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ミレニアル世代の飲みスタイルを捉えたスタートアップ3選
お酒を飲むこと自体もう時代遅れなのだろうか?皆さんは、周りで若い人がお酒を飲まなくなったと感じることはないだろうか。
日本は「飲みニケーション」と言われるほど、昔からお酒を介したコミュニケーションや人脈形成の機会が多い。しかし、昔と違って最近の若者は飲み会に積極的に参加することがなくなったと感じている人も多いはずだ。
世界的に見ても、ミレニアル世代の飲酒量は他の世代と比べてかなり少ない。オーストラリアで行われた調査によると、ベビーブーム世代(55歳以上)の72%、X世代(35歳から54歳)の65%が1ヶ月以内にお酒を飲んだと回答したのに対し、ミレニアル世代(18歳から35歳)は53%しか1ヶ月以内にお酒を飲んでいなかったという。
また、イギリスでも同様に、若者のアルコール離れがデータによって明らかになっている。
若者が飲酒を控える傾向はアメリカも例外ではない。アメリカの28才以下の飲酒率は緩やかに減少しており、ミレニアル世代は「シラフの世代」とも言われているほどだ。
アルコール離れが進む一方、お酒関連スタートアップが誕生
そんな事実とは裏腹に、アメリカではお酒を飲むことを促すようなハッピーアワー関連のスタートアップがたくさん生まれている。ハッピーアワーとはご存知の通り、勤務直後の午後16時から19時くらいの間に、まだ客足の少ない飲食店がリーズナブルな価格でお酒を提供する時間帯のことだ。
btraxがオフィスを構えるサンフランシスコでもハッピーアワーは盛んだ。日本のように早い時間帯から飲食店でお酒を飲むというだけでなく、企業が従業員やイベント向けにオフィスでビールなどのお酒を飲めるようにする取り組みが行われている。
以下の図は、アメリカにおいて勢力を伸ばしているハッピーアワー関連スタートアップ55社のカオスマップだ。その中にはお酒を飲まなくなったと言われているミレニアル世代を強く意識したと思われるスタートアップもある。
ミレニアル世代の飲酒量が減少する中、なぜ彼らをターゲットにしたスタートアップが生まれているのか。ミレニアル世代はハッピーアワーと呼ばれる時間帯にどのようなサービスを用いてどのような楽しみ方をしているのだろうか?
その背景にはミレニアル世代のアルコールの楽しみ方やライフスタイル、彼らの持つ価値観が関係している。そこで今回は、彼らの生活や価値観を正確に捉えることで成功したスタートアップを3つご紹介したい。
ミレニアル世代に好まれるハッピーアワー関連スタートアップ事例
1. 月額9.99ドルで毎日お酒が一杯無料!:HOOCH
アルコールのサブスクリプションサービスHOOCHは、月額9.99ドルで提携しているバーや飲食店などのお酒を毎日1杯まで飲めるというサービスだ。
これによってユーザーは毎日違うバーでお酒を楽しむこともできるし、非常に安価にお酒を飲むことができる。お店側にとっては提携店になることで新規顧客の獲得と追加注文による売上向上が狙えるというメリットがある。
HOOCHは現在ロサンゼルス、ニューヨーク、サンフランシスコなど大都市を中心に展開している。アプリの地図からバーや飲食店を探せるため、ユーザーは自分の現在位置から最も近いバーをすぐに見つけることができるのも非常に便利な点だ。
アルコールはお金がかかるというミレニアル世代の悩みを解消。
いくらお酒が安く飲めるハッピーアワーの時間帯でも、一回の飲み会でかかるお金はままならない。それが20代、30代のミレニアル世代にとっては、飲酒を控える要因ともなっているのだ。
実際に調査によると、ミレニアル世代がお酒にかける金額は他の世代と比べ少ないことがわかっている。一方で、お酒を完全に絶っている訳ではなく、大衆でお酒を飲むことは好んでいることもわかる。
HOOCHはそのようなミレニアル世代に、お金の心配をせず、気軽にお酒を楽しむことのできる機会を提供することで彼らの心を掴んだのだ。
2. 自分にぴったりなワインをカスタマイズ!ワインのD2Cサービス:Winc
