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先日Appleを辞職しました 〜正直しんどかった〜
最近日本では、IT企業に勤めていた人達を中心に辞職のお知らせをブログで伝えるケースが増えている。こちらアメリカではまだまだ珍しいケースであるが、元Apple社員が書いた通称 ”辞職ブログ記事” を発見した。
日本と比較すると比較的残業が少ない事フレキシブルな労働環境で知られるアメリカ。特にシリコンバレーはGoogleに代表される様な自由で理想的な労働環境を提供する会社が多く特にエンジニアやデザイナーに対しては手厚い待遇が与えられる事でも有名。しかし、例外もある。
例えば素晴らしいプロダクトを通じて世の中にイノベーションを起こし続けているAppleはアメリカの会社の中でもかなりハードワークを要求されることで有名で、優れた商品を創り出している裏には、スタッフの方々の絶え間ない努力が存在する。
今回紹介するのは、先日Mediumで辞職ブログを寄稿したAppleの元モバイルデザイナー、ジョーダンの体験談。夢を叶え、誰もが憧れるApple社で実際働いてみると現実は彼の描いていた理想とは少し違っていた様だ。そして最近辞職した彼は、大胆にもその思いをブログメディアで綴った。
日本でも見られる辞職のお知らせ記事であるが、アメリカで、そして元Apple社員が書くのは非常に珍しいと思われる。
では、以下にジョーダンが綴ったAppleでの体験談を紹介する:
Appleで働くのは僕の夢… でした。
デザイナーにとってAppleで働けるという事はまさに夢であり、契約社員としての仕事が決まったとき、僕は非常にテンションが上がりました。両親や家族を初め多くの友人から祝福を受け、その事を告げたFacebook上では今までに無い数のLikeをもらいました。
直接メッセージを送ってくれた人もいましたし、Twitterのプロフィールを更新したとたんにフォロワーが増えたりもしました。デザイナーにとっては頂点ともいえるAppleでの仕事をゲットし、祝賀会まで開いた僕はまさに有頂天だったのです。
とは言え、仕事が始まってからはかなりハードな日々が続く事は覚悟していましたし、実は今までと比べ収入が減る事も理解していました。それも全てAppleで働くことで、自分のキャリアアップに繋がるがゆえの犠牲と考えていたのです。
実際に働き始めてみると、長時間勤務に加え自宅のあるサンフランシスコからシリコンバレーにあるApple社への通勤に1時間近くかかるため、生まれて間もない娘になかなか会えない日々が続きました。これも自分のデザイナーとしてのキャリアの為の試練と一つとして受け入れていました。
でも最も予想外だったのは当初のイメージと違い、Appleが非常に大企業っぽい社風であったということ。それは入社直後から明白でした。
まずは各種システムへのアカウント作成及びログイン設定を完了するだけでも一苦労で、社内サーバーに接続してまともに仕事が出来るようになるまで1ヶ月近くかかってしまったのです。
加えて、品質の高いプロダクトを素早いスピードでリリースする為に打ち合わせが連日立て続けに設定され、継続的に自分の仕事に集中する事が非常に困難でした。でもこれも自分自身のキャリアと良いプロダクトを創り出すために必要だと理解し、我慢しました。
また、上司にも恵まれませんでした。スタート後アサインされた直属の上司は冗談半分で部下を威圧するし、ちょっとした単純作業に対しても細かな指示とチェックが入り、まるで自分はコンビニのバイトをしているような気分になりました。
自分自身だけであれば何とか我慢出来たのですが、彼からのパワハラとも思える言動が他のチームメンバーに対しても向けられていたのは正直見るに堪えないものがありました。
でも良い事もありました。一緒に働いているデザイナーは皆とても優秀で、世界一のプロダクトを作る為に情熱を注いでいました。社員食堂の食事もとてもおいしかったです。
でもやはり理不尽な上司や、出世競争の為の社内政治を見るているうちに、だんだんと週末を待ちわびる日々が続き、月曜日が来るのが怖くなってきたのです。
そしてある朝、通勤中の渋滞する車の中でふと、”娘を保育園に送り迎えしていた生活に戻りたい”と感じていたのです。それもつかの間、出社するや否や打ち合わせに出席し、例の上司から嫌味を言われ、仕事に集中出来ないままデスクに張り付きました。
そしてその日の昼休み、iPadのデータを全て消去し、ファイルをサーバーに戻し、備品を返却したのち、静かに会社を後にしました。そして今まで感じていた事を正直に例の上司にメールしました。
もちろん辞め方は良く無いし、とても楽しみにしていたAppleでの仕事をこのような形で去らなければならなかった事を大変残念に思っています。でも、正直しんどかったんです。
【ご注意】
上記の体験談は彼個人の特殊なケースであり、それぞれの個人によって感想が異なることをご理解頂きたい。ちなみに、このブログをリリース後も彼に対してApple社からは、今のところ何らかのお達しは来ていないようである。
筆者: Brandon K. Hill / CEO, btrax, Inc.