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【デザイナー必見】世界の著名デザイナーに学ぶ、デザインにまつわるTED Talk7選
プロダクト開発やグロースにおいてデザインを考慮することが当たり前になった昨今、デザインにもさまざまな考え方が生まれた。特にデザインする対象がデジタルなのかアナログなのかによって考慮すべきデザインの領域は異なってくる。
つまり、良いデザイナーになるには幅広いデザインに関する知識を身に着けることが重要になってくる。そこでこの記事では、代表的な7つの異なる考え方のTEDトークを紹介する。
どれも10〜15分ほどの動画のため、本を読むより短い時間で多くを学べると思う。休憩時間や移動時間にぜひ見ていただきたい。
1. Donald Norman – The three ways that good design makes you happy – (良いデザインがあなたを幸せにする3つの方法)
登壇者のDonald Normanは多くのデザイナーが一度は読んだことがあるだろう「誰のためのデザイン?」の作者であり、“ユーザー中心設計(User-centered design)”の提唱者である。
人にとってプロダクトの魅力とは何かについて、車のMINIやGoogleのUIを例に述べている。
Dobald曰く、人がものを見て良し悪しを判断する際には3つのレベルでものごとを見ているらしい。
- ものサービスに触れる際に、なんとなく触れて楽しいと感じる潜在レベル
- そのモノでどんなことができるかということがわかる行動レベル
- 外車は壊れやすいといった偏見に近い考えの内省レベル
このトークの良いところは、人のものの見方は意外と単純だということに気づかせてくれる点にある。冒頭でDonaldは、フィリップスタルクのジューサーを果物からジュースを絞るためには使わず玄関に置物として置いてると述べている。
というのも、彼のジューサーは形が奇妙でジュースを絞ってみるものならコップにうまく入らず溢れてしまうからとのこと。しかし、その分魅力的な見た目を持っており、それが顧客を満足させてくれる要因として十分であると彼は語る。
UXデザインの評価方法はさまざまあるが、本質的に見るべきは人である。人はUXデザインの方法論とはお構いなしに、物事をただ欲しいか欲しくないかで判断する。このTEDトークからはそんな人のものの見方が学べるだろう。
2. John Maeda – Design for Simplicity – (シンプルさのためのデザイン)
2つ目は、世界的に有名なデザイナー、John Maedaによるシンプルさとは何か?について自身の体験談とともに語られるトークである。
グラフィックやプロダクトのデザインの分野においてもシンプルさというのは重要視されてきたがUXのように形に表現できないものをデザインする上でのシンプルさとは何だろうか?という問いを中心にトークが展開される。
UXデザインにおいてもロジックや考え方はあるが、それは人の感じ方を保証するものではない。UXの目的はそのプロダクトを使っている人が楽しいかと感じるかどうかであり、それほどシンプルに考えることが重要だとここでは述べられている。
UXデザインに関する書籍やブログが多く、どうしても方法論的に処理されてしまいがちではあるが、今一度この動画でシンプルに人の気持ちについて考えてみてはいかがだろうか。
3. Rochelle King – The complex relationship between data and design in UX – (UXにおけるデザインとデータの複雑な関係)
Rochelle Kingは過去、NetflixのUXやサービスのデザインを率いており、現在はSpotifyにてデザイン、UXのヴァイスプレジデントとしてチームを統率する敏腕デザイナーだ。
このトークではUXデザインにおいてデータの重要性が述べられている。特にデジタルプロダクトから収集できるデータはとても正確で、ボタン押す位置やそのページを見ている時間の長さもわかる。これをうまく活用することができれば会議でどちらのデザインが優れているかで不毛な言い合いに時間を割かずに済む。
このトークで注目していただきたいのが、実際に彼女がSpotifyで行ったUXを改善の仕事を例にどのようにデータを活用したか解説している部分である。
そこではなぜそのデザインが悪かったのかという分析からどう解決したか、その結果的にビジネス面でも効果的であったことが語られている。Spotifyは月間3億人以上のアクティブユーザーを持つ巨大なプロダクトであり、それを支えるデザインプロセスの考え方はデザイナー以外であっても参考になるだろう。
4. David Kelley – How to build your creative confidence. – (創造的な自信を構築する方法)
Davidは言わずと知れたIDEOの創設者の一人であり元CEOである。デザイン思考やデザイン教育の第一人者と呼ばれている。そんなデザインの知を築きあげた人が見たクリエイティビティへの自身について語っている。
Davidはこのトーク内でクリエイティブはそれぞれ違った形で持ち合わせていると述べており、自分のアイデアがありきたりで、かっこよくないからといって自信を失う必要はないと強調している。
筆者もワークショップでクリエイティブについて苦手意識を持っている人あったことがある。理由を聞いたことがあるが、その答えの多くが「かっこいいものを作らなくてはいけない」、「誰もが発想できない斬新なアイデアを求められているのではないか」という声だった。
