デザイン会社 btrax > Freshtrax > 偶然から生まれた10のイノベー...
偶然から生まれた10のイノベーション
イノベーションは時に時間を掛けて考えるよりも、偶然の生み出される時がある。
どれだけ開発者が頭をひねり卓越したユースケースを考え抜いたとしてもユーザーが本来想定されていたのとは全く異なる方法で利用する事もある。
例えば元々Twitterがリリースされた当初、RTや#, @, DMはその開発者向けの便利な”隠れコマンド”でありユーザーが使う事を想定していなかった。
しかし、その便利さに気づいたユーザー達が”非公式”に使い始めたことで、一気に普及した。
また、Instagramも元々のチェックイン型多機能アプリBurbnの中で、最も人気の高かったフォトフィルター機能だけを抽出した事で人気に火がついた。
実はインターネットやアプリが無い時代でも、幾つか本来の利用用途と異なったかたちで偶然生まれたイノベーションがある。そのうちの10のプロダクトを紹介する。
1. コカコーラ
元々コカコーラは薬用目的とした飲料で、1885年米国ジョージア州アトランタで禁酒法が施行されるまではワインとコカ(一種の嗜好品)を使用し、うつ病や神経衰弱症に効果のある調合薬として宣伝されていた。禁酒法後は炭酸水とコカを調合しソーダとして販売されコカコーラが誕生した。
2. ポストイット
1969年アメリカの化学メーカー3Mの研究員スペンサー・シルバーは非常に弱い接着剤を作り出した。紙などの軽いものを粘着でき、また表面を傷つけることなく取り外しのできる便利な接着剤だったが、
当時は使い道が全く思いつかなかった。数年後、同社研究員フライが本に紙を貼ることができないかと提案したことをきっかけにポストイットが誕生した。
3. 電子レンジ
米国レイセオン社で働いていたレーダー設置担当の技師パーシー・スペンサーは真空管のレーダー調査をしていた。調査中に偶然スペンサーのポケットに入っていたあめが溶けたことから、マイクロ波はレーダーだけではなく加熱にも使用することができることが偶然わかり、電子レンジ誕生につがった。
4. ポテトチップス
もっと薄くて、カリカリしたフライドポテトが食べたいと客に強く要求された米国ニューヨーク州のレストランのシェフが怒りに任せてジャガイモをむちゃくちゃ薄く切り、じっくり固くなるまで揚げたことからポテトチップスが偶然にも誕生した。
5. コーンフレーク
1898年ケロッグ兄弟は穀物をゆでてグラノーラを作りたかったが、予期せずに数日間放置してしまったために混合物は腐ってしまった。
しかし、中身に乾燥し厚みのあるものを偶然発見し、腐る部分をなくすよう何度も実験を繰り返した結果コーンフレークが誕生した。
6. スコッチガード(防水スプレー)
アメリカの化学メーカー3Mの化学者シャーマンが航空機燃料の爆発に耐えるゴム素材強化の調査中に誤って調合薬を靴の上に落としてしまった。
そのとき偶然にも調合薬によって一部分だけ靴がきれいになったことをきっかけにこの汚れた靴を解析しスコッチガードが誕生した。
7. チョコチップクッキー
米国マサチューセッツ州で宿屋兼レストランのトール・ハウス・インを経営していたルース・ウェイクフィールドがチョコレート味のクッキーを作りたかったところ、調理用チョコレートがきれてしまい、代用品としておやつの甘いチョコレートを小さくしてクッキーの生地に使った。
ウェイクフィールドはチョコレートが溶けることを期待していたが、溶けずにチョコレートのかたちはくずれなかったためチョコチップクッキーが誕生した。
8. ペースメーカー
技術者ジョン・ホップスが無線で体温を頻繁に温めることで低体温症を改善できないか調査をしていたところ、体温が低下し止まった心臓を人工的な刺激を与えることで再び動かすことができることを偶然にも発見した。
ここからペースメーカー誕生へとつながった。
9. ペニシリン
科学者アレクサンダー・フレミングは病を治癒する薬の開発がしたかった。その研究中に捨てた汚れたシャーレについていたアオカビがすべてのバクテリアを溶かす性質を持っていることに気づいた。
そのアオカビの性質を発達させたことで世界初の抗生物質(ペニシリン)が誕生した。
10. サッカリン (人工甘味料)
ジョンズ・ホプキンス大学の研究員コンスタンチン・ファールバーグがコールタールの新しい使い道を模索するために長時間研究室にこもっていた。
その作業後に食べたビスケットが通常のものよりも甘いことに気づき、その理由を探った結果として作業後の手でビスケットを持ったときに化学反応を起こしたサッカリンだと発見した。
イノベーションを生み出すには
上記のプロダクトに代表されるような、本来のプランと異なる方向に進む事を、現在でこそ”ピボット”とかっこ良く呼ばれる。しかし、その多くが、ある意味様々な事柄を試したことにより、苦し紛れの策である事も少なく無い。
一瞬のひらめきにせよ、偶然の産物にせよ、たとえそれがどのようなきっかけで生まれたとしても、世界を変える事ができればイノベーションである事には違いは無い。やはり、革新的なプロダクトを生み出すには、”色々やってみる”事が大切なポイントなのであろう。
これは現代のLean StartupやLean UXのコンセプトにも繋がる。そんな言葉が生まれる数十年も前から、世の中から末永く愛されるプロダクトは常に試行錯誤の末生み出される。
筆者: Brandon K. Hill / CEO, btrax, Inc.