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抹茶がアメリカでバズってる5つの理由 〜 北米560億円市場の波に乗るための実践ガイド 〜
サンフランシスコ市内のおしゃれなフレンチカフェで、クロワッサンの隣に並ぶのは、鮮やかな緑色の抹茶ラテ。以前より週末になると通ってるこのカフェで、つい最近メニューに追加された。

抹茶ラテ @ Le Marais Bakery
カリフォルニアでどんどんオープンするお茶系店舗
実は、抹茶ブームを感じさせるのはここだけじゃない。サンフランシスコオフィスのスタッフに聞いてみたところ、最近はお茶や抹茶に関する店舗がどんどん増えており、場所によっては行列で入れないところもある。

サンフランシスコ市内にある抹茶専門店のKiss of Matcha
また、抹茶以外にも、”お茶” の人気が高まっており、ナチュラル&ヘルシーを売りにしたお茶カフェが複数オープンし始めている。

行列ができるナチュラルティー専門店のHEYTEA
家や店舗で手軽に作れる “抹茶マシーン” も
抹茶を家庭で手軽に楽しめる、抹茶マシーンも登場している。Cuzen Matchaは“抹茶版エスプレッソマシン”。家庭用は$299からで、本格的な挽きたて抹茶を楽しむことができる。
また、Proモデルなら高回転の店舗でも40 秒で抽出可能。抹茶ブームを取り込みたい事業者にとって、体験価値とオペレーション効率を両立する有力ソリューションになっている。

デザインも美しい抹茶マシーンの Cuzen Matcha
アメリカで抹茶旋風。いま何が起きているのか?
こんな感じで、気づいたらアメリカの主要と都市で抹茶ブームが始まろうとしている。
本稿では、抹茶が米国で“バカウケ”している理由を5つに整理し、実例と統計を交えながら、市場参入を検討する企業に向けた具体的アクションを提示する。
米国で拡大する抹茶市場
北米の抹茶市場は2024年に5.6億ドル(約860億円)規模へと拡大し、今後5年間で年8.3%成長が続くと予測されている。

北米で拡大する抹茶市場: 参照
TIkTokで拡散する抹茶をテーマにしたバズり動画
この抹茶ブームは、オンラインでも広がっており、TikTokでは #matcha の総視聴回数が230億回を突破し、若年層の“健康-エンタメ飲料”として定着しつつある。
@f_dez7 Matcha goodness. #japan #kyoto #matcha #matchalatte #gokago ♬ How`s Your Day – aAp Vision
抹茶が米国市場でバカウケしている5つの理由
では、なぜこんなにも抹茶がアメリカの消費者にウケているのか。その理由を5つほど挙げていく。
理由① “ヘルスコンシャス&機能性”志向の高まり
アメリカでは、ここ数年でコーヒーの体に対する副作用を気にする人が増え、代替えとなるような飲み物に注目が集まっている。その選択肢の一つが抹茶なのだ。その主な理由は:
- 低カフェイン・高抗酸化:コーヒーより緩やかな覚醒感とL-テアニンによるリラックス効果が“午後の一杯”ニーズにフィット
- 機能性フードトレンド:Whole Foodsが2025年トレンドに「茶系フレーバー」と「植物性機能性飲料」を選出
- 数字で見る健康意識:米国成人の46%が「日常的に抗酸化食品を摂取したい」と回答(Nielsen 2024調査)
実例
- Starbucks:2025年株主総会で新ミッドイースト系「Dubai Chocolate Matcha Latte」を投入すると発表し、メニュー革新の柱になった
- Matchaful:NY発“Farm-to-Whisk®”を掲げ、オーガニック×サステナビリティ訴求で8店舗に拡大

スターバックスで人気のDubai Matcha Latte
理由② “サステナブルな覚醒剤”としてのポジショニング
コーヒー産業の森林伐採・水資源問題が報じられる中、抹茶は「少量で高い抽出効率=低環境負荷」というストーリーを打ち出しやすい。
ここ数年で広がっている若年層の“エシカル消費”文脈と親和性が高く、ブランドのESGコミュニケーション素材になる。
理由③ UGC拡散力: ソーシャルメディアで映える“抹茶グリーン”
TikTokでは“Matcha Swirl”や“Matcha Affogato”などレシピ動画が連日バズり、#matchaday など派生ハッシュタグも増殖。Gen Zが“Self-care Ritual”として投稿することで、バイラルループが形成されている。
若年女性を中心に「抹茶スキンケア」「抹茶デザート」へ波及し、周辺カテゴリの需要も押し上げている。

