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ニュートンのイノベーションは隔離体験から生まれた
- 未曾有のロックダウン、過去を振り返ればペストの流行とニュートンの存在
- 隔離体験がニュートンに与えたイノベーションのチャンス
- イレギュラーなピンチこそ、チャンスに転ずる可能性も
17世紀半ば、ペストという疫病がヨーロッパを襲い、18ヶ月の期間でイギリス国内だけでも、当時のロンドンの全人口の1/4にものぼる10万人の人々が亡くなった。
1665年には、その蔓延を防ぐために、イングランド全体に対して「ソーシャルディスタンス (社会的距離を置く)」命令が発せられ、大学のキャンパスも無期限の閉鎖になった。その頃の大学生の一人が24歳になったアイザック・ニュートン。のちの大発明家である。
彼はこの命令に従い、幼少期に住んでいた家に戻ることを余儀なくされた。そして、この時の体験が、その後の彼の人生を大きく変えることになった。
学校封鎖が与えてくれること
現在、日本やアメリカをはじめとして、多くの国々にて新型コロナウィルス の影響を受け、イベントの自粛や学校閉鎖が行われている。世界中の大学生たちは、いつそれまでの日常生活に戻れるかがわからないままキャンパスを離れ、友達や同級生に会えない日々が続いているだろう。
それらの若者のほとんどが、おそらくウィルスの影響を受けておらず、至って健康であるため、この孤立した状態に憤りを感じているかもしれない。しかし、もしかしたらこのような非日常的な日々が今後の人生に対して希望とインスピレーションを与えてくれるかもしれない。
ニュートンの隔離体験
ペストが猛威を奮っていた1665年、ニュートンはケンブリッジのカレッジに通う24歳の大学生だった。自宅待機を余儀なくされたこの18ヶ月が、その後に「驚異の年 (Year of Wonders)」と呼ばれる、彼にとって最もクリエイティブな期間であり、彼が歴史に名を残す一番大きなきっかけともなった。
大学が封鎖され、故郷のウールスソープへと戻ったニュートンは、カレッジですでに得ていた着想について、一人でじっくりと思索をめぐらす時間を得たのだ。大学生活から離れ、カリキュラムの制約や教授の気まぐれに縛られることなく、ニュートンは自身が一番大好きだった発見の世界に飛び込んだ。
早速ニュートンは自宅では本棚を組み立て、自分のための小さなオフィスを作り、真っ白なノートに自分の考えや計算を書き込みはじめた。典型的な日常生活から離れたことで、彼の創造性が開花した。
この期間に彼は、微分積分学を発見し、万有引力の理論を立て、プリズムを使った実験や光の研究など、光学を探求した。そして、田舎にある実家の裏庭でリンゴが木から落ちるのを目撃したことが、万有引力の着想に没頭するきっかけとなった。
キャンパスを離れていた間に彼が行った発見は、今後何年にもわたって彼の歴史的なキャリアの基礎を形成し、最も偉大な科学的イノベーションを生み出した。
一定期間隔離された体験が、歴史に名を残す偉大なる発明家を生み出したのだ。
ピンチをチャンスに
今は、パンデミックの影響で日常生活のペースが乱れ、多くの人たちが今後どうなるかわからない、絶望にも近い不安に駆られている。これは私たち全員にとって試練の時である。
しかし、この時期は反省と発見の時とも言えるだろう。日々の生活リズムの突然の変化と、それに伴う孤立は、通常の状況では不可能であったかもしれない方法で、私たちの想像力と創造性を解き放つことが可能だから。
イノベーションに不可欠な大きな要素の一つが“変化”である。それを考えると、これほどイノベーションを生み出すチャンスになる時期はなかなか無いかもしれない。
この「社会的距離」の経験は、我々の創造性と生産性のピークになるかもしれない。最高のアイデアを練り上げ、最高の仕事をする時かもしれない。驚異の年になるかもしれない。
今から数年後振り返ってみると、我々にとっても最も創造的な時期だったと、きっと言えるだろう。
このピンチをチャンスに変えられるように、みんな頑張ろう。我々も、日々クライアントの方々と共にサービス開発に取り組み、変化の局面を乗り越えてイノベーティブなサービスを創出しようと試みている。ご興味のある方はこちらからぜひお問い合わせください。
筆者: Brandon K. Hill / CEO, btrax, Inc.
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