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北米の事例に見るファンマーケティング① ユーザーリサーチに学ぶ今後企業が取り組むべき「ファンづくり」の重要性
btraxでは、北米のターゲットへのユーザーインタビューを通してニーズを可視化しサービスの最適化を導くユーザーインタビューを実施している。
今回は北米でのユーザーインタビューからマーケティング戦略を行ったプロジェクトの事例を取り上げ、異なる文化背景の地域でのリサーチがサービスもたらすメリットを、プロジェクトに携わったビジネスプロデューサーと、マーケターの視点からご紹介する。
マーケットリサーチだけでは分からない、ユーザーインタビューを行う価値とは
MANA(ビジネスプロデューサー):
btraxでは今年、ある日本のエンタメ企業さまからの案件で、アメリカでのユーザーリサーチを実施しました。その支援の内容を可能な範囲で具体的に教えていただけますか?その時の支援の内容のゴールも併せて教えてもらえると嬉しいです。
AYAKA(マーケター):
そうですね、このプロジェクトのゴールは北米での新たなユーザーの獲得でした。
そのために、btraxとしては現状の北米でのユーザー層とサービスの強みを把握することと、北米でのさらなるユーザー獲得のため、将来のマーケティング施策の足がかりをご提案しました。
背景として、この企業さまが世界に向けに展開しているサービスが、北米で爆発的に流行していたのですが、なぜ北米のユーザー間で流行っているのか、そして、北米でこのサービスを使っているユーザーはどんな人かということがあまり見えていないという課題をお持ちでした。
そのために北米ユーザーへのユーザーインタビューと、インタビューに基づいたペルソナの策定、そして、それぞれのペルソナへ向けたマーケティング施策のご提案をしました。
「北米ユーザー」も一括りにするのではなく、今回の調査のゴールに合わせて、セグメントを分けて、質問を各セグメントの人に最適化しながらインタビューを行いました。
インタビューの中では、そのサービスのユーザーの日常生活の中での位置づけや、そのサービスがユーザーにとってどんな存在であったかということを聞き、サービスに対する印象から、ユーザー像を明確にしていくよう努めました。
MANA:
そのインタビューからペルソナを設定したのですね。インタビューする中で見えた特徴をどのようにペルソナに落とし込んだのですか?
AYAKA:
はい。ユーザーリサーチを行う中で、ペルソナを作成するにあたってどんな切り口が良いかいくつか検討していたのですが、チームで議論を重ねる中で、何のためにこのサービスを利用したいかと、このサービスを利用するモチベーションに相関関係があることを発見しました。
曖昧な表現になってしまいますが、Aという目的のために利用したいと考えている人は利用するモチベーションがそれほど高くないけれど、Bという目的のために利用したいと考えている人は、利用するモチベーションがすごく高い、といったようにです。
この相関関係をもとに、それぞれのユーザーがこのサービスをどんな目的で利用したいかによってペルソナを作成しました。
それぞれのペルソナには、今後ターゲティングするために押さえるべきポイントやヒントをできるだけ入れるように意識しました。
具体的には、最初の認知獲得のタッチポイントとなりうるSNSや口コミ含め、サービスを知る情報源はどこか。
サービスを知ったとして、何がトリガーになってサービスを利用しようと思うのか、利用を始めたとしたら、何があったら継続して利用しようと思ってくれるのか、という観点を念頭に置いていました。
できるだけユーザーの生活の中にそのサービスが自然に入り込むなら?という視点を常に意識して考えました。
インタビューをする中で印象的だったのは、インタビュイーのほぼ全員が、サービスに対して口をそろえて同じ感想を述べていたことです。それが北米で人気になり、拡大している理由だとはっきりとわかるようになったので、インタビューを行った大きな収穫だったと思っています。
予想外の発見ができることもユーザーインタビューの価値
AYAKA:
また、SNSの使い方にも顕著な特徴がありました。
北米圏では、コミュニティへの参加やコミュニティでのコミュニケーションのためにDiscord(オンラインコミュニティツール)が主に活用されており、一方で情報を収集するのはTwitterなどの公式アカウントで行っている、という特徴です。
実はチームでは当初、10-20代のユーザーはTikTokを利用してサービスを認知しているのではないか?と仮説を立てていたのですが、全くTikTokは出てこずでした笑 こういったバイアスが解けることも、ユーザーインタビューをする大きな価値だと思いました。
ペルソナを作成した後は、そのペルソナにとって響くメッセージは何か、そのペルソナにとって、他の競合サービスと比較して強みといえるポイントをどのように訴求したらより魅力的に見えるのかを探りました。
具体的には、今回調査の対象になったサービスとユーザーインタビューで言及された競合サービスとをマッピングし、どのペルソナに属している人がどのサービスに惹かれていたかを洗い出しました。その発見をもとに、マーケティング施策を立案しました。
MANA:
ありがとうございます。色々と日本のユーザーとは傾向が違いそうで、興味深いですね。
AYAKAさんは特に日本市場やユーザーにお詳しいと思いますが、今回米国ユーザー向けの施策となりましたよね。その場合は何か工夫されたことなどありましたか?
