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こんまりから学ぶグローバル進出3つのポイント
今週サンフランシスコの中心部に位置する大規模なイベント会場で、楽天が毎年主宰しているカンファレンス、Rakuten Optimismが開催された。代表の三木谷さんに加え、目玉ゲストとして、こんまりこと、近藤 麻理恵さんが出演した。
アメリカにおけるこんまりの人気ははっきり言って異常。
CBSの人気番組、The Late Show with Stephen Colbertをはじめとして、全国ネットのテレビ番組に複数出演したり、自身のNetflixチャンネルを提供したりもしている。
そして、このイベントで最もオーディエンスが多かったのがこのセッション。立ち見が出るのどの大盛況であった。
全米が熱狂するこんまりメソッド
こんまりが提供しているのは、いわゆる”お片付け”の方法。主に捨てるものと残すものを判断し、人生にときめき (Spark Joy) を与えてくれる物だけに囲まれて生活することで、より豊かな人生が送れるという方法。それがこんまりメソッドである。
彼女の本、人生がときめく片づけの魔法は44の言語に翻訳され、世界中で1000万部以上の売り上げを誇っている。アメリカのテレビ番組でも彼女の見ることが少なくない。
元々は日本で活動していたが、グローバル展開したことで全てが変わった
少し詳しい人に聞いてみると、こんまり は元々日本で活動しており、その後サンフランシスコに移住し、アメリカで活動を始めた。
ちなみに、この”お片付け”という言葉を聞いて真っ先に思いつくのが「断捨離」であるが、こんまりは断捨離を発案した方ではない。
おそらく、日本国内では断捨離の方が有名で、むしろこんまりは後発な感じもするかもしれない。
しかし、こちらアメリカでは部屋の整理や「お片付け = こんまり」のイメージが定着し、すでに無駄なものを捨て部屋をきれいにすることを ”こんまりする” と動詞で表現するケースも増えてきた。
これはまるで検索することを、ググるというのに近い感覚だ。海外では、断捨離の人よりも、こんまりの方が全然有名なのである。
お片付けがなぜアメリカでそんなに人気があるのか?
では、特に目新しい事ではない気もするのに、なぜそんなにも今になってお片付けが人気にが集まっているのか?そして、なぜこんまり信者が増え続けているのか?
彼女の活躍から見るグローバル展開のポイントと、グローバルユーザーの心を掴む方法を分析してみた。
1. 英語を怖がらない
前半の動画を見てわかると思うが、こんまりは基本的に英語を喋らない。以前にSXSWに出演した際に英語を話していたが、最近では日本語+通訳でプレゼンやスピーチをするのが通例となっている。そして、それが意外と良い。キュートな彼女らしさが前面に出て、よりユニークな雰囲気を醸し出している。
ついつい、「グローバル = 英語ができないと無理」と思われがちであるが、彼女の例のように自分の苦手な部分はあえて切り捨てることで乗り越えることだって可能だ。
これは英語に自信のない方々にも大きな勇気を与えたように思われる。
2. 潜在的ニッチを狙う
こんまりが提供する、お片付けコンサルタント、というサービスは一見めっちゃニッチな感じがする。
そう、彼女自身も語っていたが、かなりニッチ。しかし、そんなニッチなニーズでも、グローバル規模で考えればかなりの規模になる。そして、少しずつであるが、確実にムーブメントになりつつある。
これはまるで、昔Macはクリエイター向けのマニアックなパソコンであったのが、今では随分と市民権を得た感覚に共通するだろう。
日本国内のビジネス感覚だと、どうしてもボリュームゾーンを狙ってしまいがちだが、グローバルに展開する場合は、コアユーザーがもつニッチなニーズにフォーカスしまくるのが良いと思う。
3. アンフェアアドバンテージに着目する
こんまりがすごいのが、とことん”彼女らしさ”にフォーカスし、それ以外はバッサリと切り捨てているところ。まさに、自分自身をこんまりしているのだ。
1つ目のポイントの英語力もそうだが、できないことは無理してやらない、必要ないものは持たない、と言ったミニマリズムな感覚。逆に、自分でしかできない事に着目することで、他の人では変えの聞かない存在になっている。
例えば、彼女が育っていく中で経験した、片付けに対するの執念にも似た体験や、物に対する愛情。そして、超日本的な、”キュン” といった表現など、自信のバックグラウンドやキャラを最大活用している。
これは、俗に言うアンフェアアドバンテージの活用に他ならない。他には真似のできないユニークな長所を最大化することで、唯一無二の存在になっている。
世界の2%にとどまるな
彼女は思い切って小さな日本から飛び出し、アメリカで勝負をかけたことで人生が大きく変わった。これは、世界の2%の枠から飛び出し、無限の可能性にチャレンジした結果だと感じる。
どれだけ日本でトップを取ったところで、世界規模で見たら、人口比率で2%以下。
そんな小さな世界で戦うよりも、勇気を持って世界のステージで戦う方がよっぽど素晴らしい結果が待っている。こんまりがそれを証明してくれている。
筆者: Brandon K. Hill / CEO, btrax, Inc.
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