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海外有名サービスの意外なAI活用法と2023年注目の急成長AIスタートアップ
目次
- 急拡大するAI関連サービス
- 有名サービスのAI活用法
- 今後注目の急成長AIスタートアップ2選
今、AIを用いたツールやサービスが急成長している。
Chat GPTの登場は皆さんの記憶にも新しいのではないだろうか。これは現在世界中に普及しているサービスが最初にユーザー数が100万人を突破するまでにかかった日数をまとめたグラフだ。
2022年11月にリリースされたChatGPTは、なんと5日という異次元のスピードでユーザー数100万人を達成してしまった。
また、スタンフォード大学でアンケートを行なったところ、すでに回答者の27%が「期末レポートの制作にあたってChatGPTを使用した」ことが明らかになっている。
急拡大するAI関連サービス
「AI」と聞けば、皆さんはどんなことを思い浮かべるだろうか。
これまでAIといえば、ビッグデータからのデータの「分析」において重宝されていると考える人が多いのではないか。
現在ではデータドリブンなマーケティングに欠かせないデータの収集、分析はもちろんのこと、顧客データや経済状況に基づいて、自動的なアクションの意思決定を行うことも可能になった。(参考)
昨今ではAIが絵を描いたり、動画を作成したりできるサービスが広がりを見せている。
これらは「Generative AI」と呼ばれており、下記のカオスマップに見られるような多くのサービスが登場している。
現在はビッグデータから分析するだけでなく、テキストをもとに画像などのクリエイティブを生み出すところまでAIが参入している。
AIを用いているため、ユーザーが入力した情報をトリガーとして、膨大なデータの中から必要な要素をピックアップして、新たなクリエイティブを作成している。
その精度には「ついにここまできたか」と目を見張るものがある。
下の画像は、現在から2030年に至るまで、AIによってどんなことができていくようになるのかを予測した画像だ。
下記のように、サービスの質も高くなり、数も増えていくことが予想される。
今回はますますその用途が広がっているAI関連サービスに関して、btraxのマーケティングチームメンバーのAoiとAyakaが対談を実施した。
今回はその対談の内容をもとに、海外の有名サービスのAI活用法と、今後注目のAI関連の急成長スタートアップをご紹介する。
有名サービスのAI活用法
Netflix – そこにもAIが使われていたの!?
「マッチ度XX%」のような形で自分の好みに合致した映画やドラマが出てくるNetflix。
言わずもがな有名なレコメンド機能だが、これももちろんAIの発達によって可能になったことだ。
筆者もNetflixユーザーだが、そのマッチ度の高さには驚くばかり。「マッチ度98%」の作品は、見ると必ずといって良いほど面白いと思ってしまう。
それに加え、実は映像コンテンツのサムネイルも、ユーザーに合わせて変更されていることをご存じだろうか。
Netflix Tech Blogでは、「AIを活用し、ユーザーに合わせたサムネイルを設定している」ことを明かしている。(参考)
[公式サイト引用和訳] 例えば、映画「グッド・ウィル・ハンティング」を描写するために使用する画像をパーソナライズしようとすることを考えてみましょう。
恋愛映画を多く見ている人は、マット・デイモンとミニー・ドライバーを含むサムネイルを使えば、「グッド・ウィル・ハンティング」に興味を持つかもしれません。
一方、コメディを多く見ているメンバーは、有名なコメディアンであるロビン・ウィリアムスを含むサムネイルを使えば、この映画に興味を持つかもしれません。
実は筆者も、とある韓国の人気女優が単体で大きく映されたサムネイルのドラマに興味を持ち、実際に観てみたところ、なんと彼女はそのサムネイルでのインパクトの割に主役ではなく脇役だったため驚いた。
思い返せば、彼女は他のドラマでは何本も主役を務めており、筆者はそれらの作品をよく視聴している。
そんな筆者に対し、Netflixのアルゴリズムは「このユーザーの過去の視聴履歴から判断するに、今回もこの女優をサムネイルに使えば、作品が視聴される確率が高いのではないか」と判断していたのではないだろうか。
Elsa – 「かゆいところに手がとどく」AIの活用法
語学学習アプリElsaは英語の発音矯正に役立つアプリだ。
もしかしたら、YoutubeやSNS上で、Elsaのオンライン広告を見たことがある方もいらっしゃるかもしれない。
Elsaの使い方は至ってシンプル。アプリを起動して画面に表示される英語を話すと、AIによって自分の英語の発音の点数が100点満点で評価され、100点に到達するための改善点をアドバイスしてくれる。
英会話において、自然な発音で英語を話せるようになりたいと考える人は多い。しかしながら、国籍が違えば英語の発音の癖や傾向も異なる上に、人の聞こえ方は千差万別だ。
そのため、英会話教室やオンラインレッスンでも一つ一つ自分の英語の発音を顧みて直すのは意外と難しい。
その点、AIはデータに基づいて客観的に判断を下せる存在であるため、発音の改善がしやすい側面があるのではないだろうか。
さらに、それをスマホのアプリで気軽に直せるのは画期的だ。
実はこのサービスのファウンダーはベトナム人。CEO自身が英語の発音の学習に苦労した実体験をもとに機能がデザインされているため、同じ悩みを抱えるユーザーに寄り添ったサービスとなり、ここまで拡大したと考えられる。
Spotify – 最高精度のレコメンド機能の秘密
レコメンド機能の精度が高いことで名高いSpotify。
Spotifyがユーザーの好みや傾向を元に、まだ聴いたことのない曲を集めて作ったプレイリスト。それはまるでその曲を知っている未来の自分が作ったプレイリストを聴いているかのような錯覚を起こすほど、好みに合ったものをおすすめしてくれる印象だ。
では、Spotifyはどのようにして、それほど精度の高いレコメンドを実現できているのだろうか?
