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これからのブランドはどんどん透明になっていく
皆さんは、最近のApple製品に “とある” 共通点があることに気づいただろうか?
そう、あのロゴがかなり目立たなくなってきているのだ。例えば、以前は必ず画面の下の真ん中の目立つ場所にあったAppleのロゴが、最新のiMacにはない。なんか変な感じがする。
ステータスシンボルのAppleロゴが無い!
同様に、ヘッドフォンのAirPods Maxにもロゴが無い。
これまでのAppleであれば、Mac, iPhoneなどの製品には必ず目立つ箇所にロゴが掲載されていたり、場合によっては、ロゴが光る仕様にまでなっていた。スタバでドヤリングと呼ばれるくらい、Appleのロゴがついた製品を持っていることが一つのステータスシンボルに。
ちなみに、Appleが買収したBeatsのヘッドフォンなどは、左右に大きく掲載されているロゴが人気を集め、その商品の大きな魅力だった。
しかし、新しく発表される製品にはなぜか、あの美しいロゴが隠されている。結構なお値段の商品なのに。
パタゴニアもロゴの掲載を控え始めた
実は、商品に目立つようにロゴを表示しなくなったのは、Appleだけではない。人気アパレルブランドのパタゴニアも製品上のロゴ掲載を控えるようにし始めている。
よりサステイナブルなブランドを目指しているのが理由。
パタゴニアの発表によると、一つの製品をより長く着てもらうこよで、より環境に配慮した結果につなげる狙いがあるという。
同ブランドの調査では、ロゴが入ったシャツやコートは、他の人に譲る可能性が低くなったり、部屋着としてきる頻度も下がるという。結果として、製品をきてもらえる “寿命” が短くなってしまいがちだという。
ライフサイクルの長い服を着てもらうことは、持続可能な世の中を実現する第一歩になると考えた。
ロゴを掲載しなくなったことで、パタゴニアは、ある程度の経済的損失を被ることになるだろう。
この変化は、パタゴニアが短期の商業的な結果よりも、より長期的に社会に貢献できるブランドを目指している決意表明でもある。
ニューバランスもロゴなしスニーカーを発表
スティーブ・ジョブスが愛用したことで知られるスニーカーブランドのニューバランスも、最新のコレクションでトレードマークの “N” のロゴを取り除いたスニーカーを発表した。
同ブランドは、1906年のブランド誕生から1世紀以上となる歴史と伝統を祝し、毎年5月15日を「Grey Day」とし、「グレー」をモチーフにした商品を展開。
今年発表された「Grey Day Collection」のうち、限定モデルの “574 Un-N-Ding” には、両サイドに定番の “N” のロゴが掲載されていない。
多くのD2Cブランドもロゴの表記が最小限
そういえば、新規参入が多いD2C系のブランドのその多くも、ロゴの表記がかなり控えめになっていることに気づく。EverlaneやAllbirdsのほとんどのプロダクトにはロゴが表記されていないし、メガネのWarby Parkerもかなり控えめな扱い。これらのD2Cブランドも、かなり “透明性” の高いブランドといえるだろう。
ロゴを掲載しない本当の狙い
Appleやパタゴニアなどのトップブランドがロゴの掲載を控え始めている背景には、ブランドとしての透明性を高めたいという狙いがあると考えられる。
ネットを通じてさまざまな情報が直に得られる現代においては、ブランディングを行う際にも、より消費者に対して正直で、透明性の高い存在になる必要がある。
以前までは、”ブランドイメージ” を重視し、ロゴやデザインを通じてそのイメージづくりを行うのがブランディングの主な役割だったが、現在においては、それはもはや”まやかし”に近く、あまり通用しなくなってきた。
であれば、表面を取り繕うよりも、自分たちのバリューがより伝わるブランディングを行うことが、よりファンを増やすための正しい戦略になってくる。
言い換えると、より透明で、可視性の高いブランドが求められる。
透明性の高いブランドとは?
透明性の高いブランドとは、一言で言えば、消費者に対して率直で正直であること。過度な広告や、自社に不利な事実をあえて隠さずに、素直に顧客と対話する姿勢のあるブランドである。
自分たちの歴史やビジョン、従業員に求めるバリューなどもクリアに伝えることで、顧客との信頼性が高くなる。
また、ネット経由の情報がリアルタイムで伝わる現代においては、ブランド発信の一方的なメッセージだけでは、ブランド構築は難しい。
例えば、社会的な問題に対して、自社の姿勢をしっかりと示し、より良い世の中のために自分たちがどのように貢献できるかを、ブランドとして体現する必要もある。
以前にNikeがBLMや人種問題に対してかなり積極的なメッセージングを発信したのも、透明性を上げる活動の一つである。
自動車ブランドもどんどん “透明感” が増す
実は、ここ数年で複数の自動車ブランドがリブラディングを進めている。そこには共通のテーマがあり、今回の透明感のキーワードにも通じる部分がある。
共通してラインは細くなり、これまでの定番であった重厚感よりも、より軽く、薄いイメージ。存在感は少し下がる感じがするが、デジタルにも対応している。
また、ロゴに利用される構成要素を少なくし、利用される色も少なくすることで、環境に配慮しているというメッセージにもつながる。消費・廃棄するマテリアルを減らすことで、より地球に優しいブランドイメージを与えている。
完璧な人はいない。完璧なブランドもない。
ブランド施策を提供する際に、多くのクライアントはより “完璧” なイメージの構築を求める。しかし、実はそれは逆効果になることの方が多い。
というのも、現代においては企業のブランドも一人の人間のような存在で、顧客とブランドの関係もそれに近い。
完璧な人間が存在しないように、完璧なブランドも存在しない。むしろ、そのブランドの裏にある生々しいストーリーこそが、ユニークな価値になる。
自分の会社を追い出されたこと、倒産しかけたこと、短い余命を感じ、必死にイノベーションを生み出したこと。そんなストーリーがAppleを世界一のブランドに成長させた大きな要因だと思う。
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