スキンケア製品にも広がる抹茶ブーム
理由④ 専門店と大手チェーンの両輪で可視性が急上昇
抹茶やお茶専門店に加え、スターバックスのような既存の専門店からも抹茶系メニューが提供され、両方のタイプの店舗にて抹茶を楽しむことが可能になってきている。
- スペシャリティカフェ:Cha Cha Matcha はNY・LAを中心に11拠点へ拡大し、“We Love You So Matcha”のコピーでブランディングに成功
- ファストカジュアル:Dunkin’が2020年に全米で抹茶ラテをローンチし、郊外ユーザーにも認知を拡大
- 若者に広がるノンアル文化:Tea at Shiloh(LA)をはじめ“夜カフェ・ノンアル”業態がGen Zの社交場となり、健康的なナイトライフ需要を開拓

ニューヨークのマンハッタンを中心に広がる Cha Cha Matcha
理由⑤ “本物の日本”ストーリーと体験価値
最近、インバウンドで大人気の日本。その文化・禅・茶道と結びついたストーリーテリングは、ブランドの差別化要素になっている。
実際に京都・宇治の茶農家と直契約する Matchaful や、産地名を前面に出す Cha Cha Matcha の例が示す通り、“シングルオリジン”や“茶師の顔”を語ることで価格プレミアムを確立できる。
日本が発祥の “茶道” の体験自体も、抹茶の価値向上に寄与している。
その一方で新たな問題も
ここまで抹茶の人気が高まると、材料不足が問題になり始めている。
実際、日本発の抹茶葉が足りなくなり、中国産のものを利用する店舗も存在する。しかし、中国産なのにも関わらず、”宇治抹茶” とパッケージに記載し、問題となったケースもある。
](https://blog.btrax.com/jp/wp-content/uploads/sites/3/2025/05/matcha-package.jpg)
[中国産なのに宇治抹茶?商品名も同じ”模倣品”に京都の老舗企業が怒り「大事なお茶を侵されるのは悔しい」中国の販売元は「消費者をだましている認識ない」【怒り】【MBSニュース特集】(2025年4月30日)
失敗しない抹茶の米国進出:5ステップの実践フレームワーク
ここまで読んでいただいた方で、実際に抹茶関係のプロダクトで米国進出を考えられている方に、成功させるための重要な5つのステップと具体的なアクション例をご紹介する。
ステップ 1: ターゲットと販路を絞るための市場フィット診断と戦略立案を行う
- Gen Z/Female 25-34/Health-Conscious セグメントを軸にペルソナ設計
- Amazonレビュー・TikTokコメント分析で“Pain Point”を抽出
等
ステップ 2: 北米向けのブランドを作るための商品名とパッケージをデザインする
- ストーリー性があり、英語での発音・記憶に残るネーミングを考える
- 日本のブランドとして産地価値を表記したパッケージを採用する
等
ステップ 3: 抹茶の体験を演出するための顧客エクスペリエンスを設計する
- Whole Foods 試飲ブースで“Matcha Moment” 90 秒ミニ茶会を開催
- パッケージ内側に QR コード付きミニカードを同封し、20 秒動画で「点て方」ガイドを自動再生
等
ステップ 4: 北米での認知を高めるためのマーケティング活動を行う
- Fancy Food Show + Expo West 出展し、抹茶ショットバーを併設する
- TikTokクリエイターとレシピ動画共同制作
等
ステップ 5: 購買チャンネルを広げるための販路拡大 & パートナー提携活動を行う
- TikTokクリエイターとレシピ動画共同制作
- スタジオ系フィットネス(Barry’s, SoulCycle)とサンプリング提携
等
btraxが提供できること
btraxは、サンフランシスコと東京の両拠点を活かし、日本発ブランドの北米市場進出をワンストップで支援するプロフェッショナル集団です。
市場検証からブランド設計、販路開拓、コミュニティ形成までを一貫して伴走し、現地のリアルな消費者インサイトとデザイン思考を掛け合わせながら、事業成長を最短距離で実現します。
- 現地テストマーケティング:アメリカ主要都市でのポップアップ運営・テストマーケティング実施
- ブランディング設計:日米文化を橋渡しするネーミング、パッケージ、D2Cサイト制作
- 流通ネットワーク開拓:Whole Foods / Sprouts / Target のカテゴリバイヤーへの同行提案
- コミュニティ醸成:Micro-influencerとのハンズオン施策、TikTokライブコマース支援
まとめ:抹茶ブームは始まったばかり
抹茶ブームは一過性ではなく、今後も着実に成長する市場として注目されている。その背景には下記の3つの要素が支えている。
- 市場規模の着実な拡大(年8%超の成長率)
- ソーシャル主導の可視性(TikTok230億回再生)
- 健康・サステナブル価値観との高整合性(コーヒーから乗り換える人が増えている)
この抹茶の例のように、今後も日本発ブランドが“本物”を語り、機能性と体験価値を両立させれば、プレミアム価格帯でも十分に勝機がある。海外展開を検討する貴社にとって、いまが“Go Matcha”のタイミングかもしれない。
北米市場攻略の第一歩は、btrax へのご相談から。抹茶旋風を一緒に加速させよう。
【毎週金曜日】Podcast配信中!『btraxのCEOによるサンフランシスコ・デザイントーク』
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