2018年に終了したスタートアップサービスとその失敗理由

その9割以上が失敗するとされるスタートアップ企業であるが、今年も多くのサービスが終了した。その中から、40のスタートアップをピックアップし、その失敗理由を探ってみる。

先日の「消滅したメガスタートアップ25社」を見てもわかる通り、たとえ大きな資金を調達したとしても、成功が保証されているわけではない。

そもそも、スタートアップの定義を、”新しいビジネスモデルを開発し、ごく短時間のうちに急激な成長とエクジットを通じ一獲千金を狙う人々の一時的な集合体“ とするのであれば、まさにハイリスクハイリターン。

スタートアップは、ある意味新しいビジネスモデルの実験室でもあるのだ。そうなってくると、成功した理由よりも失敗の理由を知ることから学べることは多い。

では、終了したスタートアップとそこから学べる教訓を紹介する。

ベンチャー企業とスタートアップ その定義と違いとは？

Airware

業種: ドローン向け飛行データプラットフォーム
合計調達額: 1.180億ドル
失敗の理由: ドローンに関する市場の成長スピードが意外と遅く、大きなニーズが生まれる前に資金が尽きた

Alta Motors

業種: 電動バイク
合計調達額: 4380万ドル
失敗の理由: ハードウェアの製作のコストがかさみ、資金繰りやパートナーシップがうまくいかず、資金が尽きた

Apprenda

業種: エンタープライズ向けPaaS型ソフトウェアプラットフォーム
合計調達額: 5600万ドル
失敗の理由: 競合サービスとの差別化に失敗

Baroo

業種: ハイエンド顧客向けオンデマンド型ペットケアサービス
合計調達額: 360万ドル
失敗の理由: 巨額の資金調達を成功させた競合に対抗できなくなった

Bluesmart

業種: スマートスーツケース
合計調達額: 2560万ドル
失敗の理由: 航空法の更新によりバッテリーを内包するスマートスーツケースの利用が禁止になった

Cambridge Analytica

業種: 政治活動向けデータ解析プラットフォーム
合計調達額: 1500万ドル
失敗の理由: Facebook経由の個人情報をユーザーの許可なしにビジネスに利用していた

CanadaDrugs.com

業種: 医薬品のオンライン販売
合計調達額: 不明
失敗の理由: 15年以上にわたり米国政府の認可を得ずに非正規の薬をオンラインで販売していたことが発覚した

CareSync

業種: 医療患者向けソフトウェアプラットフォーム
合計調達額: 4900万ドル
失敗の理由: 売却戦略に失敗した

Chef’d

業種: 自炊むけミールキットサービス
合計調達額: 4050万ドル
失敗の理由: 資金調達に失敗した

Chorus

業種: フィットネスアプリ
合計調達額: 不明
失敗の理由: ユーザーがエクササイズをサボり出し、それを隠そうとするためにアクティブ率が下がった

Coinprism

業種: 色付け可能なビットコインワレット
合計調達額: 不明
失敗の理由: 仮想通貨に関する法規制の急激な変化によりビジネスとして成り立たないと判断した

CloudMine

業種: ヘルスケア向けデータプラットフォーム
合計調達額: 1650万ドル
失敗の理由: 600万ドルほどの負債に対しての資金調達に苦しみ、破産した

DASH Stores

業種: アクセサリー販売ブティック
合計調達額: 不明
失敗の理由: セレブ創設者であるカーダシアンの興味が他に移ったため

DaWanda

業種: ハンドメイドのクラフトを売買するオンラインプラットフォーム
合計調達額: 1030万ドル
失敗の理由: 会社の規模の成長に対して売り上げの伸びが鈍化したため

Defy Media

業種: ミレニアル世代向けオンラインメディア/広告サービス
合計調達額: 7000万ドル
失敗の理由: 提供するサービスが市場ニーズに合っていなかった

Doughbies

業種: オンディマンド型ベーカリーサービス
合計調達額: 10万ドル
失敗の理由: ファウンダーたちが他の事に興味が湧いた

Driver

業種: 治験及び臨床研究に対して医療機関と被験者をマッチングするサービス
合計調達額: 9000万ドル
失敗の理由: 当初の想定に対しての売り上げが芳しくなく、資金繰りに苦しみ、リリースの2ヶ月後に倒産

