではないく、楽しいやり方をしていないだけなのかもしれない。
どんな仕事であったとしても最高品質を目指す事で、それがいつの間にかやりたいことになるケースもあるだろう。
そして、一つの事をひたむきに続けていれば、周りから声がかかり、大きな仕事に繋がるかもしれない。
見ている人は見ているので、チャンスの方からやってくる事もあるだろう。
4. 誰のためにやるかを考えてみる (Who)
そして重要な最後の一つ。それは、誰のためにその仕事をやるかと言うこと。
自分以外に助けたい人や、救いたい人、そして、この人とだったらとことん一緒にやっていきたいと思わせる人がいるなどの、”だれのため” かがモチベーションの根源にあるケース。
例えば、病気がちな家族で育った人が世の中の病気を減らすために医者になったりするのもこのタイプ。
必ずしも自分自身がやりたいことでなかったとしても、誰かために情熱を傾ける事が可能である。
もう一つの” Who” でやりたい事を見つける方法に、誰と仕事をするかががあるだろう。
その例が、本田宗一郎と二人三脚で本田技研 (HONDA) を作り上げた藤沢武夫。本田宗一郎に惚れ込んだ彼は、HONDA共同創業者として経営全般の業務を行なっていた。
そのおかげで、本田宗一郎は工場で自分の好きなことだけに没頭する事ができた。その藤沢が本田の人間性を目の当たりにし「その瞬間、彼は私の人生を支配したのだ。」と語っているほどである。本田宗一郎の存在が藤沢の生きがいとなったのだろう。
たとえ自分が一番やりたい事でなかったとしても、自分の家族を喜ばせたいとか、愛する者たちのために命をかけるのもありかもしれない。
まとめ:「やりたい事 = 好きな事」じゃなくても良い
以外にも、やりたい事を見つける方法は複数ある。
ついつい ”何 (What)” にフォーカスしがちであるが、それ以外にも「なぜやるか」「どうやるか」「誰のためにやるか」もモチベーションを上げるための重要な要素であり、これらを複合的に見つける事ができれば、強い情熱を持つことも可能かもしれない。
ちなみに、これがスタートアップの創業チームの場合は、その一人一人のモチベーションの根源が下記の様に異なっている事も有りである。
例:ファウンダーたちのモチベーションの根源が違うのもあり
- CEO (ハスラー) : ビジネスを通じて社会的問題の解決 (Why)
- エンジニア (ハッカー) : 世界最高レベルのテクノロジーを活用してプロダクトを作ってみたい (How)
- デザイナー (ヒップスター) : 世の中の多くの人が使ってくれるサービスを提供したい (What)
しかし、彼らファウンダー達には「サービスを通じで世の中を変える」と言う共通のビジョンがあるからこそ、一つのチームとして機能する事が可能になっている。
冒頭のジョブスの言葉にもある通り、高いレベルで何かを成し遂げるには、それに対しての強烈な情熱が必要になる。
もしかしたら、それは探すものではなく、自分の中にすでに存在しているのかもしれない。
それを見つけるための方法も一つだけでは無い。何をやりたいかに迷っている場合は、複合的な角度から考えてみるのも一つの方法だと思う。
筆者: Brandon K. Hill / CEO, btrax, Inc.
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