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最近のロゴがどんどん黒くなっていく「ブラック化現象」について
最近Webサイトやスマホアプリを利用していてふと気づいたことがある。
「あれ、さっき見てたのどれだっけ?」と思うくらい無意識のうちにどれだったかがわからない状態。そう、アイコンがどれも似ている。その感覚自体は以前にもあったのだが、今回は趣が少し違う。
以前は「アイコン全てカラフル問題」だったのが、今回は「アイコンどんどん黒くなっていく問題 = ブラック化現象」が発生している。
そう、最近は白と黒のアイコンがあまりにも多くないか?そんな気がして少し考察してみることにした。
X → Twitterへのドラスティックなリブランドの衝撃
まずその傾向の代表が、爽やかな水色からシックなモノトーンになった Twitter、いや、Xだろう。
厳密に言うとTwitterからXへのリブランディング… なのかな?
それまでのブランドイメージとは全く異なる超ブラック化を進めた例だ。
テクノロジー企業ロゴの “ブラック化” が進んでいる
この “黒” を基調にしたロゴやアイコンを採用しているのはXだけではない。実はここ数年で多くのテクノロジー企業やスタートアップがそのロゴをモノトーンにアップデートしているのだ。
なんで皆同じことするの?と思った矢先、我々btraxも2020年末にロゴを黒を基調にしたものにアップデートしていたことに気づく。我ながらびっくりした。偶然というにはタイミングが良すぎる。
Threadsお前もか!
ブラック化しているのは既存サービスだけではない。新規サービスでも最初からブラックアイコンを採用しているケースも増えてきている。
2020年の記事「【トレンド分析】最近のアイコンのデザインが似通ってきている問題」では、多くのアイコンがどんどんカラフルになり、見分けがつかなくなってきているトレンドを紹介した。
その際に、元々は青一色だったFacebookメッセンジャーのアイコンもそのトレンドに乗っかり、しれっとパープルのグラデーションになった事から「メッセンジャーお前もか!」とツッコミを入れた。
と思ったら、今回はカラフル代表のインスタでも有名なそのMeta社が新規リリースした「Threads」がしっかりこのブラック化トレンドに合わせたアイコンを採用してきた。パクリ芸で有名なザッカーバーグらしい “あっぱれな” デザインである。
ブラック化したファビコンをブラウザータブで並べると分かりにくい
カラフルなアイコンからブラック化するこの劇的な変化は当初自分を含む多くのユーザーを困惑させた。ただ、現在では少しずつでも慣れてきた。単体のアイコンとしては。
しかし、今度は異なる問題が出てきた。他のアプリやサービスと並べた場合の見分けがつきにくいのだ。
例えばUberやTikTok, そしてNewsPicksと混乱してしまう。特にちゃんと考えてない時には。そして、多くのユーザーは利用時にちゃんと考えてない。だから問題だ。
スマホ上にアイコンを並べると本当にカオス
これがスマホ上のアイコンの場合、よりややこしくなる。
冒頭でも触れた通り、以前まではアプリアイコンがカラフルすぎて識別しにくい問題が発生していた。簡単に言うと、脳が疲れるのである。
と思っていたら、最近は逆の問題が発生している。モノトーンのアイコンが多すぎて、これはこれで識別しにくい。
こんな感じでアイコンを並べたら最後、毎回ものすごく迷ってしまう。
ロゴがどんどん黒くなる5つの理由
ではなぜこの時期にこんなにも多くの企業、サービス、ブランドが “ブラック化” を進めているのだろうか?ごく個人的な視点でその理由を5つほど考えてみた。
1. デジタルとリアルの融合を表現するため
10年くらい前まではアプリ系サービスの多くがデジタルの世界だけにとどまっていた。しかし、最近人気のあるサービスは現実世界の日常生活と直結しているものが多い。
デジタルサービスだったらカラフルでキラキラも良いが、これが日常生活にもつながっている = より地に足のついたモノトーンになったのではないか、という仮説。
2. 可視性を優先したため
文字や画像の可視性 = 見やすさを最優先する場合、コントラストが強いに越したことはない。そしてこの世で最もコントラストが強い色は白と黒である。
可視性を高めることで、アクセシビリティーやインクルーシブといった、昨今のユーザー課題の解決につながると考えたのかもしれない。
3. ファッショナブルだから
皆さんもご存知の通り、多くのアパレルブランドのロゴはかなりシンプルなモノトーンである。特に高級ブランドになればなるほど “色” をあまり使わないロゴが多い。
もしかしたらスタートアップやテクノロジー企業も熟成が進み、そろそろ高級感やファッショナブルな雰囲気のブランドになろうとしているのかもしれない。
4. 周りがカラフルすぎるから
多くのアプリやロゴがカラフルになっている中で、“あえて” モノトーンを採用することでより差別化を図っているのかもしれない。例えばTikTokが出てきた頃は、黒っぽいアイコンが少なかったのでかなり目立っていた。
以前のようなグラデーション祭りの時代であればかなり効果的だったかもしれない。しかし、最近は逆にモノトーンが増えてきたことで、逆に”没個性”な感じもしてしまう。
5. 不景気 & しんどい時代の象徴であるため
世の中の景気が悪くなると、道を歩く人々の着ている服も地味になっていくと聞いたことがある。
ここ数年はスタートアップにとってまさに “冬” の時期。資金調達がかなり厳しかったり、時代の変化でサービスのビボットを余儀なくされている。
また、2020年当初から3年ほどのパンデミックによる厳しい時期を経験し、多くの企業がそれまでのイケイケムードから一変して、シリアスモードに入った。それに合わせシックな色合いのロゴを採用したのかもしれない。
ちなみにロゴがカラーからモノトーンになることでインクの節約に繋がり、印刷物等の制作コストが抑えられるというメリットもある。
カラフルアイコンがユーザーに与える精神的負荷
このブラック化現象には実は一つメリットがある。スマホ中毒を抑える効果だ。
アプリのアイコンをカラフルにすることで、よりユーザーが利用する頻度を高める効果があるとの見解がある。これは、ブラウザー会社のMozillaによる研究で、1週間スマホの画面を白黒に設定してみるというユーザー実験からの結果だ。
この実験の結果、アイコンをより目立たないようにしたことで、アプリの利用頻度の低下、オンラインショッピングの購入金額の低下など、ユーザーによる「スマホ中毒」を少しでも緩和ができたという。
これは逆に言うと、カラフルな画面では、アクティブ時間が増えてしまう可能性があるということだ。
サンフランシスコに住む起業家の友人も、無駄に時間が取られるのを防ぐためにスマホの画面を白黒にするというこの方法をとっている。
どうやらカラフルなアイコンはアプリの識別を難しくするだけではなく、ユーザーに対しての精神的負荷も生み出しているようだ。
参考: デジタルウェルビーイングを実現する ”使わせない” デザインとは?
まとめ: 白黒はっきりしよう
このような感じでロゴの “黒化” の理由を仮説をもとに考察してみた。
おそらく今後はあまりにも多くのロゴがモノトーンになったことで、逆にカラフルなロゴが復活するのかもしれない。
どちらにせよ時代の変化の分岐点にいるのは間違いないと思われる。モノトーンの次にくるデザイントレンドは何だろうか?
筆者: Brandon K. Hill / CEO, btrax, Inc.
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