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Twitter、Facebook、google+…3つのソーシャルメディアの違いとは?【インタビュー②】 ガイ・カワサキ氏
前回の「アップルを動かしているのは、いまでもジョブズだ【インタビュー①】元アップル エバンジェリスト/ベンチャーキャピタリスト ガイ・カワサキ氏」では、ジョブズの死後1年たったアップルについてガイ・カワサキ氏の見解を紹介した。今回はソーシャルメディアとその中でも彼が一番力を入れているというGoogle+についての話に焦点をあてた。
マッキントッシュとGoogle+の共通点とは?
ブランドン・ヒル氏(以下BH): 新しい本「What the plus!」のご出版、おめでとうございます。本のテーマはGoogle+ですね。どうしてこのテーマを選ばれたのでしょうか?アップルでエバンジェリストをされていたガイさんがGoogle+についての本を書かれたのは興味深いです。
ガイ・カワサキ氏(以下GK): 本を書いたのは、Google+と恋に落ちたからだね(笑)。この本を書いた目的は、読んだ人にGoogle+をよりよく使ってもらうこと。詳細に使い方を説明したGoogle+のマニュアルで、これは僕にとってはまだファーストステップなんだ。
プロダクトについて本を書いたのは、マッキントッシュについて書いた「The Macintosh Way」以来始めてだ。いままで出版した本はほとんどがイノベーションやマーケティングについてのものだからね。
Google+を使ってみて、アップルでマッキントッシュのエバンジェリストをしていた時のことを思い出したんだ。マッキントッシュはすばらしいコンピューターだけど、当時、多くの人はまだそのことを理解していなかった。そしてGoogle+もすばらしいソーシャルメディアだけど、多くの人はまだそれを理解していないんだ。
BH: Google+のUIとUXいいですよね。シンプルで明快、簡単に使えて…
GK: 直線的なデザイン。タイムラインがいいね。
BH: ただ、素晴らしいプロダクトなんですが、「遅すぎた」とは思いませんか?例えばマイクロソフトのWindows Phone 8のように、素晴らしいプロダクトだけど市場に出すのが遅れてしまった、という。それについてはどう思いますか?
GK: もしGoogle+が、2人の男がガレージで、100万ドルの資金で始めたベンチャー企業のプロダクトだとしたら、そんなに注目しなかっただろうね。でもこれはあのGoogleだから。彼らはGoogle+に検索、広告、Android、YouTube…すべてを統合している。彼らは検索というインターネットのトラフィックにおける大きな流れを所有していて、それは人々の行動をGoogle+に向けさせる力を秘めていると思う。
BH: 数カ月前、日本のメディアに取材を受けて、Google+についてどう思うか?と聞かれました。私はGoogleの「すべての情報を再編成する」というビジョンと、ソーシャルメディアは合っていないのではないか、と答えたのですが…
GK: Googleの、「情報を民主化する」、すべての情報をアクセス可能なものにするというビジョンとGoogle+の存在については議論の余地があるね。例えば、Googleに行って「SXSW(毎年テキサス州オースティンで行なわれている世界最大の音楽・映像・アートのカンファレンス)」と検索すると、WIREDやC-NETなどの通常のメディアの記事や写真が出てくる。しかし今はそれに加えて、Google+でロバート・スコーブル(元マイクロソフトのエバンジェリスト、ブロガー)がポストしたSXSWに関する記事や写真も出てくるんだ。僕はロバートをフォローしているからね。僕や他の友人がgoogle+にポストした写真も同じように検索にあがってくる。Google+ができて、「情報の再編成」に関しては前よりよい状況になっているんじゃないかな。
AKB48に驚くガイ・カワサキ氏
BH: 日本でのGoogle+の使われ方はこんな状況です。少しずつユーザーが増えていて、日本で以前一番人気があったmixiというソーシャルメディアに迫る勢いです。
ループス・コミュニケーションズ社 mixi, Twitter, Facebook, Google+, Linkedin 2012年9月最新ニールセン調査 [ITL]より
GK: なるほど。しかしまだFacebookとTwitterが人気で、だいたい4倍の開きがあるんだね。
BH: また、こんな面白い使われ方もしています。AKB48という人気アイドルグループがいて、彼女たちがプロモーションにGoogle+を使っているんです。
GH:たくさんいるね!この彼女たちがそのアイドルグループのファンかな?え、彼女たちがそのアイドルなの?冗談だろう!?
いったい何人いるの?
BH: 200人くらいです。
GK: 200人!同じグループに?どういうこと!?
BH: メインのグループとしてAKBがあって、他にもいくつかグループがあります。AKBは東京にいて、他のグループは福岡やジャカルタなど別の都市にいます。同じプロデューサーが手がけるフランチャイズのようなビジネスモデルです。
GH: どのくらいフォロワーがいるの?