自分の好きなワインがわからない、わざわざ買いに行く時間がないなど、ワインを買う際の悩みを解決してくれるのがWincのワインサブスクリプションサービスだ。
Wincはロサンゼルスを拠点とするワインのスタートアップで、独自のワインを生産、オンラインで販売し、配達まで行うといったD2C型のサブスクリプションサービスを提供している。
Wincの特徴は、登録の際に答える6つの質問から導き出したユーザーのデータを元に、好みの味のワインを選出してくれるところだ。Wincが選んだワインは月に4本届く。また、購入したワインのレビューをすることで、選出の精度がより上がる仕組みとなっている。
ミレニアル世代の心をつかむ「パーソナライゼーション」
このサービスの人気の背景には、ミレニアル世代の「パーソナライズド」への興味が挙げられる。
物を大量に消費するのではなく、自分にとって価値のあるものを購入したいと考えるミレニアル世代は、自分の個人情報を提供してでも自分に合ったぴったりの商品を企業が提示してくれることに非常に好感的だ。
実際にセールスフォースのデータによると、63%のミレニアル世代が、パーソナライズドされた商品のために個人情報を提示すると回答している。
Wincのサービスは、サブスクリプションのため選んで買う手間が省けるほか、ユーザー1人1人の好みに合った商品をデータに基づいて選出するといった点でミレニアル世代の心を掴んでいるようだ。
3. 注文したらすぐ届くお酒のデリバリー :Drizly
アメリカ、ボストンを拠点とするDrizlyは、注文するとすぐに自宅までお酒を届けてくれるオンデマンド式デリバリーサービスを提供している。
Drizlyのアプリから欲しいお酒を注文をすると、注文後60分以内に商品が手元に届く。言い換えれば、お酒版のUber Eatのような仕組みだ。
地元の小売店と提携して販売、配達を行っていることから、選べるお酒の種類は豊富だ。現在アメリカの都市部を中心とした地域、またカナダの一部でサービスを行っている。
家でも好きな時にお酒を飲みたいミレニアル世代カスタマー向けのデリバリーサービス
このサービスの人気の背景は、以前弊社の記事「ミレニアル世代のマインドセットを捉えて成功したスタートアップ事例」でも紹介した、ミレニアル世代は頻繁にデリバリーを注文するという特徴にある。
また、forbesの記事によると、ミレニアル世代は彼らの親の世代(ベビーブーム世代、X世代)の3倍ものデリバリーを注文しているという傾向があり、他の世代と比べデリバリーを好んでいることがデータからわかる。
Drizlyは手軽かつ極力無駄な時間やお金を省けるデリバリーを好むミレニアル世代の特徴を的確に捉えて成功したサービスであると言えるだろう。
まとめ
ミレニアル世代は他の世代と比べ、お酒を飲まなくなったと言われている。しかしそれは決して、ミレニアル世代がお酒を飲むこと自体を好まなくなったということではない。彼らのライフスタイルや価値観が上の世代と異なるため、今までと同じようにお酒を提供しても効果がないのだ。
今回の記事でご紹介したようなミレニアル世代に支持されているスタートアップは、彼らの飲酒にまつわる悩みを解決するサービスや、価値観を正確に捉えたサービスが多い。
そして今回はミレニアル世代の飲酒への価値観を捉えて成功したスタートアップをご紹介したが、いかなる分野においても、異なる世代が持つライフスタイルや価値観の違いを理解することは、ビジネスや新規事業の開発において必須である。
btraxでは、ユーザーのインサイトを元にした新規事業創出・新サービス開発のためのノウハウを提供している。ご興味をお持ちの方は、是非お問い合わせを。
参考記事
55+ Startups Using Tech To Design Your Best Happy Hour
Score a drink a day with Hooch, a subscription-based cocktail app
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