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サンフランシスコで話題のレジなし店舗まとめ3選
サンフランシスコでは、Amazon Goを始めとしたレジなし店舗が広がりを見せている。レジなし店舗とは、実店舗で買い物をする際にレジでの支払いを通すことなく購入できるお店のことだ。
レジなし店舗の売りのひとつはその買い物体験である。利用者が決済の手間を意識することなく買い物をすることができる。そしてこの体験を実現しているシステムのひとつがAIだ。現在、店内での追跡センサーによる行動認識やAIを含むレジなし店舗のシステムの市場規模は年間90億ドルになった。そして2022年までに780億ドルまで増えると予想されている。
レジなしストアは人員の削減や処理能力の増強だけではなくAIを使った今後のデータ活用にも注目が集まっている。
そこで本記事では、レジなし店舗のAI導入がもたらす体験に注目し、Amazon GoとStandard Market、AiFiのレジなし店舗3社について詳しく紹介していく。
そもそも従来のコンビニやスーパーマーケットとはどう違うのか
レジなし店舗の最大の特徴は、買い物する際にレジに並んで決済をするという行為が無くなるという点だ。
多くのレジなし店舗はスマートフォンと連動した決済の仕組みを取り入れている。まず事前に専用アプリをダウンロードし、入店の際にQRコードの読み取りや追跡センサーなどによってアプリ内のアカウントと来店した本人が紐つけられる。そして退店時にそのアカウントを通して自動決済処理がされるといった流れがほとんどだ。
つまり利用者は欲しい商品を自分のカバンに入れたまま、もしくは手に持ったまま、レジを介さず店を出ることができる。すると商品の請求がアプリ経由で届き、自動決済されるという仕組みだ。
これにより利用者はレジ待ちの行列や、わずらわしい現金処理から解放される。
また、店員は商品の陳列や接客に専念することができるため、利用者の買い物体験がますます便利かつ満足度の高いものになっていくのだ。
それでは実際にAIを導入したレジなし店舗によって買い物体験に革命を起こしつつある企業3社を紹介しよう。
1. Amazon Go: Amazonによるレジなし店舗
2018年10月、小売大手アマゾンのレジなし店舗であるAmazon Goがサンフランシスコにオープンした。
早速訪問した人の感想としては「商品をレジ通さずに持ってお店を出るので最初は戸惑ったけど使ってみるとすごく便利だった」、「レジなし店舗と聞くと店員さんがいないのかな?と思ったけど、入り口や店内に店員さんがたくさんいて、親切に説明をしてくれた」などといった声があった。
それ以降米国内で続々と店舗を増やし、現時点(2018年12月)では米国内に7店舗ある。さらに2021年までに店舗数を3,000まで増やす計画があるとも報じられている。
もちろん店内のシステムにはAIが導入されている。店内の天井には複数のカメラが設置されおり、棚には重量センサーがある。そこから読み取られた情報をAIが処理し、入り口でスキャンした個人のQRコードと紐づけてそれぞれが手に持っているもの(鞄に入れているもの)を特定しているのだ。
(店内にあるRGBカメラ。人やモノの動きを認識していると思われる。TechCrunchより転載)
またオンラインサービス利用者のセキュリティーに対する関心が高まる昨今、Amazon Goは顔認証の技術を使っていないため顧客のプライバシーにも配慮した設計になっているという評価もされている。
2. Standard Market: 日本への進出が決定したレジなし店舗
(公式ブログより転載)
Standard MarketはAIによるレジなし決済システムを開発しているStandard Cognitionが直営しているレジなし店舗だ。
サンフランシスコに本社を置くスタートアップである彼らは、AIによるのチェックアウトシステム『Standard Checkout(スタンダード・チェックアウト)』というAIを活用したシステムを展開している。
基本的な仕組み、使い方はAmazon Goと同様だが、入店時のQRコードスキャンは不要なため、さらにシームレスな買い物体験が可能になった。
またAmazon Goとは異なり、追跡センサーではなくカメラのみによって人を認識している。そのため、導入コストも比較的軽減することができるのだ。
彼らのシステムはAIの技術により、顔認証を行うことなく購入したものを追跡することが可能だ。このようにプライバシーの保護を行いつつ、匿名化された顧客分析が可能な点もStandard Checkoutの魅力である。
そしてStandard Cognitionの今後の展開は注目を集めつつある。2018年11月には4,000万ドルの資金調達が完了したことが発表され、累計の資金調達金額は5,110万ドルとなったのである。
さらに日本への進出も決まっており、2019年初めに試験店舗をオープンする計画だ。マイケル・サスワル最高執行責任者は「2020年の東京五輪までに3000店に導入したい」と発言し、日本進出において意気込みを見せている。
3. AiFi: 小規模店から大型店まで導入可能なレジなし店舗
AiFiはサンフランシスコに本拠地を置く2016年創業のスタートアップだ。GoogleやApple出身の創業者によって設立された。
独自のAIセンサーとカメラネットワークベースのシステムを持っており、小規模の店舗から大手小売業者まで対応が可能だと言う。既存の店内カメラにAIの技術をインストールすることで、認識システム導入コストを最小限に抑えて稼働させることができるのがポイントである。
また、AIベースのシステムによって顧客行動・在庫管理を把握できる。つまり、顧客の平均滞在時間や好みといった顧客情報を分析したり、リアルタイムでどの商品がどの棚から減っているのかがわかるのである。
AIレジなし店舗導入で変わる流通業界の今後
今回はAIを基盤システムとしたレジなし店舗3社をご紹介した。サンフランシスコ・シリコンバレーでは、上記3社以外にもZippin、AipolyなどAIを活用したレジなし店舗を展開するスタートアップが存在しており、今後その動向に目が離せない。
日本でも人手不足解消という側面からレジなし店舗の実用に向けた様々な取り組みが行われている。東京都赤羽駅(北区)のAIレジなし店舗では、Suicaで入店が完了し、同時に3人まで入店できる店舗の実証実験がスタートしている。
AIの活用によって世界の流通業界における顧客体験をより便利にストレスフリーに変える日がもうそこまで来ているのだ。
戸崎 いずみ -Guest Writer- Consultant / 信託銀行で個人投資家向けに資産運用・継承相談を経験後、大手広告会社でハウスメーカーと住宅購入者のマッチングを行うカウンターサービスのチーフを務める。その後、投資家向け経済情報サイトで記事企画・執筆を経験。現在は金融・住宅を専門分野とし執筆を中心に活動。 |
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