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プロダクトのサービス化を実現するための3つの方法
最近ニュースで、”なんとか・アズ・ア・サービス”という言葉を聞くことが多くなってきている。これは、もともと”サービス”ではない商品の提供の仕方を変えることでサービス化した方でユーザーに提供するビジネスモデルの事を指す。
その根底には、稼働率の低い商品を購入するよりも、必要な時にだけ使うことで、コスパの高いライフスタイルを望むユーザーと、デジタル化が進んだことにより新しい方法でのプロダクトの提供が可能になった時代背景がある。
それぞを別々に獲得するのではなくて両方を上手に活用し、アズ・ア・サービスにすることで、より良い”体験”として届けることで新しい価値を生み出すことが可能になってきている。
薄くなってきているプロダクトとサービスの壁
ここ数年でヒットしている製品にはある一定の法則がある。それは”サービス化”ができているという点。ちなみに、日本語で”サービス”と言うと”カスタマーサービス”という表現からもわかる通り、ホテルや観光などの非物質的な価値のことを指す場合が多い。
しかし、アメリカではプロダクトとサービスの壁は非常に薄く、例えばオンラインサービスやモバイルアプリを”プロダクト”と呼んだり、逆に製品の中にサービス的要素が含まれているものある。
グッズ・ドミナント・ロジックからサービス・ドミナント・ロジックへ
この変化を専門的な概念で表現すると、グッズ・ドミナント・ロジックからサービス・ドミナント・ロジックへ移行し始めている、ということになる。
簡単に説明するとモノとサービスがそれぞれ別の企業が別の方法で提供していた時代から、今後はどのような業界でもプロダクトをサービスと合わせて提供する方が消費者のこころを掴みやすい、ということなのである。
サービス化が苦手な日本企業
このサービス化の波にイマイチ乗り切れていないのが日本企業や日本の文化で作り出されたプロダクトではないかと感じる。おそらく下記の3つの状況が理由ではないかと思われる。
1. 完璧文化
そりゃ、お客様に提供するからには完璧な状態でないとお届けするわけにはいかない。これはものづくりにおける最高レベルの美徳である。しかし、これがサービス作りになってくると、弊害になってしまうこともある。
というのも、サービスの基本は、はっきりと価値がわからない状態でもとりあえずリリース > ユーザーに使ってもらってフィードバックを元に改善、になるからである。
最初から完璧を目指していても、その完璧の概念自体が間違っていることもある。サービス業の王様とも言えるディズニーランドが、いつまでたっても完成しないのはこの辺にも秘密がありそうだ。
2. 分断組織
全てがコネクトした社会において、素晴らしいサービスを作り出したければ、まずは組織がしっかりとコネクトしている必要がある。なぜなら、全てのタッチポイントにおいて、ユーザーに対してスムーズな体験を提供したいのであれば、一貫したUXデザインが求められるから。
そのためには、企画も開発もサポートもマーケティングも、部署間でのしっかりとした連動が求められる。その一方で、まだまだ多くの企業の社内は分断され、場合によっては相反するゴールのために無駄な社内政治が進められていることもある。
そのような企業が作り出すサービスはどうしても使いにくかったり、楽しくなかったりしてしまう。そして、一番の犠牲者はユーザーになりがち。
3. 納品文化
そして最後は”納品”の概念。日本ではハードウェアだけではなく、ソフトウェア開発の現場でもまだまだ納品の概念が存在し、作って、完成して、納めて、という文化がはびこっている。
ここまで読めばわかるかもしれないが、サービスに完成という概念は存在しない。むしろ、よりユーザーに喜んでもらうために、常に改善を続けなければならい。
特に最近ではクラウド系のサービスとの連動が盛んになっており、より一層その流れは加速している。そんな時代に”完成させる”という考え自体を一度取り払ってみる必要があるかもしれない。
プロダクトのサービス化を実現するための3つの方法
品質の高い日本のもの作りをベースとした企業に必要なのは、技術視点でのプロダクト制作からユーザー視点でのサービス設計への転換である。
正しいデザインプロセスを通じて、新しい視点でのビジネスの構築はアメリカ西海岸ではスタートアップを中心に既にどんどん進んでいるが、この変換を日本の企業もいち早く行わないと時代に取り残されてしまう。
その為には、下記の3つの戦略が不可欠である:
1. 会社全体がデザイン的プロセスを導入する
デザイン的考えやプロセスを社内全体に浸透させる為には、まずはリーダーとなる経営層がそれにコミットする必要がある。ビジネスモデルが老朽化していたシリコンバレーの老舗会計ソフトウェア会社、Intuitを蘇らせたのはCEOが社内全体に要求したデザイン思考プロセスの定着である。
2. ユーザーに一貫したエクスペリエンスを提供する
プロダクトのサービス化を企画する際に、最初に定めるゴールは一貫したユーザー体験 (UX) のデザインである。技術面や会社の哲学、社内の政治はまずは置いておいて、ユーザーメリットを最大限に引き出すような体験がビジネスの成長においては不可欠となる。
3. テクノロジーではなく顧客視点でサービスを考える
ものづくりの場合、どうしてもテクノロジーに偏りがであるが、ユーザーからしてみればカタログに掲載されているスペックなど、ハンバーガーの横のポテトほどの価値も無い。そんなエンジニアのエゴのようなものはまずは忘れて、顧客が心地よいと思えるサービス設計を行う。
その第一歩がデザイン思考のマインドセットの習得であり、素早いスピードでのプロトタイプ作りを利用したユーザーからのフィードバックの獲得だろう。
プロダクトのサービス化を進めませんか?
このように、プロダクトをサービスに変換するのは簡単ではない。しかし、それを進めない限り企業の存続は難しくなってくる。興味のある方はぜひ、我々と共に短期間のサービスデザインを行うプログラムに参加いただければと思う。
詳しい内容は是非公式ページよりお問い合わせください。
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