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起業家が知っておくべき31のビジネスモデル(Part 3)
前回の「起業家が知っておくべき31のビジネスモデル(Part 1, 2)」に引き続き、31個のビジネスモデルを類型化し、それぞれについて解説していく「起業家が知っておくべき31のビジネスモデル」シリーズ。今回はその最終回だ。
今回はNo. 21-31の11個のビジネスモデルを見ていき、シリーズの締めくくりとしたい。新規ビジネスを立ち上げたい方や、ビジネスモデルをブラッシュアップしたい方にとって参考になれば幸いだ。
それでは21から31までのビジネスモデルを見ていこう。
- Peer-to-peer (P2P) モデル
- P2Pレンディング
- ブローカレッジ
- ドロップシッピング
- スペースアズアサービス
- サードパーティーロジスティック (3PL)
- ラストマイルデリバリー
- アフィリエイトモデル
- バーチャルグッズモデル
- クラウドキッチンモデル
- クラウドファンディングモデル
21. Peer-to-peer (P2P) モデル
P2Pビジネスモデルでは、個人同士が、第三者やプラットフォームを介さずに互いに直接商品やサービスを売買すること、コミュニケーションを行う者同士が相互に対等な関係を保つことが特徴だ。
例:OLX、Skype、Mercari
22. P2Pレンディング
Peer-to-peer(P2P)レンディングのビジネスモデルでは、ある個人(「P2Pレンダー」と呼ばれる)が別の個人(「P2Pボロワー」と呼ばれる)からお金を貸したり、投資したり、借りたりする。
例: Kabbage
公的な金融機関を仲介せずに個人同士が直接お金の貸し借りを行うため、「ソーシャルレンディング」とも呼ばれるモデルだ。
23. ブローカレッジ
ブローカレッジビジネスは通常、提供されるサービスと引き換えに、一方または双方の当事者に手数料または料金を請求する。
例 Robinhood、Coinbase、ebayなど。
ブローカレッジビジネスは、不動産、金融、オンラインマーケットプレイスで一般的であり、通常、以下のモデルで運営されている。
ブローカレッジビジネスモデルの種類
売買マッチング・モデル:売買取引をマッチングさせ、手数料を取る。
例:金融ブローカー、保険ブローカーなど
クラシファイド・アドバタイザー・モデル:時間、場所、サイズ、または広告の性質に基づいて、広告主に手数料を請求する。
例:Craigslist
リバースオークションモデル:売り手が買い手を選定する通常のオークションと異なり、買い手が売り手を選定する逆(Reverse)のオークション。
例:Alibaba, ebay
24. ドロップシッピング
ドロップシッピングとは、在庫を持たずに商品を販売できるEコマースの小売モデルだ。
オンラインストアや通販サイトなどで商品が売れると、メーカーや卸売業者(サプライヤー)から直接購入者に商品が発送される。
そのためオンラインショップの運営者は在庫を抱える必要はなく、商品の仕入れや梱包、発送作業も不要。通常のECサイトなどに比べて商品の仕入れコストや不良在庫を抱えるリスクを抑えてビジネスを始められるのが大きな特徴だ。
ドロップシッピングビジネスモデルの仕組み
- ネットショップなどに出品した商品に顧客から注文が入る
- サイト運営者は注文情報をサプライヤーに送信する
- サプライヤーは受注処理を行い、商品を直接顧客に発送する
ドロップシッピングビジネスモデルのメリット
- 商品在庫の確保、物流関連の業務が基本的に不要であり、初期経費を抑えて始められる
- 在庫を抱える必要がないため、ショップ運営者の勤務地が柔軟に決められる
- ショップ運営者の発送・梱包作業が不要
- 発送や配達業者とのやりとりをしなくてよい
25. スペースアズアサービス
所有権や賃貸権にかかわらないシェアスペースでの生活やフレキシブルな勤務形態を実現する。シェアリングエコノミーの考え方に基づき、コロナ禍を経てよりメジャーになってきたビジネスモデルでもある。
例 WeWork、Airbnb
WeWorkは、世界中どのWeWorkのオフィスでも働けるフレキシブルな勤務体験、クールでおしゃれな空間、入居者限定のイベント、手厚いサポートなどの付加価値を提供することで、入居者の満足度を担保する。
その結果、通常のシェアオフィスより割高であっても多くの入居者を獲得し、利益を得ている。
WeWorkから考えるSpace as a Serviceビジネスモデルの強み
WeWorkのビジネスモデルの強み、それは前述したような入居者に対してのメリットだけではなく、不動産オーナーにとっても同様に大きなメリットがあることだ。
WeWorkは空きスペースのあるビル全体、あるいは、フロア単位で借り上げて、おしゃれな空間に仕立てる。不動産オーナーから借りた物件を又貸しするビジネスモデルだ。
昨今は、事業のライフサイクルが短くなったため、ベンチャー企業が急拡大して移転してしまったり、逆に、大企業の事業縮小や、フリーアドレス化を進めて空きスペースができてしまったりするケースが増えている。
不動産オーナーは、中小規模のオフィススペースを柔軟に貸し出したいというニーズを抱えている.