それは、3つの機械学習が関係しているのではないかと言われている(参考)。
- 協調フィルタリング(Collaborative filtering)
- 自然言語処理(Natural language processing)
- 強化学習(Reinforcement learning)
それぞれを簡単に解説すると、協調性フィルタリングは「訪問者と似た行動履歴を持つ利用者のデータをもとに、ユーザーが好みそうな楽曲を推薦」すること。
「自然言語処理」は、大量のテキストデータをAIが分析する技術のことで、Spotifyでは曲の歌詞を分析しているそうだ。
「強化学習」とは、ユーザーの行動の傾向をAIが学習し、さらにユーザーの好みに適した曲をレコメンドする機能のことだ。
Spotifyは毎週、これまでSpotifyのアルゴリズムが学習した成果を”Discover Weekly”というプレイリストの形でユーザーへ提供する。
30曲ほどをまとめたそのプレイリストで、ユーザーが何度もリピートしたり、「お気に入り」に追加したりした曲のデータをまた学習し、次のレコメンドの精度を向上させている。驚きの精度のレコメンド機能は、このような緻密な設計によって成り立っていたのだ。
今後注目の急成長AIスタートアップ2選
1. Frame – より良いCXのために
今やECサイトや企業のホームページにおいて欠かせない存在のチャットボット。
ユーザーの質問に合わせて適切な応答をしてくれるため、購買体験、ユーザー体験の質を高めるのに重要な存在となっている。
しかし、チャットボットはまだまだ序の口。今回はユーザーの問い合わせから、企業が改善すべき課題を分析して提案してくれるサービスをご紹介する。
それが、2016年にニューヨークで誕生したFrame。直近5年間で462%の成長を果たし、今まさに急成長中のスタートアップと言える。(データ参照元)
Frameが使われる場面は、チャットボットや問い合わせフォームなど、顧客と文面でやり取りするツールだ。
顧客からの問い合わせ内容はSlackなどのビジネスチャットツールにも連携され、カスタマーサポートの人も問い合わせ内容を把握できるようになっている。
顧客が送信した文面をAIが解析し、全体の何%が何に関する問い合わせだったのか、ユーザーはどんなところにポジティブなコメントを残しており、どんなところにネガティブなコメントを残しているのか、などを分類しデータ化するのだ。
顧客の生の声や問い合わせ内容を分析することは、より良いCXを提供する鍵となる情報を得ることでもある。
それを社内のリソースを使ってCXの改善を行う場合は、例えば「ページ滞在時間」や「直帰率」といった数値が判断軸になりやすい。
しかし、それらの数値に至るまでのユーザーの気持ちの変化や行動までは、数値だけでは読み取れないものだ。数値をもとに改善施策を実行したものの、CXの本質的な改善には至れていない可能性もある。
その状態は、ユーザーの定性的な思いや行動を、客観的な定量で判断するためのツールや方法を欠いている状態とも言える。
Frameはユーザーの言葉、すなわち定性評価を定量のデータで示してくれるため、より本質的な改善施策につなげられる。
結果的にそれがよりユーザーに寄り添ったサービスへの改善につながるだろう。
実際のユーザーのレビュー(レビュー参照元):
“干し草の中から針を見つけるような手作業が減りました。
Frameを使えば、ある特定の問題を経験したお客様が何人いるのか、あるいは特定のタスクの実行に行き詰まったお客様が何人いるのかを知ることができます。
キーワード検索とカスタムタグを組み合わせると、必要な情報を素早く知ることができます。”
2. AlphaSense: リサーチャー、マーケター、アナリストの強い味方
2011年にニューヨークで設立されたAlphaSenseは、AIを活用した市場調査を実行できるサービスだ。
そのクライアントは錚々たる面々で、S&P100の85%やトップクラスの資産運用会社の75%など、世界有数の企業や金融機関を含む2,000社以上がクライアントだと言われている。
サービスの利用者は、10,000以上のデータソースに存在する無数のファイルの中から瞬時に最適な情報にアクセスすることが可能で、適切な市場情報を閲覧できる。
まさにビッグデータとしてのAIを最大限活用しているといえる。また、抽出したデータをチャート化することも可能だ。
なぜこのサービスを、金融系企業や資産運用企業がこぞって使用しているのだろうか?
その理由は、その検索結果の情報の網羅性と情報の緻密さゆえだ。重要な投資判断には確証の高い情報や投資先の業界の動向、投資先の企業の信頼性など、判断を下すにはさまざまな要素が必要だ。
その点Alphasenseは、特定のトピックに関するすべての関連ファイル、文書、エキスパートコール、ニュース、プレスリリースを一気にキーワードで検索できる。
その上、膨大な量のデータから必要な部分を抽出し、見やすくデータ化できるAlphasenseはうってつけのサービスと言えるだろう。
まとめ
今回はAIが使われているサービスと、急成長スタートアップをご紹介した。ここまでAIができる範囲が広がっていることに驚いた方もいるのではないだろうか。
今後人間が価値をより発揮できることは、上記のようなサービスを使って出てきたデータを利用して、そこから言えることや導き出せることは何かをヒト起点で考えることではないだろうか。
AIの強み弱みを理解した上でうまく活用しつつ、クリエイティビティを発揮することに関しては「人の感情の動き」を捉え、「心地よさ」を設計するマーケターやデザイナーの腕の見せ所であると心に留めておきたい。
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