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【物流DX】アメリカの貨物輸送業界で起きている3つの変化
Eコマースの普及や流通のオムニチャネル化がトレンドとなり、物流業界でもデータやIoT技術活用の重要性が唱えられはじめている。運輸や貨物保管などを中心とする物流業界は、ただでさえステイクホルダーが多く、コミュニケーションが複雑になりがちだ。
そして、近年のオムニチャネル化をはじめとする業界トレンドは、その必要性に拍車をかけているようにも見えるため、輸送ネットワークの更新やITを含む設備投資の実現という課題が急務となっているようだ。
しかし、日本国内では2002年にロジサードからWMSのサービス提供が開始し普及が広まってはいるもののまだ一部であるのが現状。業務をシンプル化させるためのシステム導入に関しては、まだまだ改善の余地があるのではないだろうか。
貨物輸送・管理業界にもインターネットを使ったIT化の波
そんな貨物の輸送・管理のシーンにおけるインターネットを介した自動データ活用を組み込むウェブサービスが、アメリカで話題となっている。
インターネットやクラウドを利用したサービスは数多く生まれているが、貨物の輸送・管理のシーンについては見逃されがちな傾向にあった。そのため、これらの業界での業務プロセスは、他に比べるとややオールドファッション気味な側面があり、ステークホルダー間のやり取りや利用申し込みが煩雑だったり、柔軟性に欠けることが多かった。
アメリカのスタートアップである倉庫業界のFlowspaceと貨物輸送界のFlexportは、そんな状況を変えるべく誕生したと言っても過言ではない。彼らは、複雑な業務をウェブ上でより効率的に行えるようインターネットの技術を組み込んだシステムを提供している。
【倉庫業界のFlowspace】
Flowspaceはインターネットを介して、ビジネス向けに最短1ヶ月ベースのオンデマンドで倉庫の貸し借りを可能にしたスタートアップだ。彼らは、倉庫の貸し借りのみならず、運送の手配や在庫管理を1つのウェブスペース上ですべて行えるシステムを提供してる。
【貨物輸送界のFlexport】
Flexportもインターネットを介したソフトウェアを活用して、国際輸送における煩雑な業務をシンプルかつ明確にしようと取り組むスタートアップだ。
輸送方法は、海上輸送、航空便、列車輸送、トラックでの輸送とほぼすべての方法に対応。ステイクホルダー間のコミュニケーションやデータ管理、貨物のトラッキングなどが主なサービスとなっている。
では、オンライン上のコミュニケーションやデータの自動処理がキーのこれらのスタートアップはどのように業界に変化を起こしているのだろうか。以下にて説明していきたい。
1. 貨物のリアルタイムトラッキングや利用状況確認が可能に!
Flowspaceは、貨物の在庫状況の確認、貨物の出発・到着、Flowspaceに登録された倉庫間の移動において、その移動状況のトラッキングをリアルタイムで行えるようにしている。そのためユーザーはオンラインのダッシュボードで状況を把握することができる。
このような機能は、Flexportも同様にデフォルトになっており、貨物の現在位置や出荷状況などをリアルタイムで確認することが可能だ。つまり、いつまでに配送可能なのかを簡単に把握することができるのだ。
また、Flexportは倉庫側、輸送側など、様々なステイクホルダーとのコミュニケーションも1つのダッシュボード上から行うことができる仕組みを提供しており、これまでありがちだった電子メールの無限往復によるコミュニケーションも、チャット型でシンプルに実現している。
2. インターネットベースでデータを一元管理、より簡単なデータ利用
さらに、この業界では、データの管理もそれぞれの倉庫や運送担当会社などがそれぞれの立場でエクセルなどを使って個々にデータを収集し分析・活用するのが一般的で、それらを管理するソフトウェアはあっても複雑で使いにくいという問題があった。
しかし、Flowspaceでは、在庫状況や倉庫のスペース利用状況をデータとして自動で一括管理されるので、様々な書類管理や複数のエクセル資料を統合していくといったプロセスは不要となった。
データは単にインプットされるのみならず、ダッシュボード上に利用状況のデータ分析等を通じてビジュアル化もされるため、ユーザーはビジネスプランの状況確認や見直しなどに利用できるのだ。
3. 必要なときに必要な分だけ!柔軟なオンデマンドサービスを可能に
商品の在庫やEコマースでの発送予定商品を保管するために貸し倉庫スペースを契約する企業は多いだろう。
しかし、季節的な需要で一時的に倉庫が必要ということもあれば、突発的に増えた商品需要がいつまで続くか予想がつかない場合もある。従来的な倉庫業社の場合は、年単位の長期的なリース契約を求めるため、契約に踏み切るのも相当なコミットメントを必要としたのではないだろうか。
Flowspaceによれば、従来の一般的な倉庫業では、長期契約したものの需要がない時期は倉庫スペースがガラ空き状態であったり、それにも関わらずスペースは契約済みであるために後からスペースを必要とする企業がいても、利用を断らざるを得ないという状況もあったとのこと。
しかし、Flowspaceは、インターネットを介してデータの分析管理をすることができるため、オンデマンドでの貸し出しを行った場合の経営上のリスクを削減し、月単位で必要な大きさのみの倉庫スペースを貸し出すシステムを可能にしている。また、ユーザーは貸出側になることも可能で、まるでAirbnbの倉庫版のようにスペースの有効活用を促しているのだ。
同様にFlexportも貨物輸送業界の長期かつ定期的なプラン契約を見直し、必要なときに必要な方法で貨物輸送を委託できるシステムを提供することで、限りある航空便やその他の輸送手段を有効に活用させている。
従来は難しいとされていた、このような柔軟な対応を実現できたのは、インターネット上で様々なデータを一括管理、瞬時に処理できるシステムがあるからこそだろう。
今後貨物の輸送・管理の業界に求められるインターネット技術の導入
以上のように、一元的でスムーズかつ柔軟な業務プロセスの導入が遅れ気味だった貨物の輸送・管理の業界でも、インターネット上でのデータ管理の自動化が始まっている。
小売の場面でのデジタル化やオムニチャネル化によるデータ管理の複雑化が進み、より時代に即した素早く正確な対応が求められる今、このようなインターネットを用いたデータ管理サービスを導入する必要性は間違いなく高まっているだろう。
まだまだ従来の大手企業たちがこのような仕組みを取り入れているわけではないが、このような技術を必要としている企業は、業界トレンドを素早く察知し、取り入れていく準備を進めていくことが求められるだろう。
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