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なぜ制約があった方が人はクリエイティブになれるのか?
一番仕事が “はかどる” のはどんな時?と聞かれたら、トップ3に必ず入るのが「移動中」と「滞在先」。飛行機や新幹線の中で仕事をしている時がもっとも効率が良い。
また、設備が整っているオフィスよりも、出張先のホテルでの方が仕事がサクサク進むことも多い。
これは恐らく時間や場所の制約や、日常と異なる刺激があることで、集中力や創造力が高まってるからではないかと思う。
ブログは無理だけど、Twitterならサクサク書けちゃう現象
また、ブログは全然書く気にならないけど、Twitter ぐらいならいつでも気楽に書ける気がする。
ブログは文字数の制限がない分、気後れしてしまう。その点 Twitter は140文字の制限があるため、短い文章でも良いというルールのもと、文章を書くモチベーションが上がる。
これも、制約があるからこそモチベーションが上がるという、似たような状況なのではないか?
自由度が高すぎると動けなる
全く自由な状態に置かれると、無限の可能性に圧倒されてしまって、何もしないという状況も多い。
例えば、A4の紙を渡されて「何か作って」と言われても何から初めて良いかわからない。しかし、紙とクレヨンとハサミを渡して、「これを使って空を飛べるものを作って」とリクエストされれば、紙飛行機や、折り鶴や、蝶々など、いくつかのアイディアを思いつくことができる。
ある程度お題が決まっていて、制約がある方が動き出しやすく、発想しやすいのではないかと感じる。夏休みの宿題を直前までやらないのにも共通するだろう。また、選択肢が多いと、どれを選んで良いか分からず、選べなくなる状態にも通じる。
適度な制約を与えると脳が活性化する
どうやらこれは科学的にも実証されているらしく、一定の制約は脳力を高める効果があるという。
というのも、脳はなるべく少ないエネルギーで稼働するように作られており、通常はすぐに省エネで運用しようとする。そして、強制されない限り、ほとんど何も考えないことが多くなりがちとか。
言い換えると、放っておくと脳はすぐにだらける。ということらしい。それを刺激してあげるのが、何かしらの制約である。
そうすることで、はじめの一歩を踏み出し、そして頭をひねってユニークな発想を絞り出すようになる。制約があるからこそ、考えざるを得ない状態になって初めて脳は本気で動き始める。
制約と創造性の関係は、プレッシャーと動機の相関関係を示したヤーキーズ・ドットソン法則にも通じるところがあるだろう。
制約こそがクリエイティビティーの起爆剤
そう、どうやら制約が多い方が、よりユニークな発想や手法を編み出しやすいようだ。言い換えると、クリエイティブなアイディアは制約が無いとなかなか出てこない。
意外かもしれないが、創造力を高めるには制約が不可欠になる。
成功しているクリエイティブな人たちは、制約は自分の努力を制限するものではなく、むしろ逆手にとり、飛躍させる原動力に変換させている。
制約があった方が良い理由
- 始めやすい
- スピードを上げられる
- 型にはまらない発想が思いつく
- 発想のリフレームをするようになる
- 与えられたものの最大活用方法を思いつく
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事例: 多くのイノベーションは制約から生み出されている
実際に新しい製品を発明や型破りな表現は多くの場合、数々の制約から生まれている。制約はさまざまな創造的な領域で役割を果たしていて、現代の最も革新的な創造的製品の多くに見られる。
では、実際に制約あったからこそ生み出された事例をいくつか見てみよう。
海外から来た人が仰天 – 機械式立体駐車場とカプセルホテル
日本にはかなりユニークな仕組みがいくつかあるが、海外から来た人がびっくりするのが、カプセルホテルと機械式立体駐車場。
これらは、場所の制限がある日本だからこそ生み出された仕組み。だだっ広いアメリカでは絶対に思いつかない発想である。
CGでは青春の空気感は伝わらないから – ポカリスエット
最近話題になったポカリスエットのCM。一見すると、かなり特殊なCGを使ってるのかな?と感じる。しかし、メイキング動画を見ると、極力物理的なセットと、リアルな動きでメッセージを伝えている。
技術的にも予算的にも利用でできただろうCGと特殊効果を最低限に抑えることで、青春の空気感がダイレクトに伝わってくる。
一部のグリーンスクリーンを除き、CGの利用を極力抑えたCM
シンセサイザーは一切使っておりません – Queen
ボヘミアン・ラプソディでお馴染みのQueenは、綺麗なメロディーラインとハーモニーで人気を集めたバンド。
彼らのサウンドは、同じ時代の他のロックバンドと比べてかなりユニーク。その秘密の一つが、とある制約にある。
デビュー初期の頃はその当時に普及していたシンセサイザーを利用する余裕がなかった。その代わり、ギターのサウンドや、コーラスを駆使することで、きらびやかな音色を実現した。
実際、Queenの初期の頃のアルバムの裏には”No Synthesizers! (シンセは使ってない)”と明記されている。
安易にシンセに頼らなかったことで、ブライアン・メイのユニークなギターサウンドと、唯一無二のコーラスハーモニーが生み出された。
スコッチの原材料が取れないことで発明されたお酒 – バーボン
アメリカで作られるウィスキーの多くが、バーボンと呼ばれる。その起源は、ウイスキーの祖国であるスコットランドやアイルランドからアメリカに移住してきた人たちが、アメリカでも同様のお酒を作ろうとしていた事から始まる。
そこで、一つ大きな制約に直面することになった。アメリカでは、母国のウィスキーの主な原料である大麦があまり取れないのだ。
そこで頭をひねり、発想を転換した。そこから生み出されたのが、移民した地域の特産品であるトウモロコシを主原料としたウイスキー、バーボンである。現在では、スコッチと人気を二分するほどの存在になっている。