WeWorkがスペースを借りれば中小企業やベンチャー企業の入居が促せる。
それゆえ、事実WeWorkは拠点となり得るスペースを探すのにも苦労が少ないそうだ。(参照)
26. サードパーティーロジスティック (3PL)
サードパーティーロジスティック (3PL) ビジネスモデルの最大の特徴は、物流の専門家である第三者に物流関連業務を任せることだ。
例:fulfillment by Amazon, ShipBob, Shiprocket
3PLビジネスモデルを導入するメリット
専門家の知見から物流コストの適正化が図れる
自社で行っていた配送業者選定がコストや仕様等の面で適正でなかった場合、3PL事業者が物流の専門家としての知見から、ブランド運営者の業務に最適な配送業者の選定をする。
ブランド運営において重要度の高い業務に集中できる
ブランド運営チームのリソースを、純粋にブランド戦略の考案などの業務に注ぎ込めるようになる。
物流の高品質化を通じて顧客満足度を高めることができる
物流もブランドの顧客体験を構成する重要な要素の一つであるため、専門業者と連携することにより品質が担保できれば顧客満足度の向上に繋げられるだろう。
27. ラストマイルデリバリー
例 Gojek、Postmates、Rappiなど。
ビジネスモデルにおける”ラストワンマイル”は、「最後の1マイル」という距離的な意味では無く、オンラインショッピングサービスを利用した顧客との最終接点という意味で使用されている。
現在、オンラインショッピングは幅広く浸透していることは言うまでもないだろう。しかしその普及に伴い、配送、特に「ラストマイル」に関する課題も頻発している。
具体的には、日本の場合、再配達依頼の増加や、アメリカの場合ではトラック運転手の人手不足の深刻化が顕著な問題として捉えられている。
上記のようなラストマイル課題を解決しようと、新たなビジネスが生み出されている。
例えば、買い物・宅配代行サービスPostmatesは、スーパーマーケットや商店での買い出し・宅配代行に加え、レストランでのテイクアウトの宅配代行を行う。
無料のPostmates公式モバイルアプリを通してオーダーすると、近場にいる同社と契約した配達者に連絡が届き、」配達される仕組みだ。また、人が関わらなくてもよい宅配ロボットの使用など、展開の幅は広がりを見せている。
28. アフィリエイトモデル
アフィリエイト・マーケティングとは、他社の製品を宣伝し、商品をの購入などが発生するごとに手数料を得るビジネスモデルだ。
例 Amazon、Skillshare、Hubspotなど
YouTubeを例に挙げて見てみよう。YouTubeの概要欄に、以下のようなリンクを貼られているのを見たことがあるかもしれない。
もしこのリンクから商品が購入された場合、例えば動画投稿者は、商品の利益の5%を得る、というように手数料を獲得できるのだ。
アフィリエイトモデルのメリット
- 初期費用が低く、誰でも簡単に始められる
- インフルエンサーそれぞれにトラッキングリンクとオンラインダッシュボードが提供され、収益を確認できるため、透明性が担保されている
29. バーチャルグッズモデル
これはアプリ内課金とも呼ばれ、ユーザーにアプリ内で使えるモノや商品に対してアプリ内課金を要求されるものである。
例:Candy Crush、Roblox、PubGなど。
バーチャルグッズビジネスモデルの図解
上記の表の中で、“Consumable”とは、例えばアプリのゲーム内で使える通貨を購入するようなもので、使っていくといずれなくなってしまうものを指す。
“Non-Consumable”は、例えばRPGゲームアプリの武器のようなもので、一度購入すればなくなることなく使い続けられるものである。
アプリ内で課金してもらう方法として、消費されるものと永続的に消費されないもの両方があることを覚えておくと良いだろう。
消費されるものと永続的に使用を続けられるものという課金方法の違いによって、マーケティングの手法も変わる。
30. クラウドキッチンモデル
クラウドキッチンとは、別名ゴースト・キッチン、ダーク・キッチン、ブラックボックス・キッチンなどとも呼ばれるビジネスモデルだ。一言で言うと「店舗なしのレストラン」といったところだろう。
その名の通り、店舗は構えておらず、デリバリーのみで食事を提供する。
クラウドキッチンで作られた食事は、配膳やテイクアウトといった形で消費者へ直接提供されることはなく、オンラインデリバリーサービスであるUber EATSやWoltなどを通じてユーザーの元に提供される。
レストランは顧客層を多様化し、拡大しながら、同時に最大運用コストである不動産賃貸料と人件費を削減できることがメリットだ。
反面、レストランでの親しい友人などとの楽しい食事体験が提供できないことはデメリットになりうる。
例:NextBite、Faaso’s
31. クラウドファンディングビジネスモデル
クラウドファンディングとは、投資を受けたい事業者がオンラインプラットフォーム上で支援者たちを募ることを指す。
現状、クラウドファンディングのタイプを問わず、ファンドへの投資家から手数料を徴収することを表明している運営会社はほとんどなく、ほぼ全てのクラウドファンディング事業者が、投資を受けたい事業者から何らかの形で手数料を取り、利益を得ている。
クラウドファンディングの決済方法(事業者が資金を受け取る条件)には「All in方式」「All or Nothing方式」の2種類がある。
All in方式とは、あらかじめ定めた目標金額に到達せずとも集まった金額を受け取れる決済方法だ。
一方で All or Nothing方式は、目標金額に達した場合にのみ集まったお金を受け取れる方式である。。
例えば、100万円を目標金額として70万円しか集まらなかった場合、 All in方式であれば70万円を受け取れる。しかし、All or Nothing方式の場合は1円も受け取ることはできないということだ。
一見すると、All in方式の方がリスクが少ないように受け取られるが、たとえ目標金額に達しなくても支援者に対してリターンを渡す義務が生じるため注意が必要だ。
クラウドファンディングのメリット
資金を集める側の視点から見た場合、クラウドファンディングには以下ようなメリットがある。
- 実績や確実性のない事業でも支援者が集まれば資金が調達できる
- ブランディングやファンの獲得につながる
- テストマーケティングの手段にもなる
まとめ
これまで全3回にわたって31のビジネスモデルを取り上げてきた。
起業を考えている方や、社内で新規サービス、プロダクトの立ち上げを考えている方にとっても役立てば幸いだ。
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