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OMO – 顧客体験向上のための2つのトレンドと4つの成功事例
以前からサービスのデジタル化は進んでいたが、新型コロナウイルスの影響により、非接触サービスやオンラインサービスが求められるようになった今、この傾向はさらに顕著になっている。
実際2021年度のEC市場規模は前年比10%を超えており、キャッシュレス決済の一つであるQR決済利用率も54%と過去最高をマークしている。
そういった中、「OMO (Online Merges Offline)」が注目されていることはご存知だろうか?「オンラインとオフラインの融合」という言葉通り、オンラインとオフライン両方のチャンネルを駆使したマーケティングや顧客体験向上のための動きを指しているが、その実情を理解している人は多くはないかもしれない。
OMOを考える上で重視すべき2つのトレンド:
1. 情報の集約化
SNSや決済が一つの媒体でできるスーパーアプリのように、デジタル上でのサービスや機能の集約により、様々なデータを統合することが可能になってきている。また、5Gなど最新のテクノロジーにより、オフラインとオンライン間のデータのやり取りが加速している
2. 行動データの追跡
センサー、位置情報やAIカメラにより、従来追えていたオンライン上の購買データに加え、オフラインの行動データを取得することが以前より可能になってきている
つまり、今後オンラインとオフラインのデータの豊富さやリアルタイム性がますます向上することで、より顧客のニーズを正確に捉えることができるようになる。サービスのOMO化は単純に既存のサービスをEC化するだけではない。
集約されたデータを活用し、オンラインとオフラインを上手く融合することで、顧客体験を最適化することが鍵となる。
ここからは、OMOを正しく理解し、優れた顧客体験を提供している企業を4つ紹介していく。
1. Walmart
世界最大のスーパーマーケットチェーンであるWalmart。長年積み上げてきたオフライン店舗の強みを生かしつつ、OMOを取り入れることでECの王であるAmazonに追いつく勢いで成長している。
彼らの成功の秘訣は豊富なデリバリー経路にある。国内外に多くある実店舗や大規模な倉庫の他、最近ではマイクロフルフィルセンターというローカル化された小さな倉庫を増やすことにより、商品の届け方に様々な選択肢を生み出している。
例えば、サブスク登録することで無料宅配が頼めるネット販売の他、事前にオンラインで注文し、店舗で受け取る “BOPIS”(Buy online, pick up in-store)を提供している。
また、オンラインで頼んだものをスタッフが車に積んでくれるサービスや、カメラを装着したスタッフが商品を冷蔵庫の仲間で届けるInHomeデリバリーも行っている。
同時に、Cruiseという自動運転会社に投資をすることで、電動の無人自動運転車の配達によりラストワンマイルを達成することにも積極的に取り組んでいる。
また配達の他、Tiktokと提携することで動画を通じたオンラインショッピングという新しい試みにも力を入れている。
例えばメイク用品など、実際に使用してみないと分からない商品販売では、人気クリエイターがメイクしている動画をライブストリーミングすることで販売を行っている。
こういった宅配や販売方法の多様化は、ただ単に便利になったということではない。コロナ渦でデジタルに移行していたり、安全志向になってきている顧客のニーズを正確に捉えている。
また、幅広い窓口を提供することで、顧客がそれぞれの状況にあった商品の入手方法を確立できでいる。
2. IKEA
大手家具店IKEAでは、拡張現実(AR) とアプリを上手く組み合わせることで、顧客体験をさらに充実させている。
例えばIKEA原宿店では、専門のアプリを使い商品をスキャンすることで、商品の詳細が見られるようになっている店舗には無い色味や、アプリ上で表示される類似品を確認したい場合は、ARを使うことで、商品のサイズや色味を確認することが可能。
結果、従来の店舗のような郊外の大型店舗でなくとも、様々な商品を楽しむことが出来るようになっている。
またスキャンした商品の履歴が残るため、買い物をしながらアプリ上でショッピングリストを作成し、そのまま家に配送することもできる。
このため、仕事帰りにふらっと寄って買う、など今までのIKEAでは体験できなかった手軽さが実現されている。都市部の車保持者が年々減少していく中、利便性のある都心でIKEAらしい体験が出来ることは大きな強みである。
3. ローソンと富士通によるレジレスコンビニ
以前、無人スーパーとしてAmazon Go が注目されていたが、日本でも同様に、ローソンと富士通共同で開発した無人コンビニが注目されている。
特筆すべきなのが、本人確認がAmazon Go のようにアプリ上で行うのではなく、生体認証で行われていること。事前に登録された生体情報と決済情報を活用することで、携帯を出すまでもなく、ただ手をかざすだけで全てが完了する。
結果、入店から購買までの工数がさらに短縮されている。
生体認証の他、声で扱えるAlexaやSiriなど、生体情報とオンラインデータを活用するサービスが年々と増えている。レジレスコンビニのように、物がさらに不要になるだけではなく、時には手すら使わなくて良いという新たな利便性が生まれる。
また、こういった生体情報をうまく取り込むことで、障害のある方など幅広い方に使いやすいサービスを作ることができる。
4. Sephora US Store and App
化粧品小売店のSephoraでは、IKEA同様オンラインと実店舗の連携が良く、シームレスな購買体験にを提供している。
まず入店した際には、アプリの位置情報データから入店している店舗を割り出し、当日行われているサービスなど店舗の詳しい情報がアプリに反映される。
また、バーコードをスキャンすると、レビューやプロダクトのハイライトの他、入店している店舗での在庫も確認ができる。
また、アプリ以外にも店舗内ではテクノロジーをふんだんに活用している。例えば店員がiPadを駆使して肌を分析することで、カスタマーのスキントーンにあった化粧品を紹介ができるなど、パーソナライズされた購買体験を提供している。
同時に、Sephoraの最大の強みは充実した顧客体験が店舗だけに留まらないことである。購入後、アプリ上のコミュニティを通し、プロダクトに関する質問をしたり、他の人の参考メイクや、Sephoraが出しているチュートリアル動画が見られたりする。
こういった参加型コンテンツを提供することで、プロダクトへの満足度やSephoraとの関係を購入後も持続させている。
Beauty Insider ProgramというロイヤリティプログラムもSephora客にとっての大きな魅力の一つだ。誕生日に一つ商品が無料プレゼントされたり、イベントに招待するなどさらなるエンゲージメントにつなげている。
このように店内から購入後まで上手く統一されているため、Sephoraを長期的に使い続ける客が多い。また、アプリの他にもイベントやコミュニティから豊富な行動データもとれるため、さらなるパーソナライズやサービスの改善につながっている。
最後に
4つの事例からわかるように、OMOを通して利便性が上がるという観点は重要である。だが、最も重要なのは、オンラインオフライン両方の両方の顧客データを取得し、やり取り出来る仕組みを確立することで、顧客像への理解が深まっていることだ。
結果、顧客像がより立体的になり、ひとりひとりに合ったサービス体験を提供することができるようになる。モノの価値以上に体験が重視されていく中、OMOの極意をビジネスに取り入れていくことは、今後サービスの成長に重要なポイントとなる。
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