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コロナの影響でアメリカのスタートアップではどのくらいレイオフが進んでいるのか
前回の「コロナショックがこれからスタートアップに与える影響」でも触れたが、新型コロナウィルス の経済に与える影響が少しずつ具体化される中で、スタートアップも少なからず影響を受け始めている。
アメリカでは、企業の業績が下がる際に人件費を抑制するために一時的に従業員を解雇する「レイオフ」という仕組みがある。これは、経済や会社の都合で行われるため、一般的な「解雇」とは異なり、対象となる従業員には失業保険が一定期間支払われる。
スタートアップで進むレイオフ
Layoffs.fyiによると、この仕組みを利用して、多くのスタートアップでレイオフが進んでいる。3月11日から現在までの統計では、290社が約3万人をレイオフしている。業界として目立つのは、リテール、フード、フィットネス、モビリティ、不動産など、人が動くことで生まれるリアルサービスを提供する企業だ。
著名なスタートアップの例としては:
- Groupon: 2,800人 – 全体の44%
- Magic Leap: 1,000人 – 全体の50%
- Yelp: 1,000人 – 全体の17%
- Eventbrite: 500人 – 全体の45%
- Lending Club: 460人 – 全体の30%
- B8ta: 250人 – 全体の50%
- Everlane: 227人
- WeWork: 250人
- Thumbtack: 250人 – 全体の30%
- GoPro: 200人 – 全体の20%
- Getaround: 100人 – 全体の25%
- Casper: 78人 – 全体の21%
ユニコーンの”ツノ”が折れ始めている
上記の中には評価額が10億ドル以上のユニコーン企業も6社含まれており、全体の46%である8,416人をレイオフしている。これは、一社につき平均で26%の従業員をレイオフしていることになる。その中でも、85%をレイオフし破産したOneWeb、67%をレイオフしたZume、50%をレイオフしたToastなどもある。
実は仕事を失っても生活できる制度
これだけを見ると、かなり多くの人々が露頭に迷うことになりそうな気がするが、アメリカではレイオフが頻繁に行われるため、それに対する失業保険の制度がある。
加えて、今回の米政府の緊急特別予算で、通常の金額 (カリフォルニア州だと最大$450/週) プラス、週$600の失業保険がもらえるようになった。これにより、万が一無職になっても週$1,000以上、月で$4,000以上受け取ることができるので、しばらくは生活に困窮することはなさそうだ。
また、下手に無給休暇を出すよりも、レイオフになった方がありがたい。企業としても、レイオフを進めることでコスト削減になるので、Win-Winの結果になることもある。
そして、また事態が収束したら採用し直すこともあると考えられる。そういった意味では、日本的なリストラとは少しニュアンスが異なる。
Twitter上で再就職活動
レイオフされたスタッフが、Twitterを活用して、自身及び同僚の再就職を進めているケースもある。本日1,000人のレイオフを行ったMagic LeapのスタッフであるAlexandria Hestonもその一人で、彼女のツイートに対して採用に関するレスも見られる。
Hi All!
In terms of #magicleap layoffs – please feel free to thread below of open positions you feel would help individuals who were let go and I can share in groups.
These are people looking into AR/VR industry, but also general engineering, design, games etc. Anything helps!
— Alexandria @ GDC (@ali_heston) April 22, 2020
これを機に採用を進める企業も
数ヶ月前までは人材獲得が激化していたスタートアップ 業界だったが、ここ1ヶ月でいきなり多くの人材が市場に出ることで、業績が良い企業や、新しく始めるスタートアップにとっては、採用のチャンスにもなり得る。
また、現在のところスタートアップからの求人の数も3割ほど減ってることから、人材獲得の競争も鈍化している。その一方で、効率性を上げることで、より少ないスタッフで仕事を回す企業もふえ、コロナが収束しても採用を控える会社もあると予想されている。
スタートアップイベントもどんどんウェビナーに移行
サンフランシスコやシリコンバレーだと、毎晩のようにスタートアップ関連のイベントが開催されていたが、Stay Home要請が出ている現在、そのほとんどがオンラインで行われ始めている。
ウェビナーと呼ばれる勉強会や、バーチャルミートアップがメイン。情報を集めたり、人と人が繋がる仕組みも業況に合わせて進化している。
筆者: Brandon K. Hill / CEO, btrax, Inc.
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