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ニューノーマルが生み出す4つの意外な社会課題
- オンラインミーティングの意外な落とし穴: 印象に残りにくい
- マスク着用一般化で、万引きが発生しまくる
- 自宅勤務で仕事しまくりすぎる
- 新しい社会課題は新しいイノベーションの源となる
外出自粛が少しずつ解除され、徐々に日常生活に戻り始めている。それはアメリカでも同じで、サンフランシスコでも規制解除の段階的なフェーズが提示された。今週から街に出てくる人の数や、道を走る車の量が増えてきた。
しかし、決して今までの生活に戻ったわけではなく「ニューノーマル」と呼ばれる、新しい生活スタイルへの順応が求められている。具体的には、ソーシャルディスタンスの実践、外出時のマスクを着用義務、バーやレストランのキャパ制限など。
それらに対して、新しい仕組みやデザインを活用して、より良い生活を実現させている取り組みも増えてきている。具体的な事例に関しては「デザインの力で、新しい生活様式に安心と喜びを作るコツ:3事例」に紹介されている。
それと同時に、思わぬところに不便があったり、新たな社会課題が生み出され始めたりしている。そんなニューノーマル生活で見え始めた4つの課題を紹介する。
1. オンラインミーティングの意外な落とし穴: 印象に残りにくい
リモートワークが普及するにつれ、ミーティングもオンラインで行うことが増えている。移動時間の短縮や、効率性の高さからそのメリットは大きいのだが、意外な弱点が見えてきた。相手の印象があまり残らないのだ。
特に初対面や複数の人が参加する場合など、後日参加した人のことを思い出そうとしてもなかなか思い出せない。これはおそらく、人間の脳に届けられる情報量が極端に少ないからだろう。顔が見えると言っても二次元だし、音もネットを介してかなりデジタル圧縮されている。
そして、背格好、服装、雰囲気、香り、声の音質、仕草など、本来人の印象として重要なファクターが全く伝わってこない。もちろん後ろ姿もわからない。結果的に、印象がかなり薄いか、ほとんど印象が残らなくなってしまう。
どうしても雑談しにくい部分もあるので、オンラインを通じて初対面の人は、次回リアルであっても絶対に覚えていない。こうなってくると、オンライン飲み会などで複数の人に初めて会った場合も、「会ったことがない」レベルになってしまう。
逆に考えると、オンライン経由でもどのように印象的な人になれるかが重要になってくる。限界はあるが、アングル、光、声の出し方、小道具などなど、どうにかしてインパクトを出す必要が高まってくる。最近ではオンラインミーティングに合わせたデバイスも増えてきている。
2. マスク着用一般化で、万引きが発生しまくる
先日ショッピングモールにあるお酒屋さんに買い物に行ったところ、昼間にもかかわらず、二人組の男性が物凄い勢いでお店から走り出してきた。そのあと、数名の店員が叫びながら追いかけた。どうやら、万引きだったらしい。
マスク着用が義務付けられたことにより、「マスク+サングラス」と言った銀行強盗ルックでも、全く怪しまれることなくお店に入ることができる。半年前だったら、入店を断れていたような格好が、ニューノーマルでは、模範的なスタイルになってしまってきている。
これにより、防犯カメラに写っていても個人を特定するのが非常に難しくなってきている。そして、手袋をするのもおかしくはないので指紋も残りにくい。
これを逆手に取ると、どんどん万引きができてしまう。これは、デフォルトが万引きスタイルのAmazon Go的なシステムでも入れるか、マスク姿でも本人を特定できる認証システムを導入しない限り、今後大きな問題になっていきそうだ。
3. 自宅勤務で仕事しまくりすぎる
自宅勤務やリモートワークで、従業員がちゃんと働いているのかと心配になるマネージャーもいるかもしれない。しかし、実態は、オフィスに来ている時よりもよりたくさん働いている気がする。
そして、通勤と帰宅のメリハリがないので、ずっと仕事の毎日になってしまっている人も少なくはない。外に出る目的も買い物か散歩程度になってしまいがちで、いわば「ちょっと元気な引きこもり」状態。
通勤時間もなくなり外出も減るとなると、家にいる時は仕事か寝るかのどちらかになってしまいがち。効率も高くなる場合は、こなせる仕事がどんどん増え、会社的にはありがたいが、スタッフのメンタルが気になる。
そんな時には仕事と遊びを連動させる「ワークライフインテグレーション」の概念を取り入れたり、最近では、孤独感を解消させるために「孤独を解決するためのUXデザインの役割とは」で紹介されているようなアイディアも注目され始めている。
4. ソーシャルディスタンスでデートができない
サンフランシスコでは、外に出る際は一緒に住んでいる人以外とは2m距離をあけるようにと指示されている。そして、バーやレストランはテイクアウトのみ。こうなってくると、同棲する前のカップルや夫婦以外はデートをするのが、現実的に不可能になる。
もちろんクラブやバーでの素敵な出会いに期待することもかなり難しい。
マッチングアプリで知り合っても実際に会うのが難しい。まして、マスクをしている場合は、キスをすることすらままならない。完全にプラトニック or バーチャル遠距離恋愛になってしまう。
この状況を打破するために、アメリカのカップルの中には同じタイミングでNetflixを見ながらオンラインで話したり、手書きの手紙を送りあったりなど、かなり奥ゆかしい交際をしているケースもあるという。
ただ、このような状態があまり長く続いてしまうと、交際相手のいない人が増え、最終的には出生率の低下という社会課題を生み出してしまう可能性も低くない。
もしくは、実際に会う前に結婚してしまう、デジタルお見合いからの夫婦誕生も、あながち現実的なのかもしれない。
新しい社会課題は新しいイノベーションの源となる
世の中にイノベーションが生み出されるのは、必ずそこに大きな社会課題が存在するから。今回の状況は人々の生活に数多くの課題を生み出し、多くの場合、それらに対してのソリューションが追いついていない。
起業家やスタートアップにとっては、世の中が大変革をしている今こそが、新しいサービスを考えるチャンスだ。大企業にとっても、これまでとは異なる視点でのサービス開発が急がれるだろう。
我々、btraxでは、これまでも多くの企業のために、新規サービスの開発やUXデザインの側面でサポートさせていただいている。もしご興味のある方はお問い合わせページよりご連絡ください。
筆者: Brandon K. Hill / CEO, btrax, Inc.
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