BH: 全体で300万人くらいです。
GH: おもしろいね!アメリカだと誰にあたるんだろう。レディガガ?ジャスティン・ビーバーかな。
ソーシャルメディアの「3つのP」とは?
BH: Google+のガイさんの生活への影響は大きいですか?
GK: マーケティングプラットフォームとしてTwitterとFacebook、そしてGoogle+を使っているんだけど、ソーシャルメディアに使う時間の80%はGoogle+だね。15%がFacebook、5%がTwitter。LinkedInはあまり使っていない。機能がそんなにたくさんないからね。
BH: Twitter、Facebook、google+…3つのソーシャルメディアの違いはなんでしょうか?
GK: TwitterはPersepsion パーセプション(認知) のためのもの。情報を早くたくさんの人に認知させることができる。FacebookはPeople ピープル(人)。あなたがすでに知っている家族やクラスメートなどの人と繋がるためのものだ。Google+はPassionパッション(情熱)。知らない人同士でも同じパッションを持っていたら繋がることができる。例えば写真好きな人は写真家のコミュニティに入ることで、そこにいる人たちと写真に対するパッションを共有できる。
2つのパーティーを想像して欲しい。1つは、知り合いのたくさんいる大きなパーティで、これはTwitterやFacebookの状況だね。goolge+は、知り合いじゃないけどおもしろい人やきれいな人がたくさんいる小さなパーティーみたいなもの。君がそのパーティを楽しめなかったとしたら、それは君のせいで、パーティーが悪いわけじゃない。よく「Google+にいっても知っている人がいないから」って聞くけど、それは逆にいいことなんだよ。
みんなが情報を検索するGoogleだからこそ価値がある。例えば、相撲の試合の結果が知りたいと思った時、Facebookに行って「相撲」って検索する人はいるかな?検索エンジンはソーシャルになれるけど、ソーシャルなサイトはみんなが情報を検索する場所になれるとは思わない。検索に関しては、Googleには実績と、確固としたブランドがある。
BH: 日本の起業家に、Google+の使い方のアドバイスをお願いします。
ニッチな領域での信頼を築くためにGoogle+を使って欲しいと思う。SEO的にもGoogle+を使うことは有利。あと、たくさんのフォロワーがいるほうがいいね。これはなかなか専門家たちは言いたがらないけど、やっぱり数は重要だよ。たくさんのフォロワーがいる方がGoogle+での経験は豊かで価値のあるものになる。
インタビュー③に続く
◆話者プロフィール◆
ゲストトーカー:Guy Kawasaki (ガイ・カワサキ)
Guy Kawasaki
起業家、ベンチャーキャピタリスト。Alltop共同創業者、Garage Technology Ventures共同設立者。アップルでエバンジェリストとして活躍し、その後の起業した経験を元に「人を魅了する」「起業成功マニュアル」などの本を執筆。人気ブロガーとしてWEBでの影響力も大きい。カリフォルニア大学ロサンゼルス校MBA。ハワイ生まれの日系アメリカ人。
(ガイ・カワサキ氏に関するNAVERまとめは、こちら。)
インタビュアー:Brandon K. HIll (ブランドン・片山・ヒル )
btrax, Inc. CEO @BrandonKHill
サンフランシスコ州立大学デザイン科卒。北海道札幌市出身の日米ハーフ。高校卒業時までほぼ日本で育ち、1997年アメリカサンフランシスコに移住。現在は サンフランシスコに本社のあるグローバル市場向けBranding / Marketing 会社btrax, Inc. CEO。今後の目標は日本の若い起業家、起業家志望者に向け、より多くの成功事例を見せる事により、世界進出の夢を与えること。
編集後記
さすがエバンジェリストをしていたガイ・カワサキさん、Google+の魅力やソーシャルメディアに関するお話も分かりやすく説得力のあるものでした。日本でもアメリカでもまだまだユーザー数に関しては成長途中のGoogle+ですが、ガイさんが語るようにかなりのポテンシャルを秘めているようです。「What the plus!」はまだ日本未発売ですが、KindleやiBookで入手できるので、興味のある方はぜひダウンロードしてみてください。
AKBの話をしている時、ガイさんが “How funny ! ” を連発していたのがおもしろかったです(笑)。
ガイ・カワサキさんインタビューの記事は次で最後になります。次回は電子書籍についてのお話がメインです。記事はまたこちらにアップ予定ですのでしばらくお待ち下さい!
【追記】
インタビュー③も掲載いたしました。
インタビュー①
アップルを動かしているのは、いまでもジョブズだ
インタビュー③
セルフパブリッシングと日本の英語事情
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文責:佐藤茜 (@AkaneSato)
写真:Greg C. Viloria(@socialgreg)
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