AYAKA:
そうですね、自分のカルチャーや考え方と異なるユーザーに対しての施策を考えるのはぐっと難易度が上がるなと感じています。
その上で、今回工夫したことを挙げるとするならば、できるだけ現地に住む人の意見を参考にすることと、ユーザー像に近い人から施策のフィードバックをもらうことです。
その点、btraxは日米のオフィスが完全にシームレスに連携しながら業務を行なっているので、チーム内のアメリカ人メンバーに、アメリカ向けの施策の壁打ちやメッセージングのアドバイスをいただくよう相談したり、実際に似たようなサービスを使っているデザインチームのメンバーに、使う側としてフィードバックを求めたりということを徹底し、施策を随時ブラッシュアップしていきました。
この連携の強みは、ユーザーインタビューの時も感じていましたね。特に今回は北米ユーザーがインタビューの対象だったので、日米どちらのオフィスのスタッフもいながらユーザーインタビューができたことは大変心強かったです。
MANA:
なるほど。それはbtraxならではの強みですね。先程では、以外とTikTokを使っていないなど、仮説外の気づきがあったかと思いますが、今回のプロジェクトで予想外の気づきは他にありましたか?
今後一層企業が注力したい「ファンづくり」の重要性
AYAKA:
今回のサービスは実はアニメのファンがユーザーに多いサービスだったのですが、人を「ファン」にさせることがビジネスにとっていかにポジティブに働くかを痛感しました。特に今回のユーザーインタビューを通してたくさん意見を聞き、感じたことが2点あります。
1つ目はこのアニメを見て感動したから、このキャラクターが大好きだから自分も二次創作をする、といった、認知拡大となる施策を消費者側が自ら行っていることです。
二次創作は日本のアニメだと少しグレーゾーンですが、ファンの間で(消費者側で)作成されたコンテンツは、消費者の理想だったり、「こうあったらいいな」が体現されているものも多く、他のファンにとっても有益なコンテンツになると思います。
企業へのエンゲージメントを高める上でも、より広く認知拡大される上でもプラスなのではと思います。
先ほど二次創作は著作権的にグレーゾーンと言いましたが、SPY×FAMILYは逆に二次創作(ファンアート)をむしろ促して、さらなる認知拡大やファンの定着に成功しているように思えます。
アニメのキャラクターの塗り絵をTwitter上で配布してファンに作ってもらうようにしていたり、公式に二次創作物のコンテストを行っていたりしました。(参考)
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2点目は、その対象が好きであるがゆえ、思わず投資をしたくなる点です。
「好きだから」「応援したいから」という気持ちはとてもポジティブで、何かに投資するときの抑制を解放するような感情だと思います。アニメだけでなく、アイドルの「推し活」でも似たものを感じます。
コロナ禍で、新たに家にいながら楽しめる趣味として推し活市場は拡大を見せているようで、中でも特に20代の40%が、アニメやアイドルの中で新たな「推し」を発見したというデータもあります(2020年4月時点)。
上記のビジネス的な側面やトレンドから見ても、企業にとっては「ファン」を作ることが今後ますます強みになりうるなということを痛感しました。
それらのファンと企業がどのようにコミュニケーションをとっていくかが、情報網の発達した現代で、より重要になっていくのかなと思います。
まとめ
今回はアメリカのユーザーを対象としたユーザーインタビューとマーケティング施策立案の実際の事例をご紹介した。
btraxは上記の例に挙げているように、日米にオフィスを持ち、日本からアメリカ市場への展開を目指す企業さまに対し、北米のターゲットへのユーザーインタビューを通してニーズを可視化しサービスの最適化を導くユーザーインタビューを実施している。
さらにそのターゲットに対しての最適なコミュニケーション方法を実現するため、マーケティング戦略立案から実行までを担当するコミュニケーションデザインを提供している。
弊社の提供するサービスに関してより詳細を知りたい方は是非、弊社サービスサイトをご覧ください。
後編では、日米市場における「ファンづくり」にフォーカスしてお伝えする。後編の記事も是非お楽しみに。
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