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全編オンライン開催へ 福岡市グローバルチャレンジ2021を終えて
福岡市が主催するグローバルスタートアップ育成事業「Global Challenge! STARTUP TEAM FUKUOKA」、本事業は福岡市内の起業家やその候補者などを対象とした研修プログラムを実施し、参加者の成長や海外におけるビジネスの実現、海外のエコシステムとのネットワーク形成を図るプログラムだ。(2020年度のプログラム公式サイトはこちら)
コロナ禍でのオンライン研修プログラム・オンラインピッチイベント実施
ビートラックスでは、福岡市からの委託を受けて、2016年度の本事業スタート時点からこの事業の企画・運営を担ってきた。例年は、サンフランシスコ・シリコンバレーで実施する海外研修と、その一環で現地のピッチイベント出場、フォローアップ研修でプログラムが構成されていた。
第5回目となる2020年度は、2021年1月から3月の期間に参加者約100名に対し、提供プログラムを全てオンラインで実施した。本記事では、従来オフラインで実施していたプログラムをオンラインで遂行する上で筆者が運営上工夫した点を紹介したい。
オンラインワークショップのシンプル化
オフラインと異なり、オンラインならではの理由で時間が取られてしまうことがある。例えば、各操作の待ちの時間や通信環境だ。こういった細かな予測できないことが発生する可能性があるため、ワークショップ自体の設計はシンプルにすることで研修生の混乱を防いだ。
そこで今回は事前課題を設定した。レクチャービデオを提供し、事前に視聴学習してワークに取り組んでもらえるようにするとともに、事前課題に取り組んでいる間の質問はコミュニティページ内で受け付けることで、質問内容及び回答が研修生全員へ共有されるようにした。
また、オンラインワークショップ当日は、ZOOMのブレイクアウトルームで100名を少人数グループにして、事前に準備したワークをシェアしてフィードバックを出し合ってもらった。
限られた時間の中で、各々のサービスアイディアを参加者間で共有し合い、btraxのファシリテーターを含め、第三者からのフィードバックを得ることで、ユーザー視点の課題の定義とそれを解決するビジネスアイデアを具現化していった。
オンラインコミュニティの形成
コロナ禍では、プログラム外でオフラインで集まり懇親会を開催することはできなかった。しかし、同じ志を持た参加者同士が知り合う機会を創出すべく、オンライン上で以下の2点を実施した
1.研修終了後のオンライン交流の開催
5回の研修終了後に毎回、ZOOMを活用してオンライン交流会を実施した。交流会は本編終了後でも毎回60-70名の方が参加してにぎわいを見せていた。
開催形式は参加者からの改善アイデアを取り入れながら交流会の運営方法を都度変更した。そのひとつとして、ZOOMのブレイクアウトルームを活用して少人数同士の部屋に分けて談笑できるようにした。
2.研修外でのコミュニティページ内での交流促進
Facebook上に開設したコミュニティページ内では、自己紹介や課題の質問、参加者同士で話題を共有できるようトピックを立てることで研修外の期間でも研修生間で交流が取れるようにした。
このようなトピックは以前は積極的に書き込むことが少ない印象を持っていたが、今回は直接参加者同士が会うことがないためか普段よりも書き込みが多く、積極的にオンラインを通して交流を図っているように感じられた。
プログラム後半では参加者同士での自発的なオンライン勉強会の実施や、ピッチ用のスライドデザインのブラッシュアップをデザイナーの方が手伝うというようなコラボレーションが生まれるきっかけとなっていった。
オンラインピッチイベント
毎年ビートラックスは、サンフランシスコにてグローバルピッチイベント「SF Pitch Night」を主催している。今回は本プログラムとも連動して、ピッチイベントのオンライン開催を試みた。本イベントでは、米国のスタートアップ5社、本プログラム代表のスタートアップ5社の10社が優勝を目指してピッチを行った。
1.イベントプラットフォーム hopinの活用
今回は、ピッチステージとデモブースエリアを同時に設け、参加者同士でコミュニケーションを取り合える設計にするため、コメント機能や小規模のグループに分けることのできるセッション機能を備えたイベントプラットフォームhopinを活用した。
hopinは、2019年6月設立の非常に新しいスタートアップ(ユニコーン企業)である。運営側・ユーザー側ともに使いやすい上に、ユーザー体験が優れており、グローバルでオンラインイベントにて注目されている。
2.ピッチの事前収録
ピッチは事前収録ビデオの再生、審査員との質疑応答はライブというハイブリッド形式を採用した。
オンラインで開催でなるため日本を含む米国以外からも参加可能なイベントであるためトラブル等によりスケジュール通りに進行できないことも考えられた。そのため、安定してイベント運営ができるようこの形式を採用した。
3.デモブース用のプロモーション動画
デモブース出展企業にはブース内で動画再生するサービスのプロモーション動画を事前に準備してもらうことした。これは、各ブースへの来場者に対して、短時間でサービスの訴求ポイントを理解してもらい、出展者と来場者間のコミュニケーションを活発化させることを狙ったものだ。
オンラインイベントはますます主流になっていく気配がある。hopinのホームページからはイベント検索ができ、無料で参加可能なイベントも多いため、ぜひチェックされてみてほしい。
まとめ
筆者はこれまで過去5回全ての本研修の企画・運営に携わってきた。今回のオンライン開催は、企画・運営面でゼロベースで新たに設計し直す良い機会であったと前向きに捉えている。オンライン開催という制約条件をプラスに変えることができた。
実際に米国へ渡航した形でのサンフランシスコ・シリコンバレー研修を提供できなかったことは残念ではあるが、オンライン研修及び米国でのピッチイベントを完遂することができた。
米国でのピッチイベント、SF Pitch Night 2021では本プログラム参加者がピッチ優勝という快挙を達成した。
優勝プライズは、Berkeley SkyDeckアクセラレーションプログラム “Sprint Cohort 21″への参加挑戦権である。ぜひ本プログラムで学んだことを活用し、グローバル展開へ向けて更に活動を推進されることを願っている。
このようにオンライン開催であっても、グローバル展開へ向けて新たなビジネスアイデア創出及びブラッシュアップをする絶好の機会になると考えている。
また、ビートラックスでは、オンラインワークショップやリサーチ通じて、企業向けに新規事業やアイディア創出のための支援をご提供している。ご興味がある方はお気軽にお問い合わせください。
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