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Youはなぜ面倒な起業家なんかに?
とある時にオフィスで学生バイトのエンジニアの男の子から聞かれた質問。
なぜわざわざ面倒な起業家になったんですか?
そう、今の時代、就職や起業なんてしなくても、フリーランスや、副業、パラレルキャリア、アフィリエイト、インフルエンサー、YouTuber、そしてUberドライバーまで、生きてく方法はいくらでもある。
主に個人で複数のプロジェクトを請け負っている彼からしてみると、毎日のように人やお金をはじめ、多くの課題に直面し、対応していかなければならない経営者という仕事は割りに合わないように感じたらしい。
この質問に対し、正直、とっさに説得力のある答えを言うことはできなかった。
そこで、ではなぜ自分が会社を経営しているのか。むしろ、もともとフリーランスだったのに、なぜ会社を始めることにしたのかを今一度考えてみる。
フリーランスを続けなかった理由
大学時代からサンフランシスコでフリーランスのWebデザイナーとして活動していたこともあり、卒業後もそのままフリーランスとして仕事をし続ける選択肢もあっただろう。おそらくその方がリスクも少なく、乗り越えなければならない課題も少なかったかもしれない。
しかし、なぜそうしなかったのか?
その理由は大きく分けて下記の3つ。
1. 仕事のスケールの限界
フリーランスで仕事をする場合、基本的に一人で仕事をこなすことになるため、自ずと仕事のスケールが小さくなりがちである。
例え大きな仕事の一部を手がけたとしても、やはり自分がプロジェクトに与えられるインパクトは限定的になってしまう。
特にデザイナーという仕事柄、自分が手がけた仕事が世の中に与えるインパクトが直接やりがいに繋がっていくため、フリーランスだと、どうしても限定的なスケールの仕事しかできないこともあり、チームで物事に取り組むことにした。
2. めっちゃ孤独である
今でこそ個人であっても、カフェやコワーキングなどで仕事をすることで、人と”触れ合う”ことのできる環境で仕事をすることができるが、その当時は主に自宅で仕事をしていたため、物理的にも心理的にもとても孤独であった。
これもやはりチームを組んでアイディアを出し、フィードバックをもらいながら進めていった方が仕事の質も上がるし、メンタル的にも安定すると考え、フリーランスの限界を感じた。
もちろん、会社を経営する際にも、経営者としての孤独はつきまとうが「リーダーは本当に孤独なのか?」でも説明させていただいた通り、それは必要、かつ価値のある孤独感である。
3. 人間性が成長しない
そして最も重要で、かなり盲点だったポイント。実はフリーランスで仕事をしていると、やりたくない仕事をする必要がなくなる。究極的には、自分自身が生活していくだけの収入があればよく、無理して仕事を請けなくても良い。
言い換えると、気の合うクライアントからやりたい仕事を自分のペースで行い、好きな時に休んで、仕事をしたくないときはしばらく休暇を取ることも可能である。
好きな時に好きな場所で、好きな仕事をするだけで良い。一見これは理想的なワークスタイルのように感じる。しかし、そこに大きな落とし穴があることに、ふと気づいた。
仕事において、我慢する事も、無理をする必要もないのだ。そうなると、どうなるのか? 人間的に成長するのが難しくなる。
嫌な仕事はやらなくなるし、理不尽なことに頭を下げる必要もない。いわゆる、マイペースでしか仕事をしなくなるため、下手するとかなりワガママな人間になってしまう危険性がある。
それに気づいた時「これはやばい」と感じ、会社を始めることにした。
多くの人が間違える3つの起業理由
では、逆に「会社を始める = 起業家になる」ことの究極的な目的は何であるか。その答えは恐らく1つしかなく、それは、世の中で考えられている起業家のイメージとは大きく異なっているのではないかと感じる。
なぜなら、一般的な起業目的が確実に間違っているから。その目的として、よく聞くのが1. お金を儲けたい、2. 決定権が欲しい、3. 自分の時間が欲しい。であるが、これはらすべて間違っている。なぜなら:
1. お金を儲けたい
起業する目的の中でも最も多い理由の1つ。特に最近だと、ユニコーン企業や大型IPOでファウンダーが大金持ちになるニュースを見る事もあり「自分も一発当ててやろう」という思いで会社を興すケースもある。
しかし、もしそれが目的なのであれば、やめた方が良い。そもそも自分で会社を始めるのはワリに合わない。新しいビジネスの実に、95%から99%が失敗すると言われる中で、金儲けを目的に起業するのは、単純にROIとしての計算が合わない。
そもそも、計算が苦手なら起業するのにはあまり向いていないし、もっとお金が欲しいという理由なのであれば、待遇の良い仕事に就いたの方がよっぽど目的が達成されやすい。
2. 決定権が欲しい
企業のいち従業員とて働いてると、上司の指示に従わなければならない事も多く、自分で決められる事にも限界があり「自分だったらこうするのにな…」というストレスを感じる事も多いかもしれない。
これがもし自分の会社であれば、最高責任者として自分で決断ができる。そう感じて自分の会社を始めたいと思っている人もいるかもしれない。
しかし、CEOになればあらゆる決定権が持てるのであろうか?
もちろん、会社のトップになるわけだから、そう思うかもしれない。でも現実は全く違う。上司を持ちたくないという理由で企業しても、実はスタッフや、お客様、そして投資家、株主の方々が上司になってしまう。
会社の代表として、すべての行動、決断に説明責任が生じる。本当に決定権が欲しいのであれば、政治家になる方が良いかもしれない。
3. 自分の時間が欲しい
自分の会社なのだから、自分のスケジュールは自分で決められる。これも起業家の醍醐味のように感じるかもしれない。まあ、間違っていない。誰からも支持を受ける事なく、自由に働くことが可能になる。
そう、一日20時間、自分の好きな時にね。
起業家になるたった1つの正しい目的
では、どんな目的があれば起業家になるべきなのか。実はその理由は1つしかいない。その答えは”
– 世界を変えたい –
そう。起業家という身体的にも精神的にも大きな負担がかかり、その割にはリスクが非常に高く、リターンもかなり少ない。
そんなワリに合わない立場になる唯一の目的は、素晴らしいチームを作り、優れたプロダクトやサービスを通じて世の中を変えたい。実はそれしか無い。逆に、そうでなければ起業する意味なんてない。
そして素晴らしいチームに恵まれた
最初からそんな崇高な目的で会社を始めたのか?そんなわけない。最初は、上記の通り、フリーランスであることの限界と危険性を感じて、会社を始めた。
そこから、当初持っていた憧れとは遠くかけ離れた現実に直面しながらも、課題を1つ1つ解決していった。
今では、我々ビートラックスは、サンフランシスコと東京にオフィスを持ち、すばらチームに恵まれ、新しい時代に求められるデザインサービスを通じて、グローバル市場に通用するイノベーションを生み出す事をゴールとして、仕事をしている。
そう、結果的に今までもこれからも会社を続ける理由は、世界を変えるため。なのである。
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