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人工知能 (AI) ができる3つのこと – 消える職業と生まれる職業 –
機械学習などの技術の進歩によって、特徴量の抽出が可能になり特徴量個人の検索データ、行動データを蓄積し、そのデータを使って最適な作業を機械でできることが増えたきた。さらに、テクノロジーの進化により自分で考えて話すことができるPepperやパーソナルアシスタントSiri、Google Nowが活躍できる場が増えてきている。
便利にはなるものの、仕事面で考えると進化する人工知能は将来、わたしたちの仕事を奪ってしまうのではないだろうか?もし人工知能が自分の部下として配属される時代がきたら、自分はどのように指示を出し一緒に働くのであろうか?
前回は人工知能はどこまで進歩しているのかについて紹介した。今回は実際に人工知能を使ってどこまでできるようになっているか、ビジネスマンであるわたしが調査し、理解した基本的な概念を中心に紹介する。
1.「識別」「予測」「実行」
HBR記事の安宅氏によると機械学習をベースにしたAIの利用には主に以下の三つに分けられる。
(1)識別
- 情報の判別・仕分け・検索(言語、画像ほか)
- 音声、画像、動画の意味理解
- 異常検知・予知
(2)予測
- 数値予測
- ニーズ・意図予測
- マッチング
(3)実行
- 表現生成
- デザイン
- 行動の最適化
- 作業の自動化
3つの利用用途を応用をしているものを見ると、「識別」や「予測」の領域ではすでに一定以上のレベルでできているものが多く、一方で実行には至っていないものが多い印象である。とりわけ、設計や枠組み化などのデザイン、行動や作業を単純化した状態での最適化、自動化に至ってはこれからの課題となる分野がまだ多いように読み取れる。
技術によって認識・予測はできても、その予測モデルの精度や予測可能な領域、実行をするためのスキーム、プロセス改善に課題が大きいことがわかる。技術の進化によって、近い将来にはその課題も埋まるだろうと予想されている。
2. 機械と働く
人工知能やロボットの進化・発達で自動化が進み、これまで人が行ってきた仕事を機械が置き換えられる可能性が非常に高くなったことにより、「肉体労働」「単純作業」だけではなく「意思決定」を機械に任せる(委ねる)必要が出てくる。
それにあたって、経営資源はこれまで「人・モノ・金」だったが、AIの進化によって「人がどこで価値を生み出し、機械やデータにどの判断を任せるべきか」が問われるようになり、経営資源は「人・データ(情報)・機械」になっていくであろう。モノや金の必要性は消えないが、AIが意思決定をサポートをする時代においてはそれらを管理するデータや機械に主体が移っていく可能性が高い。
その上で、人と機械を「どうマネジメントするか」も考える必要が出てくる。「マネジメントのあり方」は意思決定や実行をするために、これまでは「指示」や「実行管理」が主体であったものを意図する解に導けるように「正しい問いを投げかけること」「AIやデータ領域を理解し、自動化をさせるために枠組み化をして回すこと」ができるようになる力が求められる。
こういったパラダイムシフトについていける企業・組織が成長し、そこから取り残される停滞をする懸念は今後考えうるであろう。
3. キャリア
これからのキャリアでは、機械と働く上で、人々が持つ(機械が持ち得ない)3つ強みを磨くことが期待されるである。
- クリエイティビティ(デザインする力)
課題の特定にいたる枠組みや新しいコンセプトをデザインすること、またアイデア、新しい組み合わせを着想(ひらめき)、通常では発想に至らない仮説を導き出す力などを指す。 - リーダーシップ/マネジメント(人を動かす力)
人と人が行うデリケートかつ複雑なコミュニケーションを行い、人々を奮い立たせて勇気付け、人々をある目的に導き、目標を達成させるための意識付けるなど、意識に働きかけて人を動かすことを指す。 - ホスピタリティ・課題解決
人が感じる潜在的・顕在的な課題と向き合い、自分ごととして不便、不満など「不=問題」を解決・解消するための働きを指す。
AIの進化・普及によりなくなる職業・新たに発生する職業も見逃せない。
<なくなる職業>
オックスフォード大学の論文で示された「あと10~20年でなくなる職業」の一部抜粋しており、「正確性を要求される」「単純作業・マニュアル化しやすい」「システム化することで計算、算出できる」職業はなくなる可能性が高いと言えるであろう。また、「過去の判例を持ってくる」など訴訟に関連した情報を抽出することは人工知能が得意であり、リーガルにも影響がありそうだ。
<発生する、増加する職業>