Eleven James

業種: サブスクリプション型時計のレンタルサービス
合計調達額: 4000万ドル
失敗の理由: 資金調達に失敗し、銀行から貸し剥がしをされた

Fastbee

業種: フードデリバリーサービス
合計調達額: 不明
失敗の理由: 競合サービスの台頭と$1.5のデリバリー費用が足かせになりの、資金調達に失敗した

Fieldbook

業種: データベーステクノロジー
合計調達額: 290万ドル
失敗の理由: マネタイズに失敗した

GET ME IN! / Seatwave

業種: ヨーロッパ地域向けチケット売買プラットフォーム
合計調達額: 5300万ドル
失敗の理由: ダフ屋の温床になってしまった

Halo+ Smoke Alarm

業種: スマートスモーク探知機
合計調達額: 620万ドル
失敗の理由: ハードウェア製作に必要な資金調達に失敗した

Henri Bendel

業種: 女性向けアクセサリーブランドストア
合計調達額: 不明
失敗の理由: 株主の利益を優先するためにL brands社に売却した

Ivanka Trump

業種: ファッションブランド
合計調達額: 不明
失敗の理由: ファーストレディーとしての役割に専念するため

Klout

業種: ソーシャルスコアサービス
合計調達額: 4000万ドル
失敗の理由: サービスの裏にあるAIテクノロジーだけを利用するための親会社Lithiumによる判断

Kuvée

業種: スマートワインボトル
合計調達額: 830万ドル
失敗の理由: プロダクトの知名度が上がらず、ナパバレー付近の山火事被害も重なり資金調達に失敗した

Lantern

業種: 心と体の健康のためにコーチングを提供するプラットフォーム
合計調達額: 2140万ドル
失敗の理由: 旧態然としたヘルスケア業界の変化スピードの遅さによりサービスが普及しなかった

Liquavista

業種: Amazon傘下の電子ブックリーダー向けディスプレイテクノロジー
合計調達額: 4500万ドル
失敗の理由: 親会社のAmazonによるビジネス的判断

OSSIC

業種: 3Dオーディオヘッドフォン
合計調達額: 590万ドル
失敗の理由: ハードウェア製作に必要な資金調達に失敗した

Path

業種: クローズドSNS
合計調達額: 6620万ドル
失敗の理由: 2015年にKakaoに買収されたのち、親会社の判断でサービスを終了した

Puddle

業種: P2P型レンディングサービス
合計調達額: 25万ドル
失敗の理由: ビジネスモデルとして成り立たなかった

Sansaire

業種: スマート調理器具
合計調達額: 25万ドル
失敗の理由: 製造工場との関係が悪化し、資金繰りにも失敗した

StumbleUpon

業種: ディスカバリー型SNSサービス
合計調達額: 1850万ドル
失敗の理由: ユーザーニーズの低下により、Mix.comの開発にフォーカスするためにeBayに売却

Shyp

業種: オオンディマンド型配送代行サービス
合計調達額: 6200万ドル
失敗の理由: 配送に対するユーザーニーズが予想よりもはるかに少なく、他地域に展開したがコスト高になり断念

Theranos

業種: 消費者向け簡易血液検査サービス
合計調達額: 9.1億ドル
失敗の理由: 大きな話題と資金を集めたが、実際は提供可能とされていたテクノロジーが存在しておらず、創業者が米証券取引委員会によって詐欺罪で訴追された

Treato

業種: 医療機関向けデータ分析プラットフォーム
合計調達額: 1450万ドル
失敗の理由: 資金調達に失敗し、バイアウトにも失敗した

Weddington Way

業種: ウェディングドレス向けマーケットプレイス
合計調達額: 1150万ドル
失敗の理由: ビジネスとして成り立たなかったのでGAPに売却した

Wimdu

業種: ヨーロッパ地域におけるP2P型民泊プラットフォーム
合計調達額: 9000万ドル
失敗の理由: Airbnbに対抗できなかった

Wonga

業種: オンラインによる短期の小口融資サービス
合計調達額: 1.58億ドル
失敗の理由: 資金繰りに失敗した

Yogome

業種: 子供向けオンライン学習プラットフォーム
合計調達額: 3650万ドル
失敗の理由: 社内における資金に関する不正が発覚した

2018年に消滅したメガスタートアップ25社

筆者: Brandon K. Hill / CEO, btrax, Inc.