しかし、クリエイティブというのはそういった派手なものだけではなく、些細でありきたりであってもクリエイティブと言える事柄はあるとこのトークでは述べられている。
その例として人の体に異常がないかみるMRIの診察方法が紹介されている。多くの子供はMRIの検査時に聞こえる激しい音に恐怖し、暴れてしまう。そのため鎮静剤を使って子供を宥めていた。
この状況に心を痛めていた医師は、部屋全体を海賊船のようにペイントし、診察時の音は海賊船が揺れている音だと説明した。これによって子供たちは暴れることなく診察を終えるようになった。このような気遣いもクリエイティブなのだ。
5. Tony Fadell – the first secret of great design – (素晴らしいデザインの秘密)
彼はエンジニアでありデザイナーである。「iPodの父」と呼ばれ、ハードウェアやソフトウェアを専門にしている。このトークでは、思い込みをなくそうというテーマで人が習慣化してしまうことの良さと悪さを語っている。
習慣化によって人は、例えばシャワーの際に冷たい水を間違えて被ってしまった、というような小さな絶望を忘れてしまいがちであり、それを発見する力こそ起業家やデザイナーには必要である。それを発見するための3つの方法があると述べられている。
1.より広く見る
2.より近くで見る
3.より若く考える
Tonyはこの3つをまとめ、子供のように純粋でいようと言っている。また、例としてピカソの言葉である「子供は生まれながらにして芸術家である。」というものを取り上げ、大人になってしまうと世の中の不幸に慣れてしまい視野が狭くなってしまうことを述べている。
UXデザインでは、こういった小さな気づきや不満をいかにして見つけられるかが重要である。多くの問題は非常に些細であり、歳を重ねるにつれ不満を感じづらくなってしまう。しかし、そこを解決したデザインにこそ本当に心地よい体験を人々に提供できるのではないだろうか。
6. Johannes Ippen – Humans, not Users: Why UX is a Problem – (ユーザーではなく人間, なぜUXが問題になるのか)
グラフィックとUXデザイナーとして幅位広い経験を持つJohannesは、トーク内で、ユーザーではなく、人間に対してデザインを行うという意識を持たなくては、使用者が本当に幸せになることはできないのではないかと主張している。
トーク内では、近年問題視されているSNSの中毒性や「いいね」や「Like」の数が見えることによるプレッシャーなどは使用者を人間ではなくユーザーとして会社の利益優先でUXデザインを行った結果を問題視している。
例えば、Facebookは夫婦の離婚のきっかけの実に三分の一に起因しているという統計がある。 *divorce-online.co.uk調べ
特に興味深いのが、これらの問題から我々はエンゲージメントを高めるだけのユーザーエクスペリエンスデザインから使用者を人して見るヒューマンエクスペリエンスデザインをするべきと言っていること。
これからはデザイナーも自分の制作物が人の時間を奪っているということを自覚し、何が人のために幸せな状態かをしっかりと見定めなくてはならない。
7. Phill Motuzas – Creating Next Generation User Experiences – (次世代のユーザー体験の作り方)
このトークには、次世代のユーザーインタラクションとUXについて、アルコンギン大学の教授でユーザーインタフェースの研究者であるPhill Motuzasが登壇している。
Phillは今やほとんどの人が使いこなせるスマートフォンのインターフェースを“ナチュラルユーザーインタフェース”と呼び、このボタンを押したらダンロードフォームに飛ぶのだろうな、というように、誰もが結果を予測できるデザインについて述べている。
特にスマートフォンがここまで世間に浸透した理由として、タッチした際に返ってくるブルルと震えるフィードバックや、画面上でページを捲る動作と現実世界で本をめくる動作を似たものにしたことによる、予測できる状態が重要だと話す。
また、着目すべき内容は、インターフェースとセンサーの関係についてだ。センサーとインターフェースには密接な関係があり、どんなプロダクトにどんなセンサーをつけるかの相性でインターフェースの使いやすさが異なるという。
近年ではApple watchに血中酸素濃度が測れるセンサーが搭載されるなど、だんだん操作を意識しなくても勝手に計測してくれたり何かアクションを起こしてくれるようになった。
Phillはこの先の未来、インターフェースは人が触れずとも機能していくだろうと述べている。UXの文脈で言えば、人になるべく操作させない状況を作ることもUXにおいて重要になり、今後は人に操作を求める必要がない状況も踏まえUXデザインを考える必要が出てくるだろう。
まとめ
ご紹介した7つのトークに共通するのは、人に対してポジティブな影響を与えようとしていることにある。
その方法や考え方はいくつもあり、UXデザイナーにはそれらの武器を、状況やプロダクトに合わせてうまく取捨選択していく力も必要になってくる。
最近では、そのために必要な知識がPodcastや今回紹介したTEDトークのようにさまざまなメディアで公開されている。時間に追われる人が多い今だからこそさまざまなメディアをうまく活用しちょっとした時間でも有効に活用してはいかがだろうか。
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