なくなる技術だけではなく、人工知能が進化、浸透していく中で様々な課題、ニーズも出てくる。空飛ぶ機械「飛行機」ができた時に、パイロット(操縦する人)、整備士(メンテナンスする人)、税関(取り締まる人)、客室乗務員(サポートする人)、管制官(監視する人)などが生まれたように、近いポジション・役割が生まれるだろう。そういった関連するポジションの他にどんな職業がこの先に生まれるだろうか?について予想されているものを5つピックアップしていく。
- ロボット・アドバイザー(Robot Counsellor)
ロボットの進化・普及によって、家庭においてもアシスタントとして働くのが一般的になっていることが想定される。ロボットが人間のアシスタントとして関わる過程で、トラブル・課題を各家庭や企業からヒアリングし、改善をするための働きや、逆にロボットの正しい向き合い方を普及させていくようなアドバイザーと言う役割を担う人が必要とされるであろう。 - 企業文化のエキスパート(Company Culture Ambassador)
企業同士が、最良の人材を確保しようと競合することになる。そして、企業が才能を獲得し、彼らが「自分はいま、ふさわしい場所にいる」と感じさせるためには、それ専門の人材が必要となるだろう。彼らが担う仕事は、レクリエーションや金銭とは異なる利益によって人を楽しませ、コミュニケーションを取り、企業の価値観を伝え、それが共有されるようにして、仕事が楽しいという環境と雰囲気をつくり出すことだ。 - 単純化の専門家(Simplicity Expert)
情報化社会で複雑化する事象を「単純化」すると言う課題・要請が増えていくことが想定される。あるプロセスの要点を見つけだし、合理化することで実行の時間を減らし、より価値の高い活動のために時間を残すために、複雑なことを整理し、単純化する専門家が必要になるであろう。 - 輸送アナリスト(Auto-transport Analyst)
自動運転の発展・普及により、「運転手」がどんどん少なくなって、輸送はますます自動化されていくことが想定される。ここでも、適切に状況を判断し、配送を効率化すること、または問題を予防し不測の事態に対処しユーザーの不便をタイミング良く解決する管理者が必要になるであろう。 - マインドインストラクター(Mind Instructor)
人工知能や技術の進化によって、急激に変化する世界で価値観や自身の幸福を見出せない人が増えてくることが想定される。人々の顕在的、潜在的な意識を引き出し、「仕事のベクトル」「幸福度」「自分のあり方」など内面的な課題への解決ができる人を指す。近年GoogleなどIT系の企業でも導入が進んでいる「マインドフルネス」を今はインストラクターが主体として行っている。一方でヘルスケアの領域でもパーソナルデータの分析やストレスケアのトレーニングが進んでいる。今後はそれらの領域を跨いで人々の心身の健康のために、定性的・定量的な情報から課題解決をすることができる人、技術を作る人が増えてくるのではないだろうか。
参考:
最後に
近年、特にGoogleによる人工知能ライブラリ TensorFlow をオープンソース化や、元GoogleリサーチのAlon HalevyがリクルートAI研究所に就任、東京大学の松尾氏著書の「人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの」など、人工知能に関連する記事や書籍を数多く見るようになり、ある種のバズワードのように人々に馴染みがある概念になってきた。日常生活、職場での環境、旅行先など、ありとあらゆるシーンで人工知能を用いたものが普及する未来はそんなに遠くないかもしれない。
一方で、人工知能の実態やそれを支える技術、歴史を学び、その影響を推測・予測し、自分のキャリアを考える人は(自分も含めて)まだまだ少ないように感じる。近年、エンジニアはもちろん、データサイエンティスト、人工知能の領域に精通した人材の不足はより顕在化した課題になってきた。一部ではデータサイエンス(特に機械学習)は、今後の理系学生はほぼ必修に近いような領域になるだろうとも言われているほど、注目・期待をされているものとなっている。
私はこれまでアドテクノロジーの急速な変化を目の当たりにして、人工知能の進化によってこれから更に起こり得る世の中の変化(パラダイムシフト)に自分を適応させていけるか? 自分を見失うことなく生きていけるか?について最近の活動(ブログの寄稿やプライベートな読書会、データサイエンティスト協会シンポジウムへの参加)を通じて考えることができた。この記事をご覧のみなさんにとって、近い機会になれれば私は嬉しく思う。
Hironori Tsubouchi – Guest Writer 新卒でアドテクノロジー領域の国内ベンチャーに入社し、現在は外資系に在籍。アドテクノロジーの市場の変化の速さ、パーソナライズにターゲティングする広告の「レコメンド」や「入札」のロジックで使われている機械学習の奥深さを知る。 |
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