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ディスラプト (破壊) されるサービスに共通する4つの不満要素
インターネットやスマホに代表されるテクノロジーの出現により、様々な業界においてよりユーザーメリットの高いサービスが生み出され、既存のプレイヤーたちを脅かしている。これを”Disruptive Innovation”と呼ばれれ、日本語では「破壊的イノベーション」と訳される。
たとえこれまで数十年以上も続いているようなサービスであったとしても、大きな変革の波に乗り遅れると、いとも簡単に「破壊」されることがある。
新規サービスが原因じゃない、ユーザーが正しい選択をしているだけだ。
下記の例を見てもわかる通り、今まで「当たり前」と思われていたサービス内容でも、後発だがイノベーティブなサービスの縮減によりことごとく破壊されているケースが後を絶たない。
その主な理由は、ユーザーがより使いやすくお得なサービスを選んでいるから。これに対して政府や既存のプレイヤーたちはなんとかその変化をせき止めようと必死になるが、もはや焼け石に水だろう。
なぜなら消費者にとってより優れたサービスに人気が集まるのが当然の流れであるからだ。
誤: Netflixによってビデオレンタルが消滅
正: 延滞料金が高すぎた
誤: Uberによってタクシー業者が倒産
正: 横柄なドライバーと面倒なチップのシステム
誤: iTunesがCD販売を激減
正: お店に出向いてアルバム単位で高いお金を払って買わなければならない
誤: Amazonによって実店舗が大打撃
正: わかりにくいレイアウトと質の低いカスタマーサービス
誤: Airbnbによってホテル業界が大打撃
正: 物件の少なさ、時期によってのぼったくり価格
誤: スマホの出現でガラケーが消滅
正: 金儲け優先のクローズドなエコシステム
まさに今が時代の変革期
おそらく人類の歴史の中でも、ここ20年ぐらいの世の中の変化は産業革命と同等かそれ以上の社会的変化を生み出し始めている。ざっと考えてだけでも下記のような大きなシフトが生まれている。
- ガラケー → スマホ
- タクシー → Uber, Lyft
- 音楽CD → ダウンロード, ストリーミング
- 店舗 → Amazon, D2C
その変化のスピードはどんどん加速し、世界は大きく変わり続けるだろう。そして何より、2020年のパンデミックがライフスタイルもビジネスも全てをガラリと変えてしまったことは自明のこと。リモートで行われるものや、対面を避けた遠隔関連のサービスが大幅に成長している。
ディスラプト(破壊)される4つの原因:
ここからが本題。では、どのような理由で既存のサービスが破壊されるのか? その理由はユーザーが感じている下記の4つに集約されるだろう。
1. 複雑な体験
ややこしい書類に情報を書き込んだり、わざわざ店舗にいかなけらばならなかったりなど、ユーザーにとって煩雑、もしくは時間のかかる体験を提供している場合、その改善策としての新たなサービスが生み出される。
より簡単、シンプルでスピーディーなサービスが好まれるのは、既存のサービスが提供するユーザー体験が複雑すぎたから。
例:
ヤフオクで物を売っていたが、スマホで写真をサクッと撮って簡単にリストできるメルカリの方がスムーズな体験を提供してくれるので、メルカリを利用する。
2. 不信感を与える
透明性が低かったり、裏でどのような仕組みで動いているかがよくわかりにくので、ユーザーに漠然とした不信感を与えてしまっている。それをよりわかりやすく、簡易化する事で安心感と心地よさを与えられる。
例:
既存の自動車保険は何に対して幾ら払っているのか、カバーされる領域がどのくらいなのか、そもそもほとんど乗らないのに毎月保険料かかかることに対して不満と不信感を感じる。
それに対してMetromileのような、走行距離に費用が比例するタイプの保険は、基本料金と走った距離に応じた金額で明瞭会計。そして、いつどこを走行したかも可視化されていて、信頼性が高い。
3. 中間業者が多すぎる
20世紀のビジネスでは商品が消費者の手に届くまでには、製造元と卸売、中継ぎに小売店などいくつかの業者を経ていたのが常識であった。
しかし、インターネットなどのテクノロジーの発達で、D2Cに代表されるような、中間業者をほぼ通さずにユーザーに届けることが可能に。そんな現在、中間業者がいる事の方が不自然でわずらわしくなってきている。
例:
店舗でクレジットカード支払いを導入しているが、チャージごとにかかる費用が高い。その仕組み上、いくつかの中間業者が関わっているので、必然的にレートが上がりがちである。それに対して、Squareは極力中間業者を排除し、低いレートと入金スピードを格段にアップさせた。
4. アクセシビリティが低い
利用したいときになかなか見つからない。それがアクセシビリティの低さの問題である。アメリカだと、タクシーがなかなか捕まらない問題の改善策としてUberが、ホテルが満室の時に利用するためにAirbnbが生み出された。
その後、必要な時にちゃんとアクセスできるサービスが続々と人気を集めている。
例:
欲しいCDを買いに行こうと思ったが、CDショップが遠い。なんとかたどり着いたが、売り切れていた。それなら、iTunesでダウンロードすれば自宅で数秒で聴くことができる。むしろストリーミングサービスを使えば、ファイルのダウンロードの必要すらない。
破壊されやすい業界ランキング
ちなみに、テクノロジーを活用した新しいサービスが「破壊」しやすいかどうかはその業界によってその難易度が変わってくる。デジタル化が容易にできるタイプであれば、自ずと入り込みやすいし、逆の場合には時間と労力が求められてくるだろう。
ディスラプトされやすい業界ランキング
- データ, 情報, コンテンツ
- 音楽, メディア, 映画, テレビ, 印刷物
- 都市, 交通, 自動車
- 店舗, 商業
- 金融サービス
- 保険
- 薬品, 医療
- エネルギー, ユーティリティー
- 水, 食品
全てのプロダクトがサービスに変化されていく時代に
この破壊的イノベーションをより一層加速されているのが、プロダクトのサービス化現象。これからの時代の消費者は”サービス的”要素が重要視されるようになってきている。「モノより体験」というフレーズを聞いたことがある方も多いだろう。
今後は所有という概念が薄れて、全てはサービス化していく。これは、産業革命、情報革命などに続く、サービス革命が始まっている事に他ならない。それに合わせ、日本の大きな産業の一つである、
製造業もサービス業に変化する必要がある。そうしないと上記で紹介した4つの不満点を打破することは難しい。その点においても今後はサービスデザインの重要性がどんどん高まっていくだろう。
まとめ: 変化のスピードはあなたが思うよりずっと速い
このように、現在のような時代の大きな変革期においては、どの業界の企業もその大きさや歴史に関係なく、短期間で破壊される可能性がある。
今回ご紹介した、ユーザーが持つ4つの不満は変革が必要な大きなバロメーターとなるだろう。言い換えると、この要素を持っている業界やサービスがあれば、そこを改善すれば今こそディスラプトするチャンスなのである。新しいサービスを考えるときの参考にすると良いだろう。
筆者: Brandon K. Hill / CEO, btrax, Inc.
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