制約を逆手に取ったアーティスト – Phil Hansen
制限を最大のクリエイティビティーに変換したアーティストもいる。Phil Hansenは、自身の身体的ハンデを逆手に取り、ユニークな作品を数多く生み出している。
空手チョップだけで描いたブルース・リーの肖像画や、スタバのカップを利用した作品など。彼のTED Talkは一見の価値あり。
自身のハンデを活用してクリエイティブな作品を作り出すPhil Hansen
ある意味本物よりもカッコ良い – ダンボルギーニ
高級スポーツカーとしてフェラーリと肩を並べるのがランボルギーニ。価格が数千万円もする事から、簡単には手が届かない。
これを宮城県の段ボール加工会社の6名が、仕事の合間をぬって段ボールで作ってしまった。もともとランボルギーニ好きの社長による「買えないなら、作っちゃえば?」という発想だ。
その完成度の高さが世界で話題になり、ついに本家のランボルギーニ社から連絡が届き、本物の車両と一緒に展示されるまでに。現在では、震災復興のシンボルとなっている。
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コマ撮りがCGよりも不気味 – 初代ターミネーター
今でこそ大人気シリーズとなっているターミネーターだが、その第一作はかなり低予算のB級映画だった。しかし、初代の人気はシリーズの中でもトップレベル。
大きな理由の一つが、その映像のリアルさからくる怖さ。
予算の関係で、CGや特殊効果の利用が制限されていたため、ターミネーターの動きをコマ撮りで表現した。そのぎこちない動きが逆にロボットっぽく、独特の不気味さを実現した。
英語を”話さない”ことが強い個性に – こんまり
アメリカで大人気のこんまりも、制約を上手に変換している。
彼女は以前は英語を話していたが、現在は、日本語+通訳で話すことが通例となっている。そして、それが意外と良い。日本語特有のキュート表現とトーンが、彼女らしさが前面に押し出し、ユニークな雰囲気を醸し出している。
苦手なことを無理してどうにかしようとするのではなく、自身のユニークさにフォーカスした良い例。
限られた文字数で複数のメッセージを込める – 短歌や俳句
日本古来の芸術の多くが、あえて制約を設ける事で、よりクリエイティブな作品を生み出している。その最も代表的なのが、短歌や俳句だろう。制限のある文字数の中で、季語や掛詞を活用して、情景と感情を間接的に表現し、情緒的な名せくを多く生み出している。
ピザ2枚で満腹にならない人数のチームは大きすぎる – Amazon
アマゾンのCEOであるジェフ・ベゾスによる名言。
ベゾスがチームの人数に制約を設けたのは、小さなチームから、多くの独立したアイデアが速いスピードで密なコミュニケーションと、当事者意識が生まれるような分散型の会社にしたかったから。
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制約があるからこそ、創造性が発揮される
ロシアの作曲家、ストラヴィンスキーは、”制約を課せば課すほど、自己を解放することになる”と語っている。
それが、ビジネスアイディアでも、プロダクトでも、芸術作品でも、制約がある事で、既成概念にとらわれないユニークな発想が生み出される。
テクノロジーに制限があるとスキルが高くなる
そういえば、技術者で能力の高い人の多くは、制約の多い状態での下積みが重要な経験になっているという説がある。
例えば、パソコンのスペックが低かったり、ネットのスピードが遅かった時代のプログラマーは、プログラムの実行スピードを少しでも速くするために、一行でも少なくコードを書く方法を必死に生み出していた。
それにより、現代の恵まれた環境で書かれるプログラムよりも、よっぽどクリーンで効率的なプログラムが書けるという。その昔、メモ帳でHTMLコードを書いていた人は、スキルが高かったのも覚えている。
同じように、パソコンのHD容量の少なかった時代のデザイナーは、ファイルサイズを小さくするために、できるだけアンカーポイントを減らすデザイン手法や、少ない色数で表現する手法を編み出した。それが転じて、表現の幅が広がったという説がある。と、デザインスクールの先生が語っていた。
イノベーションとは、制約に対する創造的なアプローチ
このように、一見すると邪魔くさいように思える制約が、実はイノベーションを生み出すため不可欠な要因となっている。
制約によって想像力が解き放たれ、精神的なエネルギーを集中し、よりユニークな手法が思いつく。
人間は、チャレンジングな状態になればなるほど、臨機応変に行動しようとするし、新しいコンセプトを生み出そうと、創意工夫をしようとする。
さあ、制約を武器に、当たり前を超えて行こう。
Stay Hungry, Stay Foolish
– Steve Jobs
筆者: Brandon K. Hill / CEO, btrax, Inc.
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■開催日時:
日本時間:2024年12月6日(金)9:00
米国時間:12月5日(木)16:00 PST / 19:00 EST
*このイベントはサンフランシスコで開催します。
■参加方法
- オンライン参加(こちらよりご登録いただけます。)
- 会場参加(限定席数) *サンフランシスコでの会場参加をご希望の方は下記までお申し込みまたはご連絡ください。(会場収容の関係上、ご希望に添えない場合がございます。予めご了承ください。)
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世界有数の市場規模を誇る日本でのビジネス展開に向けて、貴重な学びの機会となりましたら幸